KDDI、増え続ける子会社の管理どうする? KDDI子会社の財務会計業務改革に迫る

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両利きの経営――知の「深化」と「探索」を同時に進める経営――(※1)が注目を集めているが、それを実践している日本企業の1つがKDDIだ。5G時代に対応すべく通信事業への投資や効率化を行いながら(深化)、新たなイノベーションを求め、新規事業にも積極的に挑戦している(探索)。その戦略に伴って、グループ会社の数が急増。グループとしてリソースの最適化を図るため、財務会計業務を足がかりにバックオフィス業務のシェアード化(※2)に乗り出している。
※1『両利きの経営』(チャールズ・A・オライリー、マイケル・L・タッシュマン著/入山 章栄監訳/冨山 和彦 解説/渡部 典子 訳 東洋経済新報社 2019年刊)で提唱されたイノベーションを実現するための経営理論
※2シェアード化:企業グループにおいて、経理や財務、人事や総務などのコーポレート機能を担う部署を集約、標準化すること

KDDI「両利きの経営」支えるガバナンス 

KDDIが進める両利きの経営の中でも、近年とくに目を引くのが、新規事業の展開だ。通信を土台としつつも、教育やドローンなど従来の枠組みを超えた幅広い分野で新規事業を立ち上げている。その手法について、コーポレート統括本部経営管理本部DX推進部長の和久貴志氏は次のように解説する。

コーポレート統括本部 経営管理本部
DX推進部長
和久 貴志

「先行きが不透明で、将来の予測が困難な今の時代に対応していくためには、とくにスピードを重視して、KDDI本体と切り離して新会社を設立する、時にはM&Aやジョイントベンチャーという形態を取るなど、事業運営も柔軟に推進していく必要があります」

しかし、子会社が増えるにつれて課題も浮上してきている。新会社や買収したスタートアップは、KDDI本体と業務運用フローやシステムが異なる。例えば財務会計業務においても、数が増えるほど子会社それぞれで異なる経理処理のため可視化されにくく、KDDI本体での連結決算処理にも時間がかかるようになり、結果としてガバナンスも利きづらくなっていた。「これらの課題を解消するために、3年前から財務会計業務についてKDDI本体主導のシェアードサービスセンターを立ち上げ、現在子会社22社を受託しており、これからも順次拡大させてまいります。これにより、子会社の方々から本業に集中できるようになったと言われ、われわれも経理や財務面で的確なアドバイスができるようになりました」。

シェアード化が成功した背景には、使いやすい、統一した会計ツールの導入も大きい。KDDIは本体の経理シェアードサービスセンター設立に当たって「freee」を採用した。両利きの経営を果たす巨大企業グループの財務会計業務はこの選択でどう変わったのか。詳しくは、こちらのページから無料でダウンロードできるPDFで確認してほしい。