“サ高住”は、マーケティングを緻密に行えば
安定したビジネスになる 明治大学 理工学部建築学科 園田眞理子教授

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もう一段階掘り下げて
サ高住をデザインする

介護、医療というと国や自治体に対して期待してしまう傾向があるが、今後は「民間企業や私たち一人ずつの協力、つまり互助、ソーシャルキャピタルが大きな役割を果たす時代。サ高住は国が付けた制度の名前であり、民間の力でその中身をもう一度、デザインする必要があります」と園田教授は言う。たとえば、園田教授が提案する、持ち家単身世帯向けの食事付き共同住宅・宿泊施設の「高齢者ペンション」もその一つだ。

「人口が減少していく中で、土地が余り空き家も増えます。住む人が少なくなると、行政サービスが悪くなったり、治安が悪化したり、不都合なことが多くなります。であれば、その地域にお住いの高齢者の皆さんが、お金を出し合ってファンドをつくり、出資型のサ高住ビジネスを始めてはどうでしょうか。自分たちが出資者になるから、立地のよいところによい住まいをつくり、よいサービスを提供しようとするはずです。おしゃれなペンションのようなところでアットホームなサービスが受けられ、利用料は年金で賄える程度であれば、人気が出て稼働率も上がるし、その地域のイメージも向上します。不動産の資産価値も高まって、地域経済の活性化にもつながります」と高齢社会の明るい展望を示唆する。

このほかにも、民間企業やソーシャルキャピタルが活躍する余地はまだある。たとえば、サ高住が提供する見守りサービスは、「見る」と「守る」を分けて考えるべきと園田教授は説く。今はITの発達で、家の中にあちこちセンサーをつければ、高齢者の様子を見ることは容易にできるが、守るほうは人が実際に行わなければ不可能だというわけだ。このように分業すれば、事業の組み立て方が根本から変わる。また、サ高住をはじめ高齢者向け住まいの「情報検索サイト」、消費者にとって重要な「生活の質」がわかるような情報提供がなされるような仕掛けも欠かせない。

こうした問題に民間が一つずつ取り組んでいけば、「超高齢社会」でも活力ある街づくりができるはずだ。サ高住はその嚆矢となるのかもしれない。