実は編集も可能、PDF文書のリスクとメリット

セキュリティー設定で企業の情報を守るために

コロナ禍は社会のあり方を大きく変え、今でも多くの企業がニューノーマルの時代に合わせた働き方を模索している。「書面・押印・対面」という日本のビジネスにおける基本様式がひっくり返され、ビジネスや行政関係の文書におけるデジタル化・ペーパーレス化が現在も進行中だ。しかし、デジタル文書のやり取りにはフォーマットの互換性やセキュリティーなどの不安が残る。いったいどのように対処すればよいか。

「PDF=固めるフォーマット」の勘違い

コロナ禍で、非対面、非接触でも成り立つ仕組みへ変えるための対応が急がれている。そうした中では文書をデジタル化・ペーパーレス化することが欠かせない。

しかし、文書による手続きをそのままデジタル化しようとすると、作成ソフトや作業・閲覧環境の違いがネックとなる。文書ファイルや表計算ファイルなどバラバラのソフトで作成された文書を異なるOSやデバイスで開いたら、表示が崩れたという経験を持つ人も多いだろう。

テキストファイルやグラフィックを含むファイルも、PDFフォーマットに変換すれば表示を崩すことなく、閲覧可能だ

そうした事態を防ぐ文書フォーマットとして活用されているのが PDF(Portable Document Format)だ。PDFは1993年にアドビが開発したファイル形式で、作成元のソフトやアプリケーションがなかったり、デバイスやOSが異なっていたりしても元の文書どおりに表示される。2008年以降、ISO(国際標準化機構)の標準規格になったことから、行政機関や企業でも幅広く使われるようになった。日本銀行で情報セキュリティー技術の研究に従事していた岩下直行氏は、その優位性について次のように話す。

岩下直行
京都大学公共政策大学院教授。規制改革推進会議委員、金融庁・金融審議会 銀行制度等ワーキング・グループメンバー。慶應義塾大学経済学部を卒業後、日本銀行に入行。金融分野における情報セキュリティー技術の研究に従事し、金融研究所・情報技術研究センター長、FinTechセンターの初代センター長などを歴任

「特別なソフトを持っていなくても、インターネット環境があれば誰でも読み取れるというのは非常に大きいですね。まだPDFが一般的に使われていない時代には、私も海外の学会へ行くとき、わざわざテキストファイルに変換したり、大量に紙をプリントアウトして持っていったりしていました。相手がどんなフォーマットに対応できる環境なのかわからないですから。ところが、PDFならあらゆるデバイスですぐに閲覧できるということから、現在まで広く使われているのでしょう」

作成ソフトに関係なく、一度書き出してしまえば、どのような環境下でも元文書の体裁を崩さずに文書を閲覧できることから「PDF=固めるフォーマット」として浸透している。

ところが、あまり知られていないが、そもそもPDFは編集機能を備えている。つまりロックをかけなければ元文書のデータやテキストなどの修正が可能であるということだ。

編集可能なPDF、ドキュメントセキュリティーどうする?

岩下氏もそれを認識したうえで活用している。パスワードを用いてファイルへのアクセスやコピー機能を制限したり、墨消しツールで個人情報や機密情報を恒久的に削除したりできる「Adobe Acrobat DC」のセキュリティー機能を活用してきた。

「一般に公開する文書は、誰でも自由に閲覧できるようにしつつ、セキュリティー機能を使ってコピーしたり改変したりできないようにかなり神経をとがらせて設定しています。ビジネス文書についてもデジタル上のセキュリティーを改めて考える必要があります」(岩下氏)

Adobe Acrobat DCは、PDF文書にさまざまなレベルのセキュリティーロックを設定する機能がある。閲覧または編集のうち制限したいほうを選択し、パスワードを入力、適応するだけで設定完了だ

ビジネス文書というと契約書のイメージが強いが、むしろ受発注伝票や見積書、各種申請書などの非定型文書のほうが多いと岩下氏は指摘する。「Adobe Acrobat DC」ならば、そうした文書をスキャンしてPDFに変換することで対応可能だ。テレワークにも適しており、旧来のオフィスワークとは異なるワークフローが求められるようになるだろう。

Adobe Acrobat DCならスマホからの閲覧はもちろん、編集や署名機能も活用できる

「日本ではOA(オフィスオートメーション)化の推進が叫ばれてきました。しかし、OA化はあくまでもオフィスワーカーが対象であって、ある意味ではオフィスの中と外を分断する仕組みでした。それはオフィス内の効率を高めるのによかったわけですが、リモート化が進むとオフィス内外の境界線がフラットになってきます。これまでは、社内の序列に合わせたワークフローの構築が求められていましたが、その意味が薄くなると思います」(岩下氏)

これからはデジタルでのやり取りが一般的になっていく。ビジネスにおいて対面が重視されてきた時代は、紙文書の保管などに伴うオフィスのセキュリティーが重視されてきた。今後はそれに代わって、社内外にかかわらず、デジタル文書に一定の制限をかけ、セキュリティーを担保する「ドキュメントセキュリティー」が重要になっていく。

デジタル化で変わる「信頼性」

働き方改革に伴って副業やパラレルワークの必要性が高まった。ビジネスの多様化に応じて企業の枠を超えた協業も広がりを見せている。こうした仕組みを有機的に広げていくためにも一定のセキュリティーを担保したうえでスムーズかつ漏れなく管理できるシステムが求められるだろう。当然、コストや手間の面でも大きなメリットが期待できる。

Adobe Acrobat DCは文書や契約書のデジタル化に応じた、電子サイン機能も備えている

「現実的に、行政関係だけでなく文書のデジタル化は急速に進んでいます。例えば銀行の住宅ローン取引は、非常に分厚い契約書を用意して顧客に何カ所も押印してもらったのち、キャビネットに何十年も保管して、ローン完済後に書類を返還する仕組みでした。保管のコストだけでも膨大です。でも、デジタル文書で電子署名をすれば、セキュリティーもかけられているし、紙の契約書を保管したり、返還したりする必要はないんですよね」(岩下氏)

仕事のスタイルの変化に合わせてセキュリティーに対する「信頼性」の担保も変化していく。今こそ仕組みが変わる転換点にあるのだ。

現在、内閣府の規制改革推進会議では、不動産取引のオンライン化についても議論が進んでいると岩下氏。それが実現すれば、付随する業務も必然的にデジタル化を迫られる。そうした状況にセキュリティー面で適切に対応したうえで、幅広い情報共有にも貢献する――国際規格のPDFを編集でき、セキュリティー設定も電子契約にも対応できる「Adobe Acrobat DC」は、そんな次世代のデジタル環境に欠かせないインフラツールとなるのではないか。

>「Adobe Acrobat DC」の機能を詳しく見る

お問い合わせ
アドビ