上原氏とモーニングスター朝倉氏の語る行動力

野球と資産運用の共通点とは?

新型コロナウイルスの感染拡大により、スポーツもビジネスも大きな影響を受けている。日米のプロ野球で活躍した上原浩治氏は、「苦しいときこそ、今できることをしっかりとやるべき」と語る。第三者投信評価機関、モーニングスター代表の朝倉智也氏と、これからの時代に求められる考え方や行動について意見を交換した。

高校時代は控え投手
「雑草魂」をつねに持ち続ける

朝倉 私も子どもの頃はリトルリーグで野球をやっていました。上原さんは2019年に引退を表明されましたが、まだプレーの姿を覚えています。新人1年目から大活躍でしたね。小さい頃から将来の夢はプロ野球選手だったのですか。

上原 小学校の卒業文集には、将来は野球選手になりたいと書いていましたが、高校では外野手兼控え投手でした。体育教師になろうと思って大学受験したのですが、失敗しました。1浪して合格できましたが、その1年間は本当に勉強漬けでした。それまで野球しかやってこなかったので、かなりしんどかったですね。

朝倉 上原さんが書かれた本も拝見しましたが、そこは意外でした。ずっとエリート街道を歩んでこられたのだと思っていました。

上原 むしろ挫折からのスタートでした。大学受験には一度失敗しましたし、入学できても練習環境は恵まれたものではありませんでした。当時は専用のグラウンドもありませんでした。有名な監督やコーチがいるわけでもありません。それでも、チームで練習メニューを工夫してやっていました。大学時代に日本代表に選ばれても、卒業後にプロのマウンドに立っても、自分の中には「野球のエリートには負けたくない」という雑草魂がいつもありました。

上原 浩治
東海大仰星高校時代は外野手兼控え投手。1年浪人して大阪体育大学入学、投手に専念し頭角を現す。3年時に日本代表に選ばれ、1997年インターコンチネンタルカップ決勝で国際大会151連勝中のキューバに先発、勝利投手となる。98年読売ジャイアンツ入団。1年目に20勝4敗の好成績を残し、新人王と沢村賞を受賞。2009年ボルティモアオリオールズと契約、メジャーリーガ-となる。ボストンレッドソックス時代はワールドシリーズ制覇に貢献。18年読売ジャイアンツに復帰。19年現役を引退

先発から中継ぎへ転向
与えられた場所を全うする

朝倉 日本のプロ野球で10年プレーされた後、2008年11月にはFA宣言で米メジャー挑戦を表明されました。私は、大学卒業後は邦銀に就職したのですが、グローバルに仕事がしたいと思い、外資系投資銀行に転職。さらに米国のビジネススクールでMBA(経営学修士号)を取得しました。その後、ご縁があって、当時はまだベンチャー企業だったモーニングスターの日本法人の立ち上げに参画しました。上原さんは、メジャーでも活躍されましたが、自信はあったのですか。

上原 自信なんてありません。野球をやるからには一度はメジャーの舞台で投げてみたいという思いだけでした。2年契約だったので、その間は精いっぱいやってみようと考えていました。結局、メジャーでは9シーズンもやらせてもらうことができました。転機になったのは、「先発」から「中継ぎ」への転向でした。

朝倉 メジャー1年目に右ひじを痛めたことがきっかけだったそうですね。ビジネスでも会社や上司から期待されたにもかかわらず、成果が出せず、任務を解かれることもあります。上原さんはそのとき、先発でなければ辞めるとは言わなかったのですか。

上原 言いませんでしたね。というのも、自分が何のために米国まで来たかといえば、メジャーで野球をするためですから。監督から「中継ぎで考えている」と言われたときは、与えられた場所を全うしようと考えました。

朝倉 それはすばらしい考え方ですね。目の前にあることにしっかりと向き合うことがとても大事だと思います。昨今は、コロナ禍により、多くの企業、ビジネスパーソンが厳しい環境にさらされています。将来に関して不安を感じている人も多いでしょう。しかし、やみくもに心配してもその不安がなくなるわけではありません。今はやるべきことをコツコツとやることが大事ですね。

モーニングスター 代表取締役社長 朝倉 智也
1966年生まれ。慶應義塾大学卒業後、銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事。95年、米国イリノイ大学経営学修士号を取得(MBA)し、同年ソフトバンク入社。98年、モーニングスター設立に参画し、2004年より現職。著書『〈全面改訂〉投資信託選びでいちばん知りたいこと』(ダイヤモンド社)など
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スポーツでもビジネスでも
まずは行動を起こすことが大切

朝倉 上原さんは、株式投資などの資産運用も始めたそうですね。

上原 勝負運をそがれると思って、現役時代はやっていなかったのですが、引退してから始めました。あくまでも、余裕のある資金の一部を株式投資に振り分けるというスタンスです。また、自分の中で、投資額の上限を決めています。

朝倉 上原さんのスタンスは納得できますね。一方で、まだ若い方や現役世代の方の場合、株式の短期的な売買に大きな資金を投資するのはリスクが大きいので注意が必要です。

上原 株式の短期売買は買い時、売り時の判断が難しいといわれていますね。

朝倉 そうですね。現役世代の方であれば、一日中株価を見ているというわけにもいきません。主従で言えば、日々の仕事や生活が主であって、資産運用は従です。そういう点では、資産運用にあまり悩まないようにしたいところです。そこで、「ドル・コスト平均法」という購入方法もあります。価格が変動する商品を一定の金額で定期的に購入する方法で、価格が低いときは購入量が増え、価格が高いときは購入量が減ります。毎月、決まった日に、1万円ずつといったように、積み立て感覚で購入することもできます。

上原 私も経済について勉強するようになりました。スポーツでもビジネスでも、まずは行動を起こすことが大事だと思います。

朝倉 そこで大切なのは、他人のやり方をまねしたり鵜呑みにしたりするのではなく、自分なりに考えることです。というのも、一人ひとり、年齢、資産、許容リスクは異なるからです。上原さんは44歳という年齢で引退されましたが、まだまだ人生はこれから。多くのビジネスパーソンの方も人生100年時代を迎えます。将来お金に困らないためにも、資産運用に関心を持ってほしいと考えています。

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