KDDIがCSRランキングで1位を獲得した理由

どんな状況でも通信を守る「災害への備え」

週刊東洋経済が毎年発表している「CSR企業ランキング」。これはCSR(企業の社会的責任)と財務の両面から「信頼される会社」を見つけるべく作成しているランキングだ。評価項目は細かく分かれており、ポイントを積み上げることで、総合評価が決まる。2020年版で、KDDIは、昨年の2位から初の1位を獲得した。高評価の裏にはどのような取り組みがあるのか。話を聞いた。

経営がコミットし、サステナビリティを推進

KDDIは国内通信事業者としては初めて(KDDI調べ)CO2排出量の総量削減を掲げ、地球環境保全への取り組みを実施するほか、「安全で強靱な情報通信社会の構築」「多様な人財の育成と働きがいのある労働環境の実現」などを掲げたサステナビリティ活動を行っている。

サステナビリティ推進室長の鳥光健太郎氏は10年以上にわたり、同社のサステナビリティに取り組んできた実績があるが、その取り組みの歴史について次のように振り返った。

鳥光 健太郎 氏
KDDI 総務部 サステナビリティ推進室 室長

「かつては当社でも、『CSRは社会的責任』という意識が強くありましたが、SDGsへの取り組みやESG投資が盛んになっていることにもみられるように、社会の要請も変化し、それに伴って社内の取り組みも変化してきました。現在では、サステナビリティは経営戦略の一環として位置付けられ、事業を通じてどのように社会課題の解決へ貢献できるかといった観点から活動が行われています」

そう鳥光氏が語るように、同社では専任のサステナビリティ担当役員も配置され、経営がコミットしながら、社会の課題を幅広く見渡し、すぐに動ける体制を整備している。

鳥光氏はこう続ける。

「サステナビリティは特定の部門だけが取り組むのでは意味がありません。どこか遠い部署の問題ではなく、全社で、それぞれの事業を通じて取り組む重要なテーマであることを、一人ひとりの社員に知ってもらう必要がありました。時には、事業部門や地方の拠点をまわって直接説明するなど、地道にサステナビリティの意識を浸透させる努力もしました」

本業と一体化し取り組みを進める

今でこそ社会全体において、サステナビリティが経営と一体として語られるようになったが同社では早くから全社を挙げて、サステナビリティを進めてきたのは前述した通りである。同社の主力事業である通信事業でもその取り組みがみられる。

「2011年3月に発生した東日本大震災では、当社も中継ルートの一部寸断や、携帯電話基地局などの通信設備が大きな被害を受け、サービスが一時的にご利用いただけない状況となりました。その時の経験を踏まえ、歴史的な豪雨、大型台風の直撃など、いまも日本各地で相次ぐ災害時にも、ライフラインとして常に強靭な通信インフラを提供し続けたいと考えています。また、災害時においては、通信インフラの迅速な復旧は急務です。具体的に当社では『陸・海・空』からの万全な復旧・支援体制を取っています」

災害発生時には、避難所などで携帯電話の充電サービスも提供している

まず、「陸」について。災害発生後の初動時に活躍するのが「車載型基地局」である。高い機動力を生かして被災地へ向かい、現場で車載の基地局(アンテナ)から臨時で携帯電波をつなげるようにする。2019年8月には新型の車載型基地局を導入。新型は小型化したことで、運転免許の制限がなくなり機動性がアップし、立ち上げ時間も40分から15分に短縮された。

また、陸路からの通信エリア復旧が難しい場合は、「海」から「船舶型基地局」を活用する。海底ケーブル敷設船である「KDDI オーシャンリンク」は、2018年の北海道胆振東部地震後に日高沖に、2019年の台風15号発生後に千葉県館山沖と東京都大島沖に停泊し、沿岸部の携帯電話エリアの復旧に活躍した。

基地局を搭載した海底ケーブル敷設船「KDDI オーシャンリンク」

さらに「空」からはヘリコプターやドローンの活用に向けて取り組んでいる。基地局が被災して通信がつながらない状況でも、「航空機型基地局」が携帯電話の電波をキャッチして、被災者の携帯電話の位置を捜索できるのだという。2019年10月には国内で初めて、小型基地局を搭載したヘリコプターから商用電波を発射して遭難者を救助する実証実験を行っている。

「常にアップデートを繰り返しているインフラの整備ですが、備えるだけでは万が一の時に動けないため定期的に訓練も行っています」と続ける鳥光氏。

その内容も、実際に通信が遮断されたという想定のもとでどのような対応が求められるのかを体験するなど、かなり実践的なものだそうだ。

CSRランキングは指標。更なる改善を目指して

このように災害時にも迅速に対応できるよう、取り組みを続けるKDDIだが、今回、「CSR企業ランキング2020年版」でトップに選ばれた理由の一つには、同社が10年以上かけて、つねにアップデートし、改善に取り組んできたことも挙げられるだろう。

たとえ、自社にとってはネガティブな情報であっても、評価項目は社会からの要請だと考え、公開してきましたと、鳥光氏は語る。

「評価項目である『女性管理職比率』や『有給休暇取得率』などは、ここを高く評価されている他企業と比べると、まだ差があると認識しています。調査項目で求められる数値は、それぞれの主管部門と協議しながら回答していますが、このように、まだ評価が高くない項目については、各部門と議論するチャンスと捉え、積極的に関係部門と改善に取り組むきっかけとしています」

そして、と鳥光氏は力強く続けた。

「高評価、低評価で一喜一憂せず、高評価は励みとし、また低評価の部分は、社会からの要請に十分対応できていないと再認識し、改善に向け、社内の関係部門との議論を深めていきます。そして、今後も着実に取り組みを進めていきたいと考えています。」

KDDIのサステナビリティ活動から今後も目が離せない。
 

※TOP画像は、KDDIの海底ケーブル敷設船「KDDI オーシャンリンク」に搭載された船舶型基地局。災害時に海から沿岸部の携帯電話エリアの復旧を行う

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