エアコン電気代節約vs窓開け換気、どう両立? 換気必須の夏、上手なエアコンの使い方とは
実は、ほとんどのエアコンは換気ができないことをご存じだろうか。「エアコンが換気をしてくれるので、窓は閉めっ放しでも大丈夫」と思っている人がいるかもしれないが、それは大きな誤解だ。ダイキン工業 コーポレートコミュニケーション室の重政周之氏は、こう説明する。
「ほとんどのエアコンは部屋の空気を吸い込み、冷やしたり暖かくしたりして部屋に戻しているだけ。換気はしていないので、窓を開けるなどで換気を別途行う必要があります」
一般的に家庭での窓開け換気のタイミングは、1時間に5~10分程度が目安といわれている。ただ、空気を入れ換える回数が多いほうが室内の換気効果は大きくなるので、可能であれば30分ごとに5分程度、小まめに行うとよい。
窓の開け方にもコツがある。基本的に空気の通り道をつくるために、開ける窓は1カ所だけでなく、2カ所開ける。そのとき、対角線上にある窓を開けると、さらに効率的な換気ができる。
今夏は、まず換気が優先だが、室内で熱中症にかかるリスクもあるため、エアコンを使わないわけにもいかない。問題なのは、換気をしながらエアコンを使うと電気代が上がること。少しでも電気代を抑える工夫はないものだろうか。
「換気による電気代アップ」のジレンマを解決
まず、外出から戻った際に、部屋の中が外よりも暑いと感じたときは、エアコンのリモコンを手に取る前に、窓を開けて換気をすること。エアコンに負荷をかけないためにも、窓を開けて風を通し、家の中の熱気を外に出すとよいという。
一方、エアコンの使用中に換気をする際は、エアコンをつけっ放しにするのがポイントだ。
「エアコンはスイッチを入れたときに、最も電力を消費します。また、室温とエアコンの設定温度の差が大きければ大きいほど、エアコンの負荷が高まって電気代に跳ね返ります。ですので、5分、10分程度の換気であれば、多くの場合エアコンのスイッチは入れたままにしたほうが節電になると思います」と重政氏は話す。
ただ、エアコンのそばに窓がある場合は、注意が必要だ。外から入ってくる温度の高い空気を直接エアコンが吸い込み、エアコンに負荷がかかり電気代が上がってしまうからである。そこで、できるだけエアコンから離れた窓を開ける、引き違い窓の場合はエアコンから遠いほうの戸を開けるのがポイントだ。
こうすることで、温度が高い空気を急激に冷やした際に、エアコンの吹き出し口などに結露が発生するのも防ぐことができるという。
電気代を抑えるという点では、ほかにもできることがある。例えば、人の体感温度を下げる方法だ。
「エアコンの風向きを水平にしたり、扇風機やサーキュレーターを併用したりして風を遠くに飛ばし、天井側にたまった熱を床側に循環させ、部屋の温度むらを解消すると効果的です。より涼しくなりたいときは、エアコンの風量を少し強めにしたり扇風機などを使ったりして、直接体に風を浴びて体感温度を下げるやり方もあります。エアコンの温度設定を1度下げるよりも、風量を弱風から強風に切り替えるほうが、消費電力は少なくて済みます」
フィルター掃除をしないと、消費電力が25%も高くなる
さらに、エアコンの掃除も効果的だ。「フィルターが汚れて目詰まりすると、エアコンの吸気量が減り、冷房効率が下がって無駄に電力を消費してしまいます。ですので、エアコンの自動掃除機能を使うか、この機能がなければフィルターのほこりを掃除機で吸い取ったり、汚れがひどいときは中性洗剤を溶いたぬるま湯でつけ置き洗いをしたりして、フィルターをきれいにします。掃除の目安は、だいたい2週間に1回程度です」
ダイキンが行った実験では「フィルター掃除をしないと、消費電力が25%も高くなる」というから驚きだ。
エアコンというと室内機にばかり目がいきがちだが、室外機のケアも忘れてはならない。「室外機の背面側にある熱交換器は、室内の熱を屋外に逃がすための重要な部品なので、熱交換を妨げないために、室外機に近いところに物を置かない、直射日光が当たる場合は1メートルくらい離れたところによしずを立てて日陰をつくるなどの工夫も効果的です」と重政氏はアドバイスする。
今年の夏のテーマは「換気」と「熱中症対策」といっても過言ではない。電気代が例年より増えるが、しっかりと換気をする。熱中症にならないようにエアコンもきちんと使う。そのうえでエアコンの掃除や、さまざまな節電の工夫を取り入れて乗り切りたいところだ。