在宅で「会社の電話取れない」を解決するには 「通話」の質がテレワークの成否を決める

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「会社の固定電話に対応するために出社しなければならず、在宅勤務ができない」「代表電話をクローズし、お客様との接点が失われてしまった」。2020年4月の緊急事態宣言以降、このような課題を抱えていた経営者や現場担当者は多いだろう。緊急事態宣言解除後も、安全かつ効率的に働くためにテレワークを継続して行う企業は多い。そこで注目されているのが、日本マイクロソフトとソフトバンクが次世代コミュニケーション環境として提供する音声通話機能「UniTalk」だ。このサービスのポイントについて、日本マイクロソフトの吉田馨一(よしだ・けいいち)氏、ソフトバンクの曹燕櫻(そう・えんさくら)氏に伺った。

――最初に、テレワークをどのように実践されているのか、またテレワークの効果についてお聞かせください。

 ソフトバンクでは2020年3月末ごろから、全社で出社が禁止になり、テレワークになりました。それまでもフレックス制の導入は行われていましたが、就業時間の自由度がより広がったと感じています。例えば、これまで海外の企業とのミーティングは、時差があって調整が難しかったのですが、テレワークで就業時間がより自由になったことで、柔軟なコミュニケーションをかなえられるようになりました。後は、出社すると不要なコミュニケーションが生じる場合も少なくありませんが、テレワークだと自分のタスクに集中できるので、時間を効率的に使えるようになったと思います。働き方が柔軟になったことで、その日のタスクに合わせて仕事がしやすくなりましたね。

ソフトバンク 曹燕櫻(そう・えんさくら)氏
「Microsoft Teams」を活用しながら、取材を進めさせてもらった

吉田 日本マイクロソフトでは、東日本大震災を契機として、11年3月からテレワークを推進していました。そのため、緊急事態宣言の前後で働き方が急変するといったことはありませんでした。予測不能な事態が発生した場合でも、場所と時間を選ばずに普段どおりの仕事ができるテレワークのよさを改めて実感しています。

日本マイクロソフトでは、オフィス移転や就業規則の変更なども行い、長い年月をかけてテレワークを定着させてきた

リモートで働く際の「電話」にまつわる悩み

――固定電話への問い合わせ対応は、テレワーク導入における課題の1つだと思います。「固定電話に対応するために出社しなければならない」方々もいらっしゃると聞きましたが、いかがでしょうか。

 ほとんどの日本企業が固定電話番号を利用しており、日本の商習慣上、地域番号への信頼度が高いと感じています。新型コロナウイルスの影響による自粛期間に、テレワークを検討する企業が増えましたが、電話環境の整備が追いついていない印象でした。固定電話に対応するために当番制で出社せざるをえないなど、一部の社員への負担の偏りが浮き彫りとなった企業も少なくないと思います。

吉田 仮に固定電話への問い合わせを停止してしまうと、ビジネスに支障が出ることが予想されます。実際に私が経験したことですが、急ぎで取引先と連絡を取りたいと電話したところ、留守番電話につながり、「新型コロナウイルスの影響で出社を控えているため電話に出られません」との応答がありました。もし商談の話だったら、機会損失になりかねないと思います。

日本マイクロソフト 吉田 馨一(よしだ・けいいち)氏

――日本マイクロソフトとソフトバンクのパートナーシップで開発された「Microsoft Teams」の音声通話サービス「UniTalk」は、そうした課題の解決に貢献しているとか。サービスの特徴についてお聞かせいただけますか。

 「UniTalk」は「Microsoft Teams」のユーザーが、パソコンやタブレット、スマートフォンなどのデバイスを使って、固定電話番号での発着信ができるサービスです。「UniTalk」により、会社でしかできなかった固定電話への対応が、場所を選ばずに可能になります。もちろん、現在利用されている会社の固定電話番号をそのまま引き継ぐことが可能です。

吉田 今回の緊急事態宣言では、コミュニケーション環境の整備が間に合わず、社員が個人の携帯端末を使って取引先へ電話をするようなケースもあったかもしれません。また会社から携帯端末が支給されていたとしても、固定電話番号での発信ができず、事前に取引先と携帯番号のやり取りが必要になるケースがあったと思います。その点、「UniTalk」なら携帯でも会社の番号で発信できるため、初めての取引先などに対しても失礼のない電話がかけられる。着信を受ける方も、「03」「06」といった会社の電話番号であることがわかる架電だと、抵抗感が少ないことが予想されます。

クラウドベースのサービスで、どこからでも固定電話での発着信ができる

どこからでも、チームで「会社の固定電話」に対応

――他社では、「UniTalk」をどのように使われているのでしょうか。活用による成功事例を教えてください。

 例えば、緊急事態宣言以降、特定の社員が電話対応のためだけに出社していたところ、「UniTalk」の導入により、テレワークを行っている複数人で電話対応を分担できるようになったケースがあります。1人だけ出社して全部の電話に対応するといった負荷の高い状況を、チームで解決できるようになったと聞いています。

――まさに、柔軟な働き方をかなえた好事例ですね。各種デバイスを使って固定電話の発着信ができることで、ほかに考えられるメリットはありますか?

吉田 普段、固定電話で対応するとき、片手で受話器を持っているとメモが取りにくいですが、パソコンで応対できるようになれば、メモを取りやすいですよね。また、電話をしていてわからないことがあっても、顧客対応しながら「Microsoft Teams」のチャットで内容を共有したり、わからないことを質問したりすることで、顧客対応のスピードを上げることも可能になります。

――緊急事態宣言により、急ピッチでテレワーク環境を整備した企業も少なくありませんが、これから先、働き方改革の流れはどうなると思われますか?

「Microsoft Teams」上でお互いに向き合った対談コミュニケーションを実現

 今後も継続してテレワークを検討する企業が増えていくと予想しています。そもそも、かねてより場所にとらわれないワークスタイルを模索している企業は少なくなかったはずです。テレワークの実現を考えたとき、固定電話への対応は議論の対象になるはずですから、その際にはぜひ「UniTalk」を検討していただきたいです。管理的な側面から見ても、「Microsoft Teams」という1つのプラットフォーム上で電話機能まで完結するため、管理負荷を軽減することにもつながります。

吉田 テレワークを後押しするツールや機能が充実していく中で、固定電話の存在はコミュニケーション環境を完成させるラストワンマイルだったと思います。今回の緊急事態宣言のように、想定外の出来事が起きてからビジネスが左右されることがないよう、早めの準備をされることが望ましいと考えます。

――「UniTalk」は、ロボティクス分析など音声を起点にした次のビジネスを考えているそうですね。今後の展開について教えてください。

 「UniTalk」は、「Microsoft Teams」 のクラウド基盤とソフトバンクの電話網を直接接続し、高い音声品質を提供していますが、その音声データを分析し、業務改善に役立てる方向で展開を考えています。コールセンターをはじめ、通常業務における音声データの活用の幅は広いので、そこに対するアプローチをしていきたいです。

吉田 「Microsoft Teams」の電話サービスには、すでに留守番電話の内容をAIがテキスト化する機能があります。クラウドに蓄積された音声データを分析する基盤は整ってきており、今後は会話内容そのもののテキスト化や分析など、活用の幅が広がっていくでしょう。「UniTalk」を通じて、企業の働き方改革やデジタルトランスフォーメーションなどのご支援ができるようにしていきたいですね。

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