データ漏洩防止に「サーバ集約」が重要な理由

メインフレームのプロから見た「最新事情」

企業向けに、ソフトウェアの販売や導入支援などのサービスを提供しているソフトプレックス。IBMのメインフレームを使う大企業を主な顧客としているが、2020年7月には自社のハイブリッド・クラウド上にも、基幹業務ワークロード向けプラットフォーム「IBM z15」を導入して運用を開始した。その狙いは、はたしてどこにあるのだろうか。

メインフレームの「セキュリティーが堅牢である」理由

ソフトプレックス(以下、SoftPlex)の設立は1994年。メインフレームのダウンサイジングが叫ばれ、オープン系が台頭してきていたタイミングだ。IBMメインフレームの技術支援やパッケージ販売を主とする同社にとっては、まさに逆風の中での起業だった。しかし、同社代表取締役社長でありながらセキュリティーの専門家でもある葛西泰寛氏は、むしろオープン系への移行の波に、不安を感じていたという。

ソフトプレックス 代表取締役社長
葛西 泰寛

「当社が起業した頃には『メインフレームはいずれなくなるだろう』という意見が数多くありました。しかし当社は、セキュリティーを重視するならメインフレームがよいと確信していました。実際、機密性の高い情報を扱う企業や、セキュリティーを重んじる金融機関、長期にわたってデータを保存しなければいけない企業などを中心に、今なおメインフレームは必要とされ、使われています」

メインフレームの中でも、葛西氏が絶大な信頼を寄せているのがIBM Zだ。IBMは事業戦略の中心にハイブリッド・クラウド環境の実現を掲げている。Zはそのハイブリッド・クラウド環境をつくる中核と位置づけられており、データセキュリティーや信頼性、可用性の要求が高いミッション・クリティカルなワークロードを担う。

「IBM Zはアクセスコントロールを一元化しているため、外部の悪意を持った人間がデータを盗むことが不可能な構造になっています。また、マルチバーチャルであることもセキュリティーにとっては重要な特長です。もし誰かがハッキングしてシステムの中に侵入しても、ハッキング先の空間には何のデータもない状態です。さらにメインフレームには、「ABEND(abnormal end:異常終了)」という機能があります。システムを暴走させて制御不能にし、データを抜いてしまうというハッキング方法が取れない。その点でも非常に安心です」(葛西氏)

サーバの集約化で「手間とコスト」を減らす

データ漏洩のリスクを考えるなら、メインフレームが有力な選択肢であることは間違いない。ただ、SoftPlexも、実は社内業務システムはIBM Zではなくオープン系システムで形成しており、Linuxサーバが乱立していた。今回、同社がIBM Zを自社システムに導入した理由の1つには、数の増えたx86サーバを1つに集約する狙いもあった。IBM Z1台にまとめると、具体的にどのような利点があるのか。葛西氏はこう解説する。

最新モデル「IBM z15」の3フレームバージョン

「まず、サーバ OSやミドルウェアのバージョンアップを1台ずつ行う必要がなくなります。また、メモリやディスクの追加が容易なこともメリットです。サーバが数多くあると、メモリやディスクが足りなくなるたびに追加しなければなりません。これは現場だけでなく、決裁する経営層にとっても手間でしょう。とくに大企業では、社内にサーバが数百台存在するケースも多いですが、それらを一つひとつバージョンアップしていくのは非常に煩雑。一方、これらをすべてIBM Zに集約できれば効率的です。情報システム部門の現場も経営層も、それぞれにかかる手間を大幅に軽減できます」

サーバを1つにまとめることのメリットは、業務の負担軽減だけではない。コスト面でも大きな効果が見込めるという。

「例えばサーバのメモリを追加するときは、たいてい余裕を持って多めに追加するものです。仮に4ギガずつ多く追加する場合、サーバが200台あれば合計800ギガ増えることになります。しかしサーバ1台にまとまっていれば、その分無駄を省け、追加するメモリの総量が比較的少なく済むんです。経済合理性も非常に高いと思います」(葛西氏)

コロナ禍で、サービス提供に新しい課題が発生

SoftPlexがIBM Zを導入した理由は、ほかにもある。きっかけは新型コロナウイルスの感染拡大だ。在宅勤務を採用する企業が増え、とくにIT業界や主な顧客となる大企業では在宅勤務実施率が高く、同社の仕事の進め方にも変化が起きた。

「以前は、当社の営業担当が窓口となって顧客と話をし、リクエストを吸い上げていました。しかしリモート会議の普及により、顧客の担当者と当社の技術者同士が直接話す機会が増えました。また、以前は顧客と当社、そしてIBMの3社がそれぞれ1対1でFace to Faceでのミーティングをしており、結果としてミーティングの回数も多く時間を要していました。今は3社が一斉にリモートで集まることができるようになりました。コミュニケーションの質もスピードも、確実に向上しています」と葛西氏は語る。

一方、新しい課題も発生している。従来はデータセンターなどの現場で提供していたOSバージョンアップのサービスを提供しづらくなったのだ。

「お客様の担当者が在宅勤務しているケースが増えていますし、『現地に来て作業するのは、必要最低限にとどめてほしい』と要望を受けることが激増しました。昨今の社会情勢を考えると、もっともです。ただ、現地に行けないことでバージョンアップが遅延したら、信用に関わる。質のいいサービスを、いかに一度で提供するかが課題となりました」(葛西氏)

IBM Zの実機を購入して新サービスを開発

こうした課題を解決するカギとなったのが、自社環境へのIBM Zの導入だ。SoftPlex社内にIBM Zの実機を持ち、顧客の新規システム環境をSoftPlex側に構築、そこであらかじめ導入作業やバージョンアップ作業を行い、完了を確認したうえで顧客側に引き渡すことができる。

顧客のデータを引き取り、バージョンアップしてから引き渡すという新サービスを開始した

「通常、お客様はまず新しいマシンを買って、旧マシンとの2台持ちの状態にしてからバージョンアップを行います。しかし、当社のマシンでお客様の新規 IBM Z環境が構築できれば最初から新しいマシンを購入する必要がなくなり、IT投資のリスクを減らせます」

SoftPlexは20年7月に最新モデル「IBM z15」を導入し、このサービスを開始した。IBM z15はスタンダードなラック式になっており、オフィスに実機を置いて運用することが可能。実際に同社のオフィス内マシンルームで稼働している。

「当社の新サービス『SmartV-UP』はすでに提供を開始していて、現在作業中のお客様プロジェクトは21年5月にサービスインの予定です。通常のやり方なら2年はかかるバージョンアップも、1年足らずで可能になり、スピードの面でもお客様に貢献できます」

セキュリティーの堅牢化やサーバの集約化に貢献するだけでなく、同社の新しいビジネスモデルを切り開いたIBM Z。葛西氏が絶大な信頼を寄せているのも納得だ。

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