DX時代に、営業が頼るべき「真の指標」とは? マジックモーメントとGOの挑戦

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営業担当者を契約やアポイントの数だけで評価する時代は早晩終わりを迎えるだろう。いや、そういった評価をしている企業は、デジタル技術の発展や新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、すでに行き詰まっているかもしれない。こうした中、「顧客との関係値の総量=顧客エンゲージメント」を営業の絶対的な指標とすることで、結果的に売り上げや営業効率が高まる、そんなメソッドを掲げ、経営における従来の営業のあり方に警鐘を鳴らしているのがMagic Momentの代表取締役CEO 村尾祐弥氏だ。同社のコンセプトの言語化やPRを担うThe Breakthrough Company GOクリエイティブ・ディレクター 鶴見至善氏とともに、「これからの営業のあり方」について語り合ってもらった。

──デジタル技術の進展や新型コロナウイルスの感染拡大で、営業スタイルも転換期を迎えています。

Magic Moment 代表取締役CEO 村尾祐弥

村尾 もともと営業って、とてもシンプルなものです。例えば、繁盛している八百屋さんは、「いい大根入ってるよ。煮物にするとおいしいよ」と声をかけます。このとき、「このお客様は煮物が得意で、1カ月にこれくらいの頻度で野菜を買う」「大根が嫌いな子どもが部活の合宿中で家にいない」など、顧客のあらゆる情報を総合的に判断し、リアルタイムで最適な提案をしています。

お客様のことをしっかり知ったうえで、いま何を提案すべきなのか、どうやったら関係性が維持できるのかを考えます。お客様もその関係性に対して結果的に対価を支払うんです。

これって昔からやられていることで、すばらしい対応なんですけど、多くの企業では、「The Model」をはじめとする、はやりのセールスオペレーションがきちんと理解されないまま導入され、手段が目的化しています。アポを何件取るとか電話を何件かけるといった間違った効率化・分業化が重視され、さらに営業手法として推進されることで、相手のことを理解してものを売るという本質から大きく離れてしまっています。

私は以前働いていたGoogleやfreeeで、顧客との関係値をベースに行動を定義し、それを徹底していくことで圧倒的な営業成果が出せることを、身をもって経験しました。そして、現代はサブスクリプションモデルをはじめ、ビジネスモデルが売り切り型から関係構築型に進化していく中で、顧客に使い続けてもらうことこそが価値となりました。

その価値を高めるために、テクノロジーを正しく活用し、データをちゃんと収集・加工・分析することで、営業組織として、先ほど例に出した八百屋さんのような正しい顧客アプローチが可能になるんです。これが、われわれMagic Momentの活動の核となっています。

──企業の営業に対する考え方を変えるのは簡単ではないですよね?

The Breakthrough Company GO クリエイティブ・ディレクター 鶴見至善

村尾 営業は今後、必ずこの方向に進化していくという確信はありますが、営業組織の現状とのギャップが大きく、人に伝え、動かすことがすごく難しいと感じていました。そこで、そのギャップを埋める架け橋のようなものを作っていただこうと、GOにお声がけしたんです。

鶴見 お会いする前は、村尾さんはいわゆるセールスツールを売る人だと思っていました。ところが、じっくり話を伺ううちに、村尾さんが売るのはツールではなく、「WAY」であることがわかりました。突き詰めれば、思想や生き方みたいなものを伝えようとしているんだなと。

何より驚いたのは、その「WAY」がすべて、村尾さんがこれまでの営業人生をかけて検証してきた実証済みの事柄であるということです。つまり、Magic Momentのミッションとは、Googleやfreeeで営業の“未来”を見てきた村尾さんが時代をさかのぼり、まだその未来をまったく知らない人たちに伝えることなんだと解釈しました。

顧客エンゲージメントこそが営業の行動指標

──そんなMagic Momentのコンセプトを伝えるうえで、ポイントになった部分は?

村尾 営業の世界では、どれだけお客様にアプローチしたかを最大の指標とする「獲得型」のスタイルが、100年以上も続いてきました。でも私はそれが正解であるはずがないとずっと感じていました。

例えばAさんは80件のアポイントを獲得して、12件契約に結び付いたけれど、8カ月後にはすべて解約されてしまった。一方のBさんは30件のアポイントから、同じく12件の契約につながり、うち8件のお客様がロイヤルカスタマーになって製品を好んで使い続けてくださったとします。

Aさんのアポイントのために使った顧客獲得コストと彼に支払った給料は意味があったのでしょうか? 獲得だけを目指し、8カ月でお客様がいなくなってしまった。このお客様は再度、自社の製品に戻ってきてくれるでしょうか?

つまり、顧客生涯価値としても赤字で、二度と戻ってこないユーザーを生んでしまっているという悲劇です。両者を比較すれば、明らかにBさんのほうが評価されるべきですよね。

──従来型の行動やその数を評価基準の中心とすると、ねじれが生じてしまうと。

村尾 そうです。やみくもな行動やその数が増えると、成約数は増えるかもしれません。ですが、それはすべて主語が営業側にあって、お客様のためにはなっていない。使い始めると合意したにすぎません。使い始めていただき、その後も製品やサービスから価値を感じ、その対価をいただくために何よりも目を向けるべきは、お客様との関係性であって、お客様とのやり取りを通して築いていく、好き嫌いも含めた関係性こそが、営業の指標となるべきだと。そこで、われわれが行っているのが、顧客との関係値の総量である「顧客エンゲージメント」の徹底した見える化なんです。

営業の現場では、サービスをずっと使ってくれるお客様にも、途中で解約されるお客様にも、それぞれに特定の傾向があります。このデータを、テクノロジーを活用してしっかり作れるようにすること。そして正しく加工し、徹底的に分析し積み上げていく。そうやって可視化された顧客エンゲージメントこそが営業の行動指標となり、結果的に営業成果も大きくなる。それこそが、私が確信している“あるべき姿”です。

鶴見 それを伝えていくためにたどり着いたのが、「TRUE」という言葉です。「TRUE」は、言外に「TRUE or NOT」という意味合いも含まれていて、必然的に2つの道のどちらを進むのかという選択を迫られます。先行きが見えづらく、困難そうであったとしても、「TRUE」の道を進むことで将来的には必ず成長し、成功する。そんなふうに「TRUE」という言葉がさまざまな判断の局面で、真実の道を選び取るための言霊となってくれるのではないかと考えました。

「TRUE」は、「TRUE INDEX」や「GO TRUE WAY」といった形でコンセプトワードにも落とし込まれています。

村尾 「TRUE」という言葉が出てきたときは、すごく感動しました。Magic Momentのメンバーも顧客も、決して全員が私のような強烈な体験を経験しているわけではありません。ですから、ややもすると、100年以上続いてきた強固な営業スタイルに立ち戻ってしまいかねない。そんなとき、この言葉が正しい道に導いてくれるのかなと。

100年後、「TRUE INDEX経営」が当たり前に

──今後、Magic Momentの革新的な営業スタイルをどのように広めていくのでしょうか。

鶴見 Magic Momentが提供する価値は、それまでの価値観がガラリと覆される刺激的な体験を提供するという意味において、一種のエンターテインメントでもあると感じています。

村尾 革新的な営業スタイルへの変革は、時に顧客に濁流を渡って向こう岸にたどり着いていただくような覚悟や努力が必要な場合もあります。そのためには弊社も、必要ならばエンターテインメント性でも何でも駆使していく。そんな気迫をもって取り組んでいきたいです。

われわれが提供している顧客起点の営業成果貢献ツール「Magic Moment Playbook」を先行導入していただいた企業には、Magic Momentの理想の営業スタイルを体現できるよう、弊社が誇るカスタマーサクセス部隊を常駐させています。ツールの実装だけではなく、共に営業活動に取り組み、新たな営業スタイルを実装することで、価値観が変わるような体験をしていただいています。

顧客エンゲージメントは、営業の現場だけの話ではなく、あらゆる場面における価値の提案側と受ける側との関係性だと捉えることもできます。そう考えると、営業だけではなく採用・教育など、さまざまな場面や分野で応用可能であり、あらゆる人と人の関係性を捉えて構造化し、生かせるようにすることで経営全体が変わっていく。

経営が変わると、社会も変わっていく。効率性が高まって時間が生まれ、より仕事に愛着が持てるかもしれないし、家族との時間も増えるかもしれない。すべての境界線が溶けていく。われわれの取り組みが、そうした世界の始まりになればいいと心から願っています。

鶴見 このような、顧客エンゲージメントを真の指標とする経営を、「TRUE INDEX経営」と名付けました。おそらく100年後、「TRUE INDEX経営」は、社会インフラではないですが、なくてはならないもの、当たり前のものになっているはずです。ただ、本当に100年かかってしまっては意味がない。それを10年とか20年に縮めるのが、Magic MomentとGOの役割ではないでしょうか。