先駆者は「危機的時代」をどう生き抜くのか

持続可能な社会で目指す、豊かで明るい未来

崖っぷちの時代、経営者は何を考え、行動しているのだろうか
新型コロナウイルス禍によって経済環境が厳しさを増す中、先行きに不透明さが高まり、次の時代への模索が続いている。かつてないほど経験したことのない大変化に対し、大手企業はもとより、日本を支えている中堅・中小企業にも、多大な影響を与えている。この危機的時代を生き抜く「先駆者」は、どのように考え、ビジネスで社会を変革するための行動へ踏み出すのか。「これからの自分と経営のあり方」について、現在の苦境に日々立ち向かう経営リーダーたちに聞いた。

「コロナ以前に戻る」という選択肢はない

「私が小学校3年生だった1989年は、日経平均が4万円に迫り史上最高値を記録しました。また『IMD(国際経営開発研究所)世界競争力ランキング』で日本はナンバーワン。間違いなく、経済で世界1位の国だったんです。でも30年経った今、日本は過去最低の34位まで落ちました」。世界で初めてミドリムシ(学名:ユーグレナ)の食用屋外大量培養に成功したユーグレナの出雲充代表取締役社長はこのように指摘する。

ユーグレナ
代表取締役社長
出雲充氏

日本の順位が大きく下落したことについて出雲社長は、「その要因は明らかです。IMDランキングの評価指標のうち、アントレプレナーシップとデジタルトランスフォーメーション(DX)の2つについて、日本は全63カ国中最下位でした。これは日本が世界諸国と比べて起業家が少なく、デジタル対応が遅れていることを意味しています」。

2018年に、OECD(経済協力開発機構)加盟国でGDPを比較した調査では、「日本は労働者1人当たりが生み出す付加価値が年間800万円であるのに対し、アメリカは1300万円以上に達しています。日本は年間を通して忙しく働いていますが、アメリカはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を使って業務を効率化しています。その差は開く一方です」(出雲社長)。

日米で大きく異なるものとして出雲社長が紹介したのが、大学卒業後に勉強のためにかけた金額だ。自分でテキストを買ったり、所属企業が研修のために投資したりする金額を合計したところ、日本では1年間に5万円であるのに対し、アメリカは440万円だったという。

出雲社長は「アフターコロナに向けて、どうすれば社会を元どおりにできるかが議論されていますが、仮に元に戻ったとしても競争力は34位です。今後は少子高齢化が進み、カナダの総人口に当たる3000万人分の生産人口が失われます。こんな状況で元に戻すことにどれだけの意味があるでしょうか」と話した。そして「元に戻るのではなく、今日本に足りていないアントレプレナーシップ、DXの2つに取り組み、豊かで明るい道を取り戻すことが必要なはずです」と続けた。

「持続可能な社会づくり」に貢献した会社、経営者へ

ノベルティーグッズ提供などの購買促進事業で、豊富な実績を持つ内海産業。同社の長野慎代表取締役社長は、2014年7月、義父の跡を継ぐ形で2代目の社長に就任した。

内海産業
代表取締役社長
長野慎氏

しかし、人事制度をつくるべく社員にアンケートを取ったところ、「他の業界からやって来て社長が務まるわけがない」「あと10年同業他社で勉強し直してほしい」など厳しい声が寄せられ、また同社は2010年ごろから離職率が10%を超えており、「評価が不透明で離職率が高い。将来に不安がある」といった声も上がった。

そういった状況を改善すべく、「われわれのミッションは何かを徹底的に話し合いました」(長野社長)。その結果、“最上の着想で、購買欲に火をつける。”というミッションを全社員に掲げ、そのミッションを実践するためのプラットフォームとして、「Salesforce」を活用した。

それまでの内海産業では、顧客や仕入先、商品情報を、社員一人ひとりが複数のシステムと個人のノート等で管理していた。長野氏は「営業やデータ管理が属人化していて、営業活動の実態がよくわかりませんでした。また社員が退職すると、その人の取引記録が確認できなくなってしまっていました」と話す。

顧客に関連する情報を「Salesforce」上で一括管理するようになったことで、「取引の歴史が資産になり、情報で他社に勝てるようになった。お客様のご要望に応えるスピードが飛躍的に上がり、仲間の仕事から学べる機会も増え、個人プレー中心だった組織がチームに変わった」と社内から声が上がるようになった。

ほかにも、「Salesforce」を活用し、ミッションの実践に向け、仕事や情報の可視化に向けたさまざまな取り組みの結果、離職率は大きく改善し、16年度からは5%前後で推移しているという。

長野社長は「今は全社員の知識、経験、モチベーションの力をすべて引き出すエンパワーメントな組織を実現し、『買い物を楽しみ、モノを大切にする持続可能な社会づくり』に貢献した会社、経営者として憶えられたいと考えています」と話した。

「社会にどんな貢献をしているのか」積極的な発信を

セールスフォース・ドットコム
Ignite, Japan Innovation lead
田島佳奈氏

セールスフォース・ドットコムのIgniteチームは、デザイン思考のフレームワークを使って顧客のデジタル変革を支援する組織だ。田島佳奈氏はそのIgniteで2019年からリーダーを務めている。田島氏は「Igniteでは、お客様の成功を最優先に考えて活動しています。そうした取り組みを支えるカギとなるのが、弊社が創業以来21年間ビジネスの指針としてきたコアバリューです」と語った。

セールスフォースが掲げるコアバリューは「信頼」「カスタマーサクセス」「イノベーション」「平等」の4つで、これらを顧客をはじめとしたステークホルダーと共有している。セールスフォースの社員は皆、「従業員一人ひとりがコアバリューに基づいて行動し、会社の成長に寄与したいと考えています」(田島氏)。

近年は、企業のスキャンダルなどがいったん取り上げられると、長期のイメージダウンにつながる傾向にある。これに対し田島氏は、「社会にどんな貢献をしているのか、企業の側から積極的に発信することも重要です。ステークホルダーのニーズを予測し、先にアピールすることは長期的、持続的な成長につながります」と指摘する。

現在、セールスフォースは日本において“Leading Through Change いま、私たちができること。”というメッセージを出している。田島氏は「コロナの影響を受けた新しい日常において、私たちと関わるすべてのステークホルダーとコアバリューを共有することで、社会をよりよいものに変えていければ」と語った。

「企業はどのようにビジネスで社会を変革するのか」という観点から、ユーグレナ、内海産業、セールスフォースの3社からヒントを学んだ。次のページから無料でダウンロード・閲覧できるPDFでは、より詳細な内容を公開中だ。ぜひ参考にしてほしい。
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