キリンビール、成長への“次の一手” 「新・淡麗グリーンラベル」を第3の柱に

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2002年の発売以来、糖質オフ・ゼロ系ビール類の市場を牽引してきた「淡麗グリーンラベル」が、この春リニューアルを行った。ユーザーの健康意識の高まりを受け、発売元のキリンビールは淡麗グリーンラベルを「成長の柱」の1つに据え、販売にいっそう注力していくという。同商品について、気になるリニューアルの内容と同社の狙いをお伝えする。

「おいしさと糖質オフを兼ね備える」希有な存在

今年10月に予定されている酒税法改正により、350ミリリットル当たりでビールは約7円の減税、新ジャンルは約10円の増税となる。それを踏まえてこの春、キリンビールがビール類における基幹商品へのいっそうの注力を打ち出す。

キリンビール株式会社 マーケティング部長
山形 光晴

ビールの一番搾り、新ジャンルの本麒麟という2つの柱に加え、同社が新たに「第3の柱」に見据えるのが、このたびリニューアルした発泡酒「淡麗グリーンラベル」だ。「発泡酒は10月の酒税改正では税率が変わらず(麦芽比率25%未満の場合)、2026年10月まで据え置かれる予定です。段階的に増税される新ジャンルとの価格差はグッと縮まることが考えられることから、『発泡酒にも勝機あり』ではないかと思っています」と、キリンビールの山形光晴氏は語る。

さらには、ユーザーの健康意識の高まりも背景にある。長寿化が進み「人生100年時代」が叫ばれるようになって、健康意識が年々高まりつつある最近。昨年1月に行われた調査では、消費者の食の志向について「健康志向」が46.6%で第1位となっており、過去最高を記録した(※1)

ビール類においても、糖質オフ・ゼロ系ビール類の市場は10年前に比べて有意に拡大している(※2)

18年間愛され続けてきた「淡麗グリーンラベル」。中身もパッケージも、この春新しく生まれ変わる

そんな中で淡麗グリーンラベルは、「おいしさ」と「糖質70%オフ(※3)」のバランスのよさが評価され、2002年の発売以来、糖質オフ・ゼロ系ビール類市場を牽引してきた。

「いうなれば、糖質オフ・ゼロ系ビール類を牽引してきたレジェンド的商品。そんな淡麗グリーンラベルで勝負に出るため、今回のリニューアルに至りました。『カラダ、気持ちいいおいしさ。』で表現される淡麗グリーンラベルの特長は生かしつつ、さらに多くのお客様に満足いただけるブランドにしたいと考えました」(山形氏)

ユーザーの認知が進み一定の人気を得ている糖質オフ・ゼロ系ビール類だが、伸びしろはまだまだある

ただ、ビール類全体で見ると、糖質オフ・ゼロ系ビール類のシェアは2割程度にすぎない(※4)。裏を返せば、まだ大きな成長の余地があるということだ。健康ニーズの高まりを背景に、「これまで糖質オフは飲んでこなかった」、「糖質が気になりつつも、手が出なかった」というユーザーを取り込むことができれば、販路の大幅拡大が実現することになる。

※1 日本政策金融公庫、農林水産事業「平成31年1月消費者動向調査」 ※2 インテージSRI ビール類市場推計販売規模(容量)(09年~19年) ※3 日本食品標準成分表2015年版(七訂)による。 ※4 インテージSCI ビール類市場容量シェア(19年1月~12月)

ビールと同じつくり方で、おいしい糖質70%オフを実現

淡麗グリーンラベルのいちばんの強みは、おいしさを損なうことなく糖質70%オフを実現していることだ。その秘密は、ビールと同じつくり方で製造されているという点にある。ビールで使用可能な原材料のみを使用することで、おいしさはそのままに、糖質70%オフを実現している。もちろん、ビールと同じ原材料で糖質70%オフを実現するのは容易ではない。同商品で採用されているのが、キリンビールの高度なビール製造技術を生かして編み出された「酵母に多くの糖質を食べてもらう」製法だ。

「ビールと同じ醸造工程で、酵母が糖質を食べやすいように分解し、糖質をより多く食べさせることで『糖質70%オフ』を実現しています」(山形氏)。さらに今回のリニューアルでは、ホップの配合を見直し炭酸ガス圧をアップすることで、喉元の刺激からくる「飲み応え」を強化している。もともとグリーンラベルの大きな魅力であった雑味のない爽やかな味わいはそのままに、満足感と飲み応えを進化させ、よりバランスの取れたおいしさを実現した形だ。キリンビールが行った調査では、ビール好きのなんと95.8%が「おいしい」と評価している(※5)

裏側と表側で少し異なる、こだわりの缶パッケージ。どちらも「淡麗」と「新」の文字が印象的だ

なお、中身だけでなくパッケージも刷新している。「デザインも、より品質感や洗練さを感じるパッケージにしました。これまでは小さく印字していた『淡麗』の文字を大きくし、缶の中央部に配置。さらに、当社のシンボルマークである『聖獣麒麟』と『GREEN LABEL』のリボンも大きくリサイズしました。上下にあしらわれるオーバルには、新たにグラデーションも加えて爽やかさを表現しました」と、山形氏も力を込める。

※5 キリンビール調べ(n=116)

「ビール好き」にマッチする商品に仕上がった

ビールと同じつくり方にこだわることで、おいしさを損なわずに糖質オフを実現してきた淡麗グリーンラベル。そんな商品が、このたびのリニューアルによってビール好きも満足できる味わいに進化した。まさに、同社が掲げる『カラダ、気持ちいいおいしさ。』を具現化した存在といえる。「糖質は気になるけど、味を気にして糖質オフは飲んでこなかった」、「価格を考えると発泡酒に切り替えたい気持ちもあるが、味を考えてビールを選んでいる」という“ビール好き”にもマッチする商品となった。

現状でビール類の2割程度にとどまる糖質オフ・ゼロ系ビール類の市場を、この春生まれ変わった淡麗グリーンラベルがどう牽引していくのか。ぜひ注視したいところだ。