SDGs Lab

城南信用金庫がSDGsに力を入れる理由(前編)

日本初の「RE100」達成、その先に見る未来

本企画では、エプソン販売・PaperLabの協力のもと国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け、どのようにSDGsを意識して企業活動をするべきか、その実例やレポート、価値ある提言などを紹介する「SDGs Lab」Webマガジンを月2回発刊します。

地球に住む一員として、限りある天然資源を守り、社会課題を解決し、誰一人置き去りにすることなく、持続的に成長していくこと。それは、公的な機関および民間企業、そして一個人に課せられた使命であり、互いの責任ある行動、消費、協調が欠かせません。

「SDGs経営」「自治体SDGs」を推進し、企業と地方公共団体の活動に変革を起こしていくために必要なことは何なのか。有識者からの提言、変革者の「実践知」をお届けし、皆様の企業活動を変革する一助となれば幸いです。第23回の今回は、再生可能エネルギー化100%を達成した城南信用金庫の川本恭治理事長に、きっかけや経緯を伺いました。
城南信用金庫
理事長
川本 恭治氏

―SDGsをどのように捉えていますか。

川本 われわれは信用金庫です。皆さんのイメージは「銀行の小さい版」かもしれませんが、実は信用金庫と銀行は似て非なるものです。銀行は組織上、株式会社ですから、株主の存在が非常に重要で、利益を出して株主に還元したり株価を高めることが目的になります。

一方、われわれは協同組織の地域金融機関で、株式会社ではありません。株主はいないし、株価もない。赤字はいけませんが、地域のお客様の役に立つことが最大の目的ですから、過度に利益を追求する必要は無いのです。

加納久宜子爵

 

もう少し具体的に言うと、全国に255ある信用金庫は「中小企業の健全な育成発展」「豊かな国民生活の実現」「地域社会繁栄への奉仕」という3つのビションを掲げて活動しています。SDGsは経済・社会・環境の3つのテーマにしていますが、信用金庫はまさにそれらを体現するビジョンを持って事業を行っているのです。

われわれに限って言うと、ルーツは1902年に加納久宜(かのう・ひさよし)子爵が設立した入新井信用組合です。加納子爵の教えは、「一にも公益事業、二にも公益事業、ただ公益事業に尽くせ」。118年前からずっと、今で言うSDGsを実践してきたと考えています。

―実践の1つが、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の利用です。きっかけは何だったのでしょうか。

川本 きっかけは、2011年の東日本大震災でした。実はわれわれの職員の家族には東北出身者が多く、今は減りましたが、昔は東北で高校を出られて就職をご希望の女性を採用していた経緯もあって、かねてから東北は身近な存在でした。その東北の皆さんの日々の暮らしが、震災ならびに原子力発電所の事故で一変してしまいました。そこで何とか原発に頼らずに安心して暮らせる社会を実現したいと考え、震災の翌年には再エネに切り替える活動をスタートさせました。

―具体的にはどのように切り替えていったのですか。

川本 まず震災の翌年に、東京電力から小売電気事業者のエネットに契約を切り替えました。原子力発電所では発電されていない電力を使用しています。

それから太陽光発電の設備が設置可能な店舗については、自家発電の設備を取り付けました。具体的には、本店と事務センター、元住吉にある寮。また、古い支店を建て替えるたびに太陽光パネルを取り付けています。建て替えは1年に1店ほどのペースなのでまだ少ないですが、今後も順次、設置していく予定です。太陽光パネルを設置した店舗には、店頭に発電量をお知らせするモニターを掲げて、「今、これくらいの発電をしています」とお客様にもご案内しています。職員やお客様には、太陽光発電は身近な存在になっていると思います。

城南信用金庫、本店(左)と事務センター(右)の社屋に取り付けられた太陽光パネル

→紙から紙を再生。環境負荷を減らすPaperLabとは?

サステイナブルな社会を目指して先陣を切る

―社内だけでなく、お客様に提供する商品でも再エネ利用を推進していますね。

川本 東京電力から新電力への契約切り替えとほぼ同時に新しい商品をご用意しました。まず「節電プレミアム預金」。これは太陽光パネルの設置や蓄電池の購入、自家用発電機の購入、LED照明の切り替えなどで10万円以上の設備投資を行った方に、金利を優遇するスーパー定期です。また省電力に関連する設備投資をする個人のお客様には「節電プレミアムローン」、法人、または個人で事業を行うお客様には「エナジーシフト」をご用意しました。

これらの商品を提供するに当たって、メディアの方から「大丈夫か」「業績に影響は出ないのか」というご質問をよく受けました。確かに世の中には脱原発に反対の方もいらっしゃいますから、そういった質問が出ることはわかります。しかし、実際に預金額は増え、太陽光パネルを設置したいというご相談もたくさんいただきました。再エネ関連の融資実行額は、15年度からの5年で88.2億円に達しています。この数字を見ても、お客様にご理解ご賛同をいただいていると考えています。実際にお客様から「頑張れ」と言ってご預金していただくことも多かったですよ。

―18年には再エネ率100%を目指す国際イニシアチブ「RE100」に加盟して、1年強で達成しました。

川本 RE100への加盟は、これまで取り組んできたことからいっても、自然な成り行きでした。加盟を機に、エネットでの契約を再生エネルギー100%のものに切り替えました。自社物件でなくテナントで入っている店舗が2%ほどあり、そちらについては、われわれで電力会社を選択することができないため、J-クレジットを購⼊することで、RE100を翌年に達成することができました。

日本全国で、自然エネルギーの普及を金融面からも積極的に支援。 2015年度からの5年間での自然エネルギー関連の融資実行累計金額 は、88.2億円となった

―RE100達成は日本企業初(注1)ですが、そもそも加盟も日本の金融機関として初めてでした。さらに2020年にはサステナブルファイナンス大賞を受賞しています。金融業界のロールモデルになりそうです。

川本 実は最初はどの金融機関も太陽光パネルの融資には消極的でした。ご家庭に取り付けるものに関しては商品があったのですが、発電所クラスの大規模な施設を造る事業に対する融資はほぼなかったのです。そこでさまざまな信用金庫に「一緒にやりませんか」と声をかけたのですが、さまざまなしがらみがあって実現せず、ほぼわれわれだけで始めました。その後、問題が起こるどころか、好評であったということがわかると、各地で独自でやられる動きが出てきました。自分たちをロールモデルというのはおこがましいですが、やはりどこかが思い切ってスタートする必要があったと思います。

サステナブルファイナンス大賞の受賞に関しても「すばらしい。さすが城南だ」という声を業界内から多数、頂戴しました。再エネを推進したいという思いは業界の多くの方がお持ちです。この動きがさらに広がっていけばいいですね。

8/27公開予定 城南信用金庫がSDGsに力を入れる理由(後編)に続く

→水を使わず紙を再生、サステイナブルな社会の実現に貢献する

【Column】
城南信用金庫で使用されているエプソンの「PaperLab」
「PaperLab」で再生した紙を、「エプソンのスマートチャージ」で名刺にしている
日々の業務を通じてSDGsの達成に向けて貢献している城南信用金庫。環境問題では、再エネ利用のほか、ペーパーレスにも取り組んでいます。ただ、現在は過渡期であり、完全に紙がなくなるところまではいっていません。
使用する紙を減らしながら、使用済みの紙を、環境に配慮して再利用することができないか。そう考えていた頃に出合ったのが、使用済みの紙から再生紙を作るエプソンの「PaperLab」だったそうです。この製品は、機械で衝撃を与えることで使用済みの紙を繊維にまでほぐして、水をほとんど使わずに紙の再生を実現することができます。
あわせて、紙の再生までできたなら、印刷においても環境を考えて、インク吐出に熱を使わないインクジェットプリンターを使用する「エプソンのスマートチャージ」を導入。
「PaperLab」と「エプソンのスマートチャージ」で印刷の小さな環境循環を実現し、消費電力と環境負荷の軽減に役立てています。
「今、職員の名刺は順次、『PaperLab』で再生した紙で作っています。再生紙を使うこと自体が環境にプラスですが、職員の意識改革につながることも大きい。資源を大切にしようと口で言うより、再生紙の名刺をお客様に渡したほうが、インパクトは大きく、当事者意識が強くなりますからね。いい仕組みに出合えたと思います」
【水の消費量】
通常の紙を作るのに、木の生育段階も含めて7610m3(注1)の水を消費します。これは25mプール(注2)で換算すると21杯分以上。一方、PaperLab A-8000が使用する水はわずか70m3(注3)、通常の製紙に比べて1%弱の水しか消費しません。(注4)
通常、製紙には大量の水を必要とします。
しかし、こちらの製品は、機械で衝撃を与えることで使用済みの紙を繊維にまでほぐして、水をほとんど使わずに紙の再生を実現。オフィス内で、資源の循環を行うことが可能です。「PaperLab」は、環境保全に役立つことはもちろん、企業のブランド価値の向上、さらに情報漏洩事故の防止、ガバナンスの強化にもつながります。環境、経済、社会にバランスよく貢献することを目指している製品と言えるでしょう。「PaperLab導入事例についてもっと知る」
(注1)P.R.VAN OEL & A.Y. HOEKSTRA(2010)
(注2)25mプール:長さ25m×6レーン(レーン幅2m)×深さ1.2mの場合、360m3
(注3)東京都市大学 環境学部 伊坪研究室算出(2018)
(注4)「PaperLab」は機器内の湿度を保つために少量の水を使用します
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PaperLab/エプソン販売