大ヒットで見えた鬼滅の刃「定番化」の可能性 映画は空前の動員を記録、興収200億円も視野
また、『鬼滅の刃』の人気の理由のひとつに、背景を含めたキャラクター造形と描写の妙がある。“柱”をはじめとした鬼殺隊のメンバーだけでなく、“十二鬼月”のほか宿敵である鬼たちにもそれぞれが人間だったころのドラマがある。それは、本編により深みをもたらす、作品の幅を広げる物語となり、ファンを魅了することは間違いない。
こうしたキャラクター外伝はいくつも数えられるうえ、「〜編」からなる作品の構造としてはスピンオフ的なオリジナルストーリーも可能になるだろう。『名探偵コナン』のようにいずれ毎年の公開も夢ではないポテンシャルの高い作品なのだ。映画としてその作品性が示され、そこへのファンの支援も取りつけた本作は、定番化できるコンテンツとして関係者に認識された。まずは本作の興行がとこまでの規模になるかが注目されるが、この先の映画界の関心は、『鬼滅の刃』をどこまで大きく、長く続くブランドとして育てていくかだろう。
未知の興行領域に踏み込む可能性
映画ジャーナリストの大高宏雄氏は、本作の興行について「今回の記録的な大ヒットは、原作の社会現象化、広範囲な層に共感を生んでいる作品力、コロナ禍の現状など、いろいろな要素がかみ合った。シネコンの上映回数が尋常ではない多さになった裏には、コロナ禍で大きなダメージを受けた映画館の期待の高さが現れていると思う。
そして蓋を開けてみれば、上映回数に見合った観客が訪れた。それがこれまでの大ヒットアニメとはスケール感の違った爆発的な興行につながっている。近いうちに100億円を超えるが、その先はどこまで数字が伸びるか、正直見当がつかない。今週の動向次第では、まったく未知の興行領域に踏み込み可能性もあります」と分析する。このままの勢いが続けば『君の名は。』以来の興行収入200億円超えもあるかもしれない。
そして、今回のヒットの意義を「歴代最高のスタート成績はともかく、映画の持っている底知れない力を見せてくれた。配信に揺れる映画界の希望、自信につながったと信じたいです」と語り、劇場版シリーズ化については「現時点でははっきりしていないが可能性はあるし、映画界にとって、次の作品への期待は非常に高いと思う」と語った。
映画シーンを底上げしていく定番シリーズ化への映画界の熱い期待がかけられている。
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