コロナ禍でもスムーズに「法人カード」導入 柔軟な対応でスピーディーなカード発行が可能
ミニトマトを広めたのは、実はトキタ種苗
「コロナ以前は、海外に年間200日は出張していました。そのため、経費精算には非常に手間がかかっていました」と語るのは、トキタ種苗 代表取締役社長の時田 巌氏だ。現在は新型コロナウイルスの影響で海外出張は見合わせているが、国内出張はほぼコロナ流行以前のペースに戻りつつある。コーポレート・カードの導入により、出張時の経費精算が格段に効率化したという。
トキタ種苗は、1917年創業の歴史ある種苗メーカーだ。日本や世界で野菜の品種改良を手がけてきた。トレーサビリティーの進む昨今、スーパーに並ぶ野菜も、育てた農家の顔まで見えるようになってきたが、残念ながらどこの種が使われているかまではわからない。だが実は、流通している野菜には同社の種から育てられたものが多い。例えばミニトマトは、同社の先代がアメリカの品種を日本向けに改良して作った革新的な品種だという。
「四季があるのは美しいことですが、農業をするには、日本はかなり厳しい環境です。そこで、日本の風土でも育ちやすくする品種改良が必要になります。また、消費者は旬にこだわらず、いつでも野菜が食卓に上ることを望みます。ハウス栽培などの技術ももちろん必要ですが、品種としてもさまざまな季節に対応できるよう改良が求められるのです」(時田社長)
そんな厳しい環境で改良された種というのは、やはり世界でもニーズが高い。また、改良した種の生産は海外農場で行うため、生産担当者も必然的に海外出張が多くなる。したがってトキタ種苗の営業職、生産部門、農家への指導部門は国内外問わず頻繁に出張に出かけていることになる。
海外出張時のレート換算は出張者も経理担当者も混乱
そこで、課題になっていたのが出張経費精算の効率化だ。実は、これまでの経費精算システムではPCでの管理しか行えず、海外出張時にスマートフォンで精算処理を行うことができなかった。こうしたことから経費精算システムの刷新を進めていたところ、アメリカン・エキスプレスからコーポレート・カードの提案があったそうだ。
同社が新しく導入した経費精算システムの「SAP Concur」とコーポレート・カードが連携できるため、出張の多い社員はカードを所持することで、出張経費の精算がほぼ自動化できる。これまでのように、金額をシステムに入力する必要もない。また経理部門としても入力ミスがないかなど、領収書とシステムを細かく目視で確認する手間からも解放されることから、効率化を目指してカード導入を検討したという。
「海外出張が多いために、レート換算も非常に手間に感じていました。海外のその場で精算ができないことから、日本に戻ってきてから、各国のその日のレートまでさかのぼって精算しなければなりませんでした。経理部門もこのレート換算には相当確認に手間取っていたようです」(時田社長)
「SAP Concur」とコーポレート・カードの連携であれば、数字の入力すら必要なくなる。レート換算も自動的に行われるため、出張者や経理部門の手間は大幅に削減できる。また、将来的には経費の支払いに貯まったポイントを充当することも可能だ。そこで急ピッチでコーポレート・カードの導入が進められたのだ。
旅行代金一括請求システムとコーポレート・カードの併用により旅行保険費用を削減
同社がさらに魅力を感じたのが「BTA(ビジネス・トラベル・アカウント)」だった。BTAとは、複数の旅行代理店に依頼した出張・旅行代金などの決済をカードレスかつサインレスで行える旅行代金一括請求システムだ。同社ではもともと旅行代理店と月締めの一括請求を行っていたのでこの点よりも、自動付帯の「フライト保険」が魅力的だったという。
「BTAでは、決済したすべての国際線航空券に自動的に死亡保障額6000万円のフライト保険が付帯していました。これまで海外出張時には別途旅行保険をかけていたので、直接的なコストカットが可能になります。この点もコーポレート・カードに魅力を感じた理由の1つでした」と時田社長は振り返る。
ただ、このBTAの利用に際しては課題もあった。本来BTAでは航空券の発行日ベースでの請求となるが、その場合、これまで行っていた旅行代理店との支払いサイトが狂ってくる。「その点もBTAを出発日ベースの請求に変更いただき、旅行代理店側との調整もされてこれまでどおりの支払いサイトを実現してくれました」と時田社長は、柔軟なアメリカン・エキスプレスの対応を評価する。加えて、コーポレート・カードでは海外出張については旅行傷害保険が自動付帯となり、国内出張についてもコーポレート・カードで決済することで利用付帯として国内旅行保険がついてくる。こうした結果、年間約180万円ものコストカットにつながったという。
コロナ禍でもスムーズな導入、状況に合わせ対応
このほか、今回は「SAP Concur」側との連携のためカード発行を急がねばならず、スピーディーな発行を実現するため、申込書類の原本提出前にPDFデータの確認でカード発行まで行う柔軟なフローを実現。また、テレワークなどで署名が難しい社員にも署名なしでのカード発行をアメリカン・エキスプレス側では対応したという。こうした対応に、時田社長は「カード会社がここまでしてくれるのか」という感想を持った。
「もともと私は、アメリカン・エキスプレスの個人カードユーザーなので、よい印象を持っていましたが、コーポレート・カードになると、もはや企業のコンサルに近いものを感じています」
そんな時田社長の感想のとおり、現在アメリカン・エキスプレス側からは、さまざまなサービスが提案されているという。1つは、新電力への切り替えである。電気料金の直接的なコストカットの側面もあるが、還元されたポイントをカードの利用料金に使用できるメリットもある。
またトキタ種苗は海外拠点が多く、ここでもコーポレート・カードを活用すると、本社と同じく経費管理が省力化できるほか、本社側で使用状況が把握できるので経費の透明化にもつなげられそうだ。
「海外では、設立されてから年数が経っていない拠点もあり、通常であればその営業年数で信用枠が決まってしまいます。ですが、アメリカン・エキスプレスさんでは、本社の信用枠が適用されると聞いています。そういった柔軟な対応もありがたいです」
もともと、野菜品種開発というのは短いものでも8年もかかるほど、非常に辛抱強い経営体制が必要になる。短期の利益追求の視点ではとても経営は難しい。農家を支え、食を支えるという「志」があって初めて成り立つ世界だ。その志を貫くためにも、同社では今後もアメリカン・エキスプレスの提案を役立てながら、社員の生産性や経理業務の効率化、さらにはコストの削減などを進めていく考えだ。
1917年、埼玉県春日部市で創業。野菜の種の改良・販売を行い、84年には日本向けのミニトマト「サンチェリー」を発表、その後改良を重ねた「サンチェリーエキストラ」は全国シェア80%を記録。その後も86年には実用バイオ野菜「千宝菜」を発表するなど次々と優良な品種改良を続け、現在は、中国、インド、イタリア、アメリカ、チリに拠点を展開するグローバル企業に成長した。近年では、日本の風土に合わせ品種改良したイタリア野菜の種を数多く手がけ、「Gusto Italia(グストイタリア)」のブランドで美味しい食べ方までを提案するプロジェクトを推進する。