EC市場がコロナ禍で前年比「100兆円増」の衝撃

ペイパル調査からわかる消費者の「インサイト」

200以上の国と地域で4億人が利用するグローバルなオンライン決済プラットフォームを展開するペイパルが、「2021年ペイパル海外通販レポート」を発表した。世界的にコロナ禍に見舞われた20年だったが、オンラインショッピングは飛躍的に成長したことがデータで具体的に示されている。興味深い動向を示す本レポートから、グローバルeコマースで事業者が注目すべき3つのトレンドについて解説しよう。

昨年100兆円増、今年66兆円増との試算

「パンデミックはほぼすべての業界でデジタル変化の波を3~5年加速させ、根本的かつ永続的な構造変化をもたらした――」

世界で4億人ものユーザーが利用するオンライン決済プラットフォーム、ペイパルのダン・シュルマン最高経営責任者(CEO)は今年2月の決算発表の場でそう語った。

同社が発表した「2021年ペイパル海外通販レポート」によると、新型コロナウイルスの感染拡大により20年の世界経済が停滞したのとは裏腹に、世界におけるオンライン小売売上高は前年の3兆3500億ドル(365兆1500億円、1ドル=109円換算)から4兆2800億ドル(466兆5200億円)へと急増した。日本円にして100兆円増、これは米国1国分のオンライン小売市場が新たに誕生したことを意味する。世界のオンライン小売売上高は21年には4兆8900億ドル(533兆100億円)まで伸びると試算されている。

これほどの大きな変化が生じれば、そこにビジネスチャンスが生まれるのは必然だ。後述するように日本の事業者にとっては、越境ECに大きなチャンスが見いだせる。

では、この調査報告が示す、事業者が着目すべきグローバルeコマース3つのトレンドとはどのようなものなのか見ていこう。

まず1つ目のトレンドは、オンラインショッピングを新たに始める消費者の世界的な増加だ。20年のeコマースの売り上げは28%近く上昇し、新型コロナウイルス流行前にeコマースの普及率が低かった国でも、メキシコを筆頭にオンラインショッピングへの移行が大幅に進んだ。

消費者はロックダウン中に生活必需品の買い物さえもままならず、オンラインに活路を求めたため、買い物の合計金額が増えていくのは必然だった。さらに、今回調査を実施した13の市場すべてにおいて、オンラインショッピング利用者のうち、今後さらに利用したいと回答した人は、利用を控えたいと回答した人の2倍以上となっている。一度オンラインショッピングの快適さに慣れてしまうと、もう抜け出せないということだろう。

インドでは調査対象となったオンラインショッピング利用者の3分の2以上が新型コロナ前よりオンラインでの消費額が増え、76%が21~22年にはさらに増やす予定であると回答した。これは今回の調査の中で最も高い数字で、次いで中国68%、メキシコ61%と続いている。

消費者がオンラインショッピングの消費額を増やす中、インド、ブラジル、メキシコを筆頭に多くの市場で海外通販、すなわち越境ECに対する安心感が消費者の中で高まっている。これも事業者が注目すべきポイントであろう。快適さと同様で、ECの販売業者が外国にあれば消費者の不安は増すが、一度スムーズな買い物体験ができれば、不安は軽減される。

さらに言えば、多くの国で地元小売業者を支援し、国内での買い物を促すキャンペーンが実施されたが、海外オンライン通販の利用者は、国内でのみ購入する消費者よりも全体的に多くの金額を費やした。

世界第3位のeコマース市場である日本でも、海外オンライン通販の利用者のうち44%がより安い価格を求めていると回答している。国境を越えたオンラインショッピングはますます加速しそうだ。

※2020年12月~21年2月に成人を対象としたオンライン調査。13市場(日本、中国、香港、シンガポール、インド、オーストラリア、米国、英国、フランス、ドイツ、ロシア、メキシコ、ブラジル)、1万3000人の消費者を対象に、各国内と海外のオンラインショッピングの利用方法について聞いた

「BNPL=後払い」がさらに伸びる

2つ目のトレンドは、新たな決済手段の台頭だ。オンラインショッピングを利用する人の増加とともに、消費者はより多くの種類のデジタル決済の使用に意欲を示している。

その筆頭に挙げられるのがデジタルウォレットや、BNPL(Buy Now, Pay Later)と呼ばれる後払い決済スキームだ。

自分の支払いたいタイミングで後払いできるBNPLはオーストラリアや英国で定着しており、若い消費者の間で人気が高まっている。消費者の金銭的不安を考えると今後、こうしたソリューションの提供は増加していくと考えられる。事業者にとっては、BNPLは支払い遅延を補うための、より管理しやすい代替手段となろう。

日本においても携帯電話番号とメールアドレスのみで簡単に後払い決済ができるサービスを提供するペイディがペイパルと連携し、ペイパル決済が可能な世界3100万の加盟店で、「翌月あと払い」や分割手数料無料の「3回あと払い」できるようになった。

EC利用者の40%が、自分の望む決済手段がない場合に、買い物を諦めるというデータもある。さまざまな選択肢を用意することがEC事業者には求められる

さらに、決済手段として台頭しているのが仮想通貨だ。従来は投資目的で購入する人が多かったが、いよいよ仮想通貨は物品を購入するステージに入ってきた。米国では、ペイパルユーザーは支払い方法としてBitcoin(ビットコイン)やLitecoin(ライトコイン)、Ethereum(イーサリアム)、Bitcoin Cash(ビットコインキャッシュ)を使用できるようになった。決済手段の柔軟さは、消費者にとっては魅力に映るだろう。

海外では、セキュリティーで決済方法を選ぶ

3つ目のトレンドは、オンラインショッピングの増加に伴う、不正行為への新たな懸念の高まりだ。

新しい決済手段への期待が高まる一方で、とくに日本やメキシコなど現金主義の傾向が強い市場では、プライバシーやオンライン詐欺に対する警戒心が高まっていることが今回の調査でわかった。また、米国では海外通販利用時の個人情報の漏洩に対する懸念がとくに高い。

海外通販利用者は、決済方法を選択する際のいちばんの決め手は「セキュリティー」であり、次に「決済スピードの速さ」と「利用可能な決済方法」が挙がった。一方、オーストラリア、英国、メキシコ、ドイツ、米国では、買い手保護や金融機関の匿名性を重視する傾向が見られた。

以上に挙げたグローバルeコマース3つのトレンドから得られるインサイトは、日本の事業者にとっても海外市場には大きなビジネスチャンスがあり、それをつかむには新たな決済手段ニーズや不正行為への消費者の懸念に対応する必要があるということだろう。

ペイパルが19年12月に発表した「モバイルコマースに関するグローバル調査2019年版」によると、オンライン販売を行っている国内マーチャントの海外顧客の売り上げ構成比は26%で、調査対象の11カ国で最も低い割合であった。このことは日本の事業者にとって海外の顧客を取り込むことで、今後売り上げを拡大する機会があるともいえる。

つまり、インバウンド需要が期待できず、自国市場だけではビジネスの成長が困難という環境において、さらなる成長を目指すのなら、まだ開拓が進んでいない越境ECに目を向けるのが1つの有力な施策となる。

新しい決済手段や不正行為への対応、つまりセキュリティー対策は、ペイパルのようなオンライン決済のエキスパートが提供する最新のサービスを利用すればクリアできる。ペイパルのスリ・シヴァナンダCTOも今年5月に開催されたアジアのプレス向けイベントで次のように語っている。

「ペイパルはさまざまなアンチボット・テクノロジーを有しており、データが悪用されても、われわれの決済プラットフォームをご利用されているお客様に不利益が被らないようにしています」

そもそもペイパルの仕組みでは、どの加盟店にもクレジットカードや銀行口座の情報を提供することはないのだ。

消費者のインサイトを考えると、EC事業者が選ぶべきサービスも決まってきそうだ。世界的にECが拡大局面にある今、間違いのない選択をしたい。

ペイパルによる「2021年ペイパル海外通販レポート」の調査結果全文は、こちらから確認できる。世界の主要マーケットにおけるビジネスチャンスを見いだし、それぞれの文化や季節イベントなどを理解することで、それらの市場におけるお客様へ効果的なアプローチをすることが可能となる。
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