豊かな教育・研究環境が拓く日大理工の新世紀 伝統の実学と学系を越えた学びが未来を創る
地域と積極的に連携し社会に貢献
──産学連携や地域連携の取り組みについてはいかがでしょうか。
青木 積極的に行っています。例えば船橋キャンパスと船橋市の消防局は研究連携協定を結んでいます。千葉県は道の狭い所が多く、火事や犯罪の現場に大型車両が入れないという課題を受け、ドローンを活用した救助活動の開発を行ってきました。また、千葉県警と連携し、地元の中小企業のサイバーセキュリティー診断を警察に承認された学生たちが行っており、企業の方からは高い評価をいただいています。ほかにも、千葉県富里市の町おこしや廃校の利活用に取り組んでいます。
これらは社会貢献活動であると同時に、参加した学生の自己肯定感にもつながると考えています。人々が抱える問題を解決する技術や理論を理解していることこそ理工学の強みです。課題を抱える現場に赴き調査分析を踏まえて解決のための技術開発を行う。その経験を学生が積むためにも、これからも産学連携や地域連携には力を入れたいですね。
──そうした教育の軸が「CST×DREAM」ですね。
青木 はい。これは、下に図示したように、日本大学理工学部(College of Science and Technology)の学びのプロセスを表したものです。未知未踏の領域に挑戦し、壮大な構想(プロジェクト)を実現できる「知」を涵養する上では、従来型の教育では不十分です。現場での有用性を確かめ、そして、本当に社会や人々の幸福に貢献できるかをユーザー視点から判断する「総合型エンジニアリング」のプロセスで、「ものをつくり」「ことをおこす」、さらには世界を変える、そうした「つくりびと」を育成したいと思っています。
その点、総合大学であることは1つの強みです。社会に役立つものづくりは、理工系の知識や技術だけでは実現できません。経済や法律など、さまざまな視点が必要です。そこで本学では、新入生が学部を超えてグループディスカッションを行う「日本大学ワールド・カフェ」を行っており、医学部・歯学部やスポーツ科学部も含めた分野融合をサポートし、それぞれが、普段の学びからは受けられない刺激と知識を会得するのです。学生には、「社会科学」的な思考も身に付け、多様な意見を取り入れられる人材に育ってもらいたいと願っています。