ビール類市場で「機能系商品」が急上昇の理由 時代にフィットした「金麦のオフ」の戦略

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コロナ禍では、健康に対する私たちの意識が⼤きく変化した。感染症対策も意識した継続的な健康づくりのため、⽇常⽣活で無理なくできる工夫が支持されている。そうした中、2020年はビール類市場で糖質やプリン体をカットした「機能系商品」が好調だった。ビール類全体の市場が縮小する中、機能系商品は売り上げを伸ばし、中でもサントリー「金麦〈糖質75%オフ〉(※)」は、20年1~9月の売り上げが前年比121%(※1)と快進撃を続ける。なぜ今、機能系商品が伸びるのか、そして「金麦〈糖質75%オフ〉」が大きな支持を集めるのだろうか。

2020年、ビール類市場に「異変」が起きた

ビール類市場における「機能系商品」とは、糖質やプリン体をカットした商品のことだ。その市場は2000年代前半に誕生し規模を拡大してきたが、15年をピークに以降は伸び悩んでいた。

しかし20年2月以降、販売実績で前年越えの月が連続し、機能系商品全体の実績は20年1~9月で前年比106%(※2)と、好調を続けている。ビール類市場自体、年々縮小傾向の中でのこの好調ぶりは、異例ともいえる。

出典:サントリービール

こうした機能系商品の新境地を象徴する存在が、サントリー「金麦〈糖質75%オフ〉」(以下「金麦のオフ」)だ。「金麦のオフ」は発売から19年まで7年連続で最高売り上げを更新し、年々成長してきたが、20年1~9月売り上げは実に前年比121%と、さらに売り上げを伸ばし続けている。

出典:サントリービール

なぜ、「金麦のオフ」がここまで伸びたのか。注目されるのはリピート率の高さだ。サントリービール(株) マーケティング本部の森田景子氏は次のように分析する。

 ※「金麦」比 
 ※1・※2 出典:サントリービール

売り上げ20億本突破した「金麦のオフ」成長の理由

サントリービール株式会社
マーケティング本部
森田 景子氏

「2020年に『金麦のオフ』がどんなお客様に選ばれたのか調査したところ、その多くが、もともとは非機能系商品を飲まれていた方であることがわかりました。ほかの機能系商品からの流入ではなく、『金麦のオフ』で機能系商品に出合い、そのまま飲み続けていただくパターンが多いです」

昨年以降、コロナ禍によって家でビール類を飲む機会が増えているだけでなく、免疫力を高めるために食べ物に気を使ったり、外出自粛による“コロナ太り”を気にしたりと、健康志向がより高まっている。機能系商品が求められる下地が整っていたことは確かだが、「金麦のオフ」の快進撃の理由はそれだけではない。

根底にあるのは“味わいの向上”だ。機能系商品といえば、かつては「機能がある分、味には妥協が必要」というイメージがあった。ところが開発が進んだ結果、味わいは年々進化し、とくに近年はおいしいからと選ばれることも増えているという。

「『金麦』自体はご存じの方が多いので、なんとなく『金麦のオフ』を試したときに、『あれ、糖質オフでも普通においしいんだ』『麦の味は変わらず楽しめるのか』といい意味で裏切られたのだと思います。以前のお客様は比較的ストイックな健康志向を持っていましたが、ここ最近は、『健康は気になるけど、おいしさも捨てたくない』という“緩やかな健康志向”のお客様が増えています」(森田氏)

「おいしさ」といってもさまざまだが、「金麦のオフ」におけるそれは、人々を飽きさせないすっきりした味わいだ。

「お客様からは、『すっきりしていてどんな料理にも合うので、夕食のお供に重宝している』『飲んだ後も軽やかで、家事のやる気が失われない』との声が聞かれます。実際『金麦のオフ』は、ホップの配合をかなり工夫して、このすっきりした後味を実現させているんです」(森田氏)

前代未聞の「季節で変わる味わい」のワケ

「金麦」シリーズは発売当初から、麦芽の中でもうまみをつくる成分の多い「旨味麦芽-RICH MALT-」を使用している。そこに、一昨年末から新たに国産麦芽が一部ブレンドされ、「贅沢麦芽」としてより複層的で上質な麦のうまみを出すことに成功した。

また、天然水100%で仕込まれているという点にも、こだわりの強さがうかがえる。

さらにお客様の日々の食卓に寄り添うべく、「金麦」シリーズはユニークな工夫も欠かさない。人のおいしさの感じ方は季節によって変化することを踏まえ、「金麦」シリーズも季節ごとにほんの少し味わいを変えているのだ。季節に合わせて味を変える商品は、ビール類ではほかに例がないという。これによりどの時季でも、「金麦」シリーズと日々の食事をおいしく楽しむことができる。

認知はまだ4割。リニューアルで伸びしろ期待

そして2021年1月「金麦のオフ」はリニューアルを行い、より味わいを強化しているようだ。

「今回のリニューアルでは、麦芽を増やして麦のうまみ・満足感をいっそう高めています。とはいえ、支持の高いすっきりした後味は確実に担保したかったので、バランスの調整には大変気を配りました。

実は、世の中の『金麦のオフ』の認知は4割にすぎないんです。だからこそ、伸びしろはまだ十分あると考えています。一口飲んでいただければ、これまでの機能系商品のイメージがガラリと変わるはずです。ぜひ一度、手に取っていただきたいです」(森田氏)

2020年は、多くの人が自分や家族の健康と向き合った。一方で、家飲みの需要が増えたことも事実だ。とくに在宅勤務中は、家でのお酒がオンとオフを切り替えるスイッチとなる。おいしくリフレッシュしたいし、せっかくなら毎日の夕食も楽しみたい。しかし、夕食後も家事は続くし、やはり健康にも気をつけたい。

「金麦のオフ」は、こうした時代性を見事にすくい取り、人々のニーズのありかを、売り上げで証明してみせた。新しい生活様式の下、「金麦のオフ」は今後も真価を発揮し続けるだろう。

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