SDGs Lab

企業経営で知りたい新しいSDGsのあり方(前編)

「発信型三方良し」でSDGsを実践する

本企画では、エプソン販売・PaperLabの協力のもと国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け、どのようにSDGsを意識して企業活動をするべきか、その実例やレポート、価値ある提言などを紹介する「SDGs Lab」Webマガジンを月2回発刊します。

地球に住む一員として、限りある天然資源を守り、社会課題を解決し、誰一人置き去りにすることなく、持続的に成長していくこと。それは、公的な機関および民間企業、そして一個人に課せられた使命であり、互いの責任ある行動、消費、協調が欠かせません。

「SDGs経営」「自治体SDGs」を推進し、企業と地方公共団体の活動に変革を起こしていくために必要なことは何なのか。有識者からの提言、変革者の「実践知」をお届けし、皆様の企業活動を変革する一助となれば幸いです。第15回の今回は、千葉商科大学 基盤教育機構 教授、CSR/SDGsコンサルタント笹谷秀光氏に、SDGsの最新潮流、今、経営者が知るべきSDGsについて、お話をお聞きしています。

著書『Q&A SDGs経営』(日本経済新聞出版社)も好評ですが、笹谷さんとSDGsとの関わりについて教えてください。

千葉商科大学 基盤教育機構 教授
CSR/SDGsコンサルタント
笹谷秀光氏

笹谷 ありがとうございます。拙著『Q&A SDGs経営』は私の知識と経験を凝縮した集大成といってもいい一冊になりました。一問一答でわかりやすい整理を心がけたこともあり、読者からの反応も多くあって、「SDGsは経営マターである」「自主的取り組みであるがすぐにも取り組まなければ時流に乗り遅れる怖さがある」といった点に賛同いただけたと感じます。私にとって、SDGsはライフワークになってきました。

SDGsに出合うまでですが、私は「産・官・学」を経験してきました。大学卒業後は農林水産省に入省し、外務省や環境省にも出向し、その後、縁あって、飲料メーカーの伊藤園に入社しました。経営企画部長を経てCSR(企業の社会的責任)を導入し、CSR担当取締役になり、CSRやSDGsに取り組みました。

退職後は、コンサルティングファームの顧問なども経験し、今は、さまざまな企業の役員会やステークホルダーダイアログに出るなど、コンサルティングを中心に活動しています。企業の社長や役員に、SDGsの考え方をお話ししたり、その企業に合ったSDGsの展開の仕方をアドバイスしたり、いわばエバンジェリスト的な活動をしています。

それと並行して、アカデミアでも活動をしています。日本経営倫理学会やグローバルビジネス学会など複数の学会で理事を務めるほか、4月からは、千葉商科大学・基盤教育機構で教授として教壇に立ち、SDGsを体系的に教えることになりました。

「発信型三方良し」でSDGsを実践する

―飲料メーカーでは、どのような取り組みをしていたのでしょうか。

笹谷 もともと社会性の強い企業でした。例えば原料の生産地の育成事業を手がけたり、リサイクルにも取り組んでいたりしていました。私はもっと多くの人に、こうした活動を効果的に知ってもらうほうがいいと考え、新たにCSR報告書を作ったのです。2015年には統合報告書になり、さらに16年にはSDGsに特化したリポートも作り始めました。

日本語だけでなく英語でも発信しました。すると、16年に世界的経済誌でも高く評価されました。これは、大きなインパクトがあったと思いますし、国内では17年に行われた第1回ジャパンSDGsアワードの受賞にもつながりました。

―SDGsと発信の関係においては、どのような効果があるのでしょうか。

笹谷 SDGsには発信が重要です。発信することで、よいリアクションが2つ起きます。

1つには、仲間が増えること。例えば飲料メーカーにいた時ですが、私たちがリサイクルに取り組んでいることを知った異業種の方から、思わぬご提案をいただくことにつながりました。

こちらの、SDGs Labのように、コラボで発信することは効果的ですね。メディアの力も使って、効果的に外に発信することによって、関心を持つ人が増える。いろいろなきっかけから、PaperLabとSDGsとの関係を知ることで、関係者からの反応が生まれます。そして、SDGsへの理解を通じてこの製品の導入に向けたオープンイノベーションが起きることを期待しています。

もう1つは、インナーブランディングです。今、自分が取り組んでいる仕事がどのような社会的意義を持つのか。SDGsというツールを使って社員に説明することで、社会や世界と接点があることが理解されて、モチベーションの向上につながります。これはコンサルティングをさせていただく企業でも、日々実感していますね。

―社会にとっていい取り組みも、自己満足ではいけないのですね。

笹谷 日本には近江商人の時代から「三方良し」の考え方が根付いていて、多くの企業はその精神を持って事業を展開しています。ただ、「自分良し、相手良し」は明確でも、「世間良し」についてはどこが世間にとって良いのか、フワフワとしていて、うまく伝わっていないのが実情です。これから必要になるのは「発信型三方良し」です。いわば、三方良しの「世間」を測る尺度が、今はSDGsだと考えてみてはどうでしょうか。自社の取り組みをSDGsにあてはめて考え、貢献できている箇所を社内外に伝えてみる。

そうすることで、オープンイノベーションが起き、社員のモチベーションも高まるのです。

SDGsは、「発信型三方良し」を実現するときの有用なツールになり得ます。国連で採択されたSDGsは、今や世界の共通言語であり、「うちのこの事業は、17のゴールのうち何番だ」と言えば、日本はもちろん世界の人々にわかりやすく伝わります。是非うまく活用していただきたいですね。

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