「28℃じゃ暑い…」エアコン設定温度何℃がいい? 日常生活の本音に、ダイキンが出した「答え」

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近年、節電意識の高まりを背景に広まった「冷房の設定温度は28℃にするべき」という説。以前この連載でも、温度28℃でも湿度をうまくコントロールすれば快適に過ごせることをお伝えした(『エアコン「28度で涼しい人」と暑い人の差』)。当時大きな反響が寄せられたが、一方で「28℃では暑く感じる」という声が多く上がったのも事実だ。では夏場、冷房の設定温度は何℃にするのがいいのだろうか。誰もが快適に過ごすためのコツはあるのか、改めて検証した。

快適に過ごすコツは「湿度をコントロールする」こと

今年も6月初めから真夏日が増え、ついに本格的な夏が近づきつつある。熱中症のリスクも気になるこの季節、快適かつ健康に生活するため、すでに冷房をフル活用して過ごしている人も多いだろう。この季節、オフィスでも家庭でも毎年話題に上るのが「冷房の設定温度」である。

環境省が2005年から推進しているCOOL BIZ(クールビズ)では「室温28℃」が提唱され、とくに東日本大震災以降、節電意識の高まりとともに全国に浸透している。一方で、人間が室内で感じる暑さ・寒さ(温熱感覚)は、年齢や性別、そして人によりさまざま。28℃では暑いと感じる人も少なくない。

人の快適性を決定づけるのは、「温度」「湿度」だけではない。「輻射(ふくしゃ)」「気流」「活動量(代謝量)」「着衣量」を加えた、全部で6つの要素の組み合わせによって決まる。中でも、大事なのは湿度をコントロールすること。以前もこの連載で紹介したとおり、「温度28℃・湿度85%」の環境では大半の人が不快さを感じたのに対し、温度28℃のままで湿度を「60%」に下げると、12人中10人が「快適」と感じたのである。

では、冷房の設定温度はいったい何℃が正解なのだろうか。ポイントは「湿度55%」。湿度を55%に保てば、温度28℃でも十分快適に過ごすことができる。ダイキンと理化学研究所が快適で健康な空間づくりに向けて2017年から行っている共同研究でも、先日、これを裏付ける結果が出た。

この共同研究では、温度4条件(24、26、28、30℃)と湿度3条件(40、55、70%)を組み合わせ、計12条件の空気環境を設定。健康な成人の男女57名ずつ計114名が、固定された温湿度環境下で過ごしたうえで、10分ごとに快適性などについての評価を行った。その結果、室温28℃の環境下でも、「湿度55%以下」にすると快適性が向上することが実証されたのである。

室温28℃環境では、湿度を55%以下に抑えることでより体感温度が低下し、快適さが向上した。温度・湿度の両方を適切にコントロールすることで快適性が向上することがわかる。逆に、室温28℃で暑いと感じる場合、湿度が高いことが原因として考えられる。

男性は24〜26℃、女性は26℃がいちばん快適

実験ではさらに、性別による快適性の感じ方の違いも明らかになった。男性は24〜26℃、女性の場合は26℃で最も快適性が高くなる傾向があったのだ。男性は温度を28℃に保ったままで湿度を下げるよりも、温度を24〜26℃に下げるほうが快適に感じる傾向にある。女性は、最も快適に感じられる26℃(湿度40、55、70%)の快適性と、28℃(湿度40、55%)の快適性が同等であることがわかった。

さらに女性特有の現象として、温度24℃で湿度を40%以下に下げると、寒く感じられてしまい快適性が下がった。あくまでも傾向としてだが、男性は温度を24〜26℃に下げること、女性は温度を26〜28℃に保ったまま湿度を55%以下に抑えることが、快適に過ごすコツだ。

ここで気をつけたいのは、外気温と室内の気温差が広がりすぎると、体への負荷も大きくなること。湿度コントロールが可能なエアコンなら、冷房設定温度は変えずに設定湿度だけ下げることで、快適に過ごすことができる。負荷を小さくするために温度はできるだけ高めに保ちつつ、湿度を下げるのがいいだろう。

しかし実際は、ほとんどのエアコンでは温度の設定しかできず、湿度のコントロールまではできない。冷房設定温度を28℃にしていても、湿度を55%に維持することができず、実際はもっと高い湿度になっていることが多いのだ。そのため28℃設定では湿度が高く、暑く感じる人が少なくない。冷房の設定温度を下げれば湿度も下がるので、28℃設定で暑く感じる場合には、設定温度を少し下げよう。 エアコンのほかに、除湿機を併用して湿度を下げるのも一手だ。

とくに今年は、例年よりも長い時間を家で過ごす人が多いはず。暑さを我慢せずに冷房を活用するのはもちろん、体感温度に合わせて温度・湿度をコントロールするのが最良だ。

窓の外に、すだれやよしずを置くのも効果的

なお、エアコンや除湿機を使う以外に家庭でできる工夫としては、日中も遮光カーテンを閉めておいて直射日光を防ぐこと、窓の外によしずを立てかけたり、すだれを吊るしたりすることが考えられる。すだれは室内でカーテン代わりに使うこともでき、汎用性が高い。

ダイキンは、空調専業メーカーならではの知見を生かし、快適に過ごすための空気環境のつくり方についてさまざまな情報を発信している。正しい情報を手に入れて、快適に過ごせる空気環境をつくり、いよいよやってくる酷暑を快適に乗り切ろう。

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