間接費削減による利益経営の実現と経営改革 東洋経済新報社主催フォーラム
【協賛】ビザ・ワールドワイド・ジャパン
【協力】コンカー
[オープニングセッション]
先進事例にみるコーポレートカードの
活用と間接費の低減
ある日本の大手企業の場合、出張・接待費に約35億円を使っている。そしてその事務的な処理に約2億円の経費がかかっている。加藤靖士氏はそうした実例を示しつつ、「コーポレートカード」をうまく活用すれば、コスト削減や戦略的経費管理、ガバナンス強化にもつながると提起した。コーポレートカードによりコスト削減を実現させるポイントとして、まずデータ提供能力、充実した加盟店網など「課題解決に応えられる力を持ったカード発行会社を選ぶ」、次にペーパー処理の撲滅など「明確なゴールの設定」、そして「ゴール達成のための社内体制構築・仕組みづくり」、の3点を挙げた。うまくコーポレートカードの利点を米欧企業が引き出しているのに対し、日本では業務の効率化を十分に実現できていない企業が多く見られるものの、逆に大きな改善余地が残されている点に着目している。また、海外のグループ企業も参加させる場合、各国のカード会社が同じフォーマットでデータを提供できることが必要となる、と指摘した。
[基調講演]
全社視点の間接費改革
その推進と定着の要諦
アビームコンサルティングは、4年前から間接費の削減に特化したサービスを提供。企業からの相談が急増しているという。金弘氏はその経験を踏まえ、間接費削減の改革を阻む壁として、経費実態がつかめるデータの不足、購買品目に対する知識が乏しいことや、取り組み手法のイメージのばらつきによる混乱などを挙げた。これに対し、単価適正化、消費量低減、マネジメントの仕組み化という「経費マネジメントトライアングル」の視点を適用することで、取り組みを整理して進めることを提唱。単価の適正化では、常識化の殻を破って単価水準を見直すこと、消費量の低減については節約だけでなく働き方そのものを改革することが重要だとした。またマネジメントの仕組み化については、競争環境整備の視点での調達プロセス改革や、IT活用の重要性を強調した。
最後に「全社間接費改革」は組織を横断的に巻き込む必要があり難易度は高いが、それだけに大きな改革の余地が残されている可能性も高いとして、間接費改革への積極的な取り組みを促した。