スマートでタフな
日中英トライリンガルを育成
杏林大学
杏林大学外国語学部は、グローバルを舞台に実際に力を発揮できる人材の育成に向けて「世界で活躍するスマートでタフな日中英トライリンガルの育成」というビジョンを掲げた。そのために定めた、卓抜した語学力に加えて、スマートでタフな交渉能力を身に付けるため、海外留学を積極的に推進――という三つの取り組みは、文部科学省のグローバル人材育成推進事業(平成24年度)に採択された。
日本の大学教育で35年の経験を持つ英語教育の第一人者、ポール・スノードン副学長は「杏林大学のような中規模の大学の取り組みが認められて、非常にうれしい。グローバル教育の分野で、杏林大として確固たる地位を築けるようにしたい」と意気込んでいる。
卓抜した語学力は、英語学科と観光交流学科では、メインの英語がTOEIC800点以上で、第二外国語の中国語は日常会話レベル。中国語学科は、メインの中国語が検定2級以上、英語が日常会話レベル、という目標を設定して「責任ある仕事をするのに十分な語学力」を習得。実際のビジネスシーンで使うために必要な、相手の背景を理解して建設的な議論ができる交渉能力も身に付けようという実践的な語学力を目指すプログラムが特長だ。
文化的経験を積む
半年以上の留学がカギ
「目標とする高いレベルを目指すには、学生の意欲を高める留学がポイントになる」と話すスノードン副学長は、昨年の着任以来、留学先となる協定校の開拓に注力してきた。「近年、日本人の海外留学が減少しているのはとても憂うべきことです。学生には、少なくとも1セメスター(半年)かけて、海外の大学で講義を受け、学術的、文化的体験を積ませたい」と語る。留学費用の負担を軽減するため、留学先の学費が免除される交換留学制度、留学中の授業料減免制度、奨学金制度など、手厚い経済支援制度も整えた。
また、同時通訳の訓練を行うスタジオ、計4人の専任教員を配置してコミュニケーションスキルを磨く英語・中国語サロンなど、高いレベルの語学力を養う環境を国の補助金で充実。テストの点数だけでは評価が難しい交渉能力などを可視化するため、評価項目と評価基準を明確にした「ルーブリック」と呼ばれる、最近、注目の評価指標を導入。年1回、学生が自己評価することで、成長を自覚させ、意欲を引き出す工夫をこらしている。
2016年度には、現在の八王子キャンパスから、井の頭キャンパス(三鷹市)への移転も控え、学生、留学生の人気アップも期待される。杏林大学は、国の補助を受けて、深掘りしたグローバル人材育成プログラムで、大きな飛躍を期している。