「DeNA×地方銀行」で信用を再定義する意味

「新たな融資」のカタチで地域経済を活性化

金融機関から融資を受ける場合、年収や勤続年数などを基に返済能力が判断される。しかし、年功序列や終身雇用といった日本企業特有の雇用制度が崩れつつある今、将来も返済できるかどうかを判断するのは難しくなってきている。こうした中、DeNAは、次世代型与信サービス「Rerep(リリップ)」を展開し、これまでの与信や信用スコアとは一線を画す“信用の再定義”に取り組もうとしている。

DeNAはこのほど、利用者の日々の行動に応じてカードローンの金利負担が低減する次世代型与信サービス「Rerep(リリップ)」を開発、提携金融機関を通じたサービスの提供を開始した。

DeNA
ネットサービス事業本部
サービスインキュベーション事業部 リリップグループ
グループマネジャー
曽良竜太
(かつらりょうた)氏

リリップの企画・開発を担当した、同社ネットサービス事業本部 サービスインキュベーション事業部 リリップグループ グループマネジャーの曽良竜太氏は次のように語る。

「融資における信用とは、『返済するお金がある』『返済する意思がある』『返済を覚えている』という3つの状態があることで、その状態が続くことを予測するのが与信の役割です。しかし、年功序列や終身雇用といった日本企業特有の雇用制度が当たり前ではなくなりつつあり、10年先、15年先までを、現在のステータスで見通すのは非常に難しくなってきています。このような状況の中、貸付時に与信を行った後も、その状態を維持できるようサポートし、自分自身で信用を貯めていけるようにするのがリリップの役割です」

開発のきっかけは「勤続年数が1カ月足りない」

曽良氏は以前、住宅ローンを申し込んだときに「勤続年数が1カ月足りない」と断られた。このとき感じた違和感が、サービス開発のきっかけになったという。

従来の与信は、金融機関が借り手の年収や資産、勤務先、勤続年数などを重視しているため、曽良氏のような経験をした人は少なくないだろう。一方リリップでは、賢くお金を使う、ウソをつかない、約束を守るといった日々の行動で信用を積み上げていくことに重きを置いている。

具体的な仕組みはこうだ。利用希望者は提携金融機関にカードローンの申し込みを行い、審査をクリアするとリリップ用のアカウントが発行される。リリップのアプリをスマホにインストールし、ミッションを実行してそれにひも付くスコアを貯めていくと、スコアに応じてリリップ上のレートが下がり、借入金利との差額が提携銀行からキャッシュバックされる。

リリップで求められるミッションの例

ミッションは、「ランチの平均金額の登録」や「起床予定時間の登録」「契約内容の定期的な確認」「賢い返済方法に関するテスト」といった、日常の行動を測るものから金融リテラシーを高めるものまで、多岐にわたる。スコアや回答内容は利用者の許可なく提携金融機関以外に提供されることはない。

「ミッションは、融資における信用の3つの状態を維持してもらう観点から作成しています。例えば、ランチの平均金額の登録で節約意識を高めたり、起床予定時間の登録後に毎朝起きた時間を入力してもらうなど、『返済意思を高めるためのセルフコントロール力』を確認したりすることで、信用状態を可視化しています。また、せっかくスコアを貯めても、返済が滞るとスコアは下がります。返済の遅れに対するペナルティーが追加される仕組みになっていて、よりスムーズな返済をサポートできるようにしています」(曽良氏)

山口フィナンシャルグループがDeNAと協業した理由

リリップのサービスを提供する初の提携金融機関となったのが、山口フィナンシャルグループ(以下、山口FG)の山口銀行ともみじ銀行、北九州銀行の3行。

山口FGリテール戦略部 副部長の木本智二郎氏は、協業の背景を次のように説明する。

山口フィナンシャルグループ
リテール戦略部
副部長 木本智二郎氏

「われわれのグループでカードローンを利用されている方は、30代から50代が中心です。若い世代の方々にはなかなかご来店いただけず、関係の構築が希薄になっていて、キャッシュレス化の急速な進展が、その傾向に拍車をかけています。そこで、スマホに慣れているミレニアル世代向けにリリップを提供し、よい関係を築くきっかけをつくりたいと考えました」

人生には就職や結婚、出産、子育て、退職など、さまざまな局面があり、必要なお金もその時々で増減する。

「山口FGでは、人生の各局面に応じて適切な提案を行うライフプランニングを軸に、お客様の人生へ長期的に寄り添うのが当社の社会的使命と考えています。リリップの構想を伺ったときに『これはライフプランニングの一環となるサービスだ』と感じました」(木本氏)

リリップで得た信用スコア活用の可能性

DeNAは今後、提携金融機関を増やすとともに、新たな展開も視野に入れている。

「リリップで手がけているのは、あくまでカードローンの返済能力における信用の可視化です。可視化されたスコアがローン返済以外にも応用できるものなのか、われわれはまだ確信を持ってはいません。ただ、現在注目されているCtoCビジネスのように、小さな単位の経済圏が増えていけば、『この人はちゃんとお金を払う』や『ちゃんと約束を守る』といった個人にひも付く信用の必要性が高まっていくでしょう。その中で、『リリップとして何ができるのか』は、検討領域の1つです」(曽良氏)

山口FGは、少子高齢化や人口減少、後継者不足などの課題を抱える地域経済の活性化につながると期待を寄せている。

「地域が元気にならなければ、地方銀行は生き残れません。われわれは金融機関ですが、地方創生やデータ関連の子会社を設立するなど、地域を活性化させるための幅広い業務展開に取り組んでいます。将来的にはこうした領域においても、リリップで得た個人の行動特性や行動変容のデータを生かせる可能性を秘めていると考えています」(木本氏)

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Rerep(リリップ)