「マンション管理費高騰」に管理組合の切り札 「高すぎる管理費」を払い続けない選択肢もある

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今、マンション管理の手法として「自主管理×アプリ」という新たな手段が注目されている。背景には人手不足という業界の構造的な問題により、マンション管理費の値上げラッシュが続いているからだ。問題を根本から解決しうるという、この手法はいったいどのようなものか。

管理不全マンションは今後5年で急増する?

首都圏の新築マンションにおける戸別の管理費月額平均は、およそ1万9000円(専有面積70平方メートルに換算)で、2015年から5年連続で上昇している(東京カンテイ「首都圏マンションのランニング・コスト最新動向」より)。

出典:東京カンテイ「首都圏マンションのランニング・コスト最新動向」

管理費の内訳はマンションごとに異なるが、主に管理人や清掃員の人件費、事務委託手数料、会計管理、設備の保守点検費用が含まれる。つまり管理会社に管理を委託さえすれば、マンションの維持管理に必要な一切を取りまとめてくれるというわけだ。

常時40以上の管理組合と顧問契約を結び、マンション管理に関するコンサルティング業務を請け負っているマンション管理士の武居知行氏は実情を次のように語る。

メルすみごこち事務所
シニアパートナー
マンション管理士、CFP®︎
武居 知行

「管理費の値上げラッシュが続きますが、管理会社から求められる管理費増額の打診を受け入れられない管理組合もあります。というのも、管理会社の社員である『フロント』が迅速な対応をしてくれないなど、管理会社の仕事ぶりに不満を抱えている管理組合も少なくないからです。

一方でフロントは、人材難から1人で常時10棟前後の担当マンションを抱えていることも多いため、対応が遅れてしまうというやむをえない事情もあります」(武居氏)

管理組合から見れば、現状の対応に不満があるのに値上げなんてとんでもない話だが、管理会社の変更を検討したところで、各社とも管理費値上げの真っ最中であり安値では受けない。それどころか、今、管理会社が撤退してしまい、管理不全に陥りそうなマンションが各地で発生しているという。

「管理会社は人手不足のため『採算が取れない』と判断すると、撤退をしてしまうのです。現状の管理委託費の値上げスピードを踏まえると、おそらく今から5年ほどでこれまでの金額では賄えなくなり、大幅に管理費を値上げするマンションの組合が続出すると私は見ています。

このまま管理会社に依存した状態で、管理費を本当に払い続けることができるのか、必要分の修繕積立金を貯められるのか。手遅れになる前に管理組合で真剣に話し合い、合意形成しておくべきです」(武居氏)

管理会社100%依存は
「会計を取引先に任せている」のと同じ

従来のような“管理の丸投げ”では、将来的に立ち行かなくなるマンションが増えるという予測の中、新発想のマンション管理方法が注目されている。

管理会社に管理業務を委託せず、管理組合で管理業務を遂行する「自主管理」と、「自主管理」をサポートする「アプリ」の併用だ。アプリの名前は、「KURASEL(クラセル)」。

開発を手がけたのは、大手マンション管理会社の三菱地所コミュニティから分割で設立された、イノベリオスだ。取締役の安藤康司氏は次のように開発背景を語る。

イノベリオス
取締役 常務執行役員 兼 管理部長
安藤 康司

「今後マンション管理コストは増加傾向となる一方、高齢化もあり住民の収入は減少傾向です。安価な管理会社を求めるにも、どこかに限界点はあります。私たちは、自主管理という選択肢も取らざるをえないマンションが増えると見ています。

住民目線からすると、自主管理は『不安・手間が増える』というイメージがあると思いますが、その両方を払拭するツールがあれば、との考えからクラセルを開発しました」

自主管理といっても方法はさまざま。管理業務の一部を管理会社に任せるケースもあれば、すべてを管理組合で担うケースもある。ただし、住民が清掃したり、保守点検したりと実働するわけではなく、専門会社に管理組合から直接委託するパターンがほとんどだ。

仮に管理費の支払いに耐えられるのであれば、わざわざ自主管理しなくてもいいのでは、と思われるかもしれないが、「そもそもマンション管理のすべてを管理会社に任せる手法は最適とはいえない」と安藤氏は指摘する。

「マンション管理組合を1つの会社に置き換えると、管理会社は、マンションにとっての『経営コンサル 兼 会計事務所 兼 主要取引先』 になります。この3つの役割は利益相反することも多々ありますよね。管理会社にすべてを任せている=主要取引先にお財布を預けてしまっている、という状況なのです。ゆえに、自分たちのマンションの会計は自分たちで管理し、必要な箇所は外部の力を借りる、という自主管理をお勧めします」

自主管理を行う際に煩雑になりがちなのは、管理費などの請求管理をはじめとした会計回り。これを、クラセルが支援してくれる。マンション管理における会計業務は、企業で使われるような会計ソフトが必要とされていたが、一般的には難易度が高い。

このため、会計ソフトで使われるような「借方・貸方」などの用語を使用せず、誰でも理解できるように工夫し、スマートフォンからでも簡単に会計処理ができるように使い勝手のよさにもこだわったという。

また、クラセルは銀行窓口に行かずとも毎月発生する管理費等の請求や支払いの管理ができる。管理費の収支状況をリアルタイムで閲覧でき決算報告書も自動で作成可能だ。わからないことが出てきても、困ったときの相談機能があるのも安心。
 

クラセルついて、実際に自主管理のサポートをする前出のマンション管理士の武居氏は、こう評価する。

「マンションの自主管理は発展途上ですが、管理費のコストを大幅に削減できる方法であることは確か。手間のかかる会計業務をクラセルに任せることができれば、管理会社から自主管理へ移行しやすくなると思います」

クラセル導入で年間200万円のコスト削減

クラセルの月額利用料は3万5000円・税抜き(※200戸以上の場合は1マンション当たり5万円・税抜き)と良心的かつわかりやすい。コスト削減効果は50戸のマンション換算で年間200万円(1戸当たり約3300円/月)の削減が見込まれる。

クラセルの運用は管理組合から選出される理事に任せるのも1つだが、「最初はやはり不安」ということであれば武居氏のようなマンション管理士にサポートを依頼するのも手だ。

では、実際どのようなマンション管理組合から引き合いがあるのだろうか。「クラセルのリリース後、すぐに全国から問い合わせがあり、すでに50組合がクラセル導入に向け検討していただいており、続々と契約が決まっています」と話すのは、イノベリオス営業部の小田弘明氏。

イノベリオス
営業部 セールスマネージャー
小田 弘明

「東京都内のマンションが圧倒的に多いですが、北海道から沖縄まで、全国各地からお問い合わせがあります。主なニーズとしては『コストの削減』『管理会社への不満』『自主管理という新たな選択肢への興味』の3つです。

とくに感じるのは、自主管理への関心の高さ。これまで管理会社に不満があった場合は、管理会社を変えるしか方法がなかったため、自主管理という選択肢の理解を深めたいとお考えになる管理組合が増えているのかもしれません」(小田氏)

現在は、会計業務の利便性を向上させる機能に特化しているが、今後はニーズをくみ取りながら自主管理に必要な機能を拡充していく予定だという。

「コロナ禍において、会場に集まらなくてもアプリ上で総会が開催できるような機能についても検討しています。将来的には、マンションの資産価値の向上やコミュニティーの向上に寄与する機能の実装も見据えています。クラセルさえあれば、管理会社に委託するよりも良好な管理組合運営ができるようになることを目指しています」(安藤氏)

マンションでの快適な暮らしを求める以上、適切な管理と無縁ではいられない。コスト上昇という難題に直面する管理組合だが、マンション管理会社として培った豊富なノウハウが詰まっていながら、誰もが使いやすいクラセルが自主管理という新たな選択肢を力強く支えてくれるはずだ。

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