紙、電話中心の「アナログ現場」放置の深刻度

製造業、建設業、医療・福祉、農業は要注意

デジタルツールは驚くほど進化しており、情報共有をアナログからデジタルに変えるだけで生まれ変わったように生産性を高めている企業がたくさんある
さまざまなデジタルツールが登場しているにもかかわらず、いまだに紙、電話中心で情報を共有している企業は少なくない。「社員数が少ないから」「1人1台パソコンがないから」「ITが苦手な人がいるから」などの理由から、なかなかデジタル化が進まないという。テレワークが浸透する今だからこそ、アナログ現場の放置が、ビジネスに深刻な影響を与えることを想定しておかなくてはならない。

これまで「ホワイトボードやメールの情報共有で十分だった」という企業にも、人手不足や属人的な仕事の管理による業務への支障が出始めているという。とくに製造業、建設業、医療・福祉、農業などの業種における中小規模の企業では、今も紙・電話中心のアナログな情報共有を行っている企業が多い。中には、1人1台パソコンがない現場を抱えている企業も少なくない。

人材不足の保育業界で「人材に困らない」理由

保育業界も、その1つだ。現在、保育業界は保育士の離職率が高く、人材不足が深刻化している。そのため、保育の質を上げることはもとより、保育士や職員の労働環境の改善が大きな問題となっている。だが、奈良や大阪を中心に15拠点以上の保育園を展開する社会福祉法人みやびは、約250名のスタッフを有し、人材不足とも無縁だという。なぜなのか。みやびの理事長・中畑剛史氏は、こう話す。

社会福祉法人みやび 理事長 中畑剛史

「保育業界の離職率が高い原因の1つとして残業の多さがあります。全員の園児が帰った後に掃除をしなければならない、発表会の衣装をつくらなければならないなど理由はさまざまですが、全体的に手間暇かけるところに価値があるみたいなところがあります。うちが人材に困っていない理由は、私が保育士でないこともあり、これまでの常識にこだわらずに『保育に専念できる環境』をつくれていることが大きいと考えています」

そのため、みやびでは手づくりが当たり前だった発表会の衣装をネット購入にしたり、紙の保護者向けお便りをウェブ配信に変更したり、全園にロボット掃除機を導入するなどデジタル化を進めてきた。

「園児に関する申し送りなどの情報共有や、スケジュール調整にも課題を感じていました。メールや電話でのやりとりで時間がかかるのと、プライベートのコミュニケーションアプリを使用していたためです。かといって、グループウェアの導入はITになじみのないスタッフも少なくなく、なじめるかどうか不安でした。しかし、クラウドで簡単に使える『サイボウズ Office』をためしに使ってみることにしました。30日間無料で使うことができて料金もリーズナブルなため、あわなければやめればいいと思ったのです」

「サイボウズ Office」は1997年のリリース以来、継続して右肩上がりに導入企業を増やしているグループウェアだ。従業員300名以下、主に従業員数30~50名の中小企業を中心に、現在までに6万5000社以上の企業が導入している。クラウドで簡単に導入できるのはもとより、「誰でも簡単に使える」UI(ユーザーインターフェース)や、専任の情報システム担当者がいなくても手軽に管理できるのが人気の理由だ。

ソフィア保育園の園長も務める中畑氏。保育については手間暇かけてアナログでやっていく考えだ

みやびでは、「サイボウズ Office」導入の結果、スケジュール調整が驚くほどスムーズになったという。いつどこにいても「サイボウズ Office」上でスケジュールを調整できるから、社内調整の手間が大幅に減ったのだ。会議の回数も、「サイボウズ Office」上で密にコミュニケーションを取れるようになったため激減し、経費処理や稟議書の申請、決裁などのワークフロー業務も効率化されたという。

「保護者が見学にくると、デジタル化が進んでいてびっくりされます。今後も、効率化できることはデジタル化を進めますが、『保育』に関しては手間暇かけてアナログでやっていきたいと考えています。やっぱり保育士はみんな子どもが好き。『サイボウズ Office』で園児の保育に集中できる環境を整えたことが、保育士や職員の働き方の改善につながり、人材の確保も拠点の増設もしやすくなりました」(中畑氏)

医療・福祉、製造業、農業の「サイボウズ Office」活用事例はこちら

社員80名、小ロット「単品受注生産」が守れる理由

創業70年以上の大阪の老舗バネメーカー、東海バネ工業の事例も紹介しよう。同社は量産メーカーとは一線を画し、小ロット、高精度の手作りバネを得意とする単品受注生産が主力の職人集団だ。エネルギーや工作機械など国内外の産業のほか、あの東京スカイツリーにも同社の技術が使われている。そんな同社の競争力のカギとなるのが「職人の手わざ」である。そのため同社では技術者の育成に力を入れ、高い技術を誇ってきた。

小ロット、高精度の手作りバネを得意とする単品受注生産が主力の職人集団、東海バネ工業

だが昔から、技術の伝承というは、マンツーマンで手取り足取り教えるのが伝統である。暗黙知として属人的な技術になっていることが多く、技術者自身がノウハウを出したがらないことも珍しくない。東海バネのような大量生産の真逆とも言うべき企業では、技術の属人化が今後の成長を阻害する致命傷にもなりかねない。

「東海バネでは、2003年頃から会社の仕組みを変えていこうとデジタル化に積極的に取り組んできました。当初は従業員80名のうち、数名でのスモールスタートでしたが、『サイボウズ Office』を導入したのもその時です」と話すのは、東海バネの取締役を務める渡辺秀治氏だ。

使い勝手の良さを実感し、少しずつメンバーを増やして全社に拡大する段階で、パソコンと合わせて全社員に導入。「サイボウズ Office」のスケジュール管理、ファイル管理、ワークフローなどをフル活用し、情報の共有化を実現していった。

東海バネ工業 取締役 渡辺秀治 (右)
東海バネ工業 営業Gr 鈴木歩維 (左)

「紙で管理していた技術ノウハウについても、徐々にデータ化を進めました。社内設計・製造基準などの技術情報を『サイボウズ Office』で共有。ノウハウを共有できたことで技術者のコミュニケーションも促進され、より技術伝承がやりやすくなりました。また本社と工場が離れているのですが、『サイボウズ Office』のおかげで情報共有もスムーズです」(営業Gr 鈴木歩維氏)

東海バネでは、こうした優れた技術を社外に知ってもらおうと工場見学を積極的に受け入れている。かつて、この見学受け入れの業務が営業部門の大きな負担となっていたが、「サイボウズ Office」で工場見学依頼表を作成することで効率化。よりスムーズに取引先を“おもてなし”することができるようになったという。

さらに営業と技術部門のコミュニケーションの密度が高まったことで、取引先のニーズをいち早く現場に伝え、効率的な製品開発も可能になった。

「私たちは長年『サイボウズ Office』を利用し、少しずつ改善改良を重ねる中で多くの解決事例を見いだしてきました。経営者の皆さんは情報共有をデジタル化するだけで何かできるのかと思われるかもしれませんが、まずは“やってみなはれ!”の精神で試してみるべきです。そうすれば必ず企業の姿はより良い方向に変わっていく。より多くのビジネスの可能性を見出すことができるようになるのです。私たちも日本だけでなく、世界を目指してこれからも仕事に励んでいきたいと考えています」(渡辺氏)

デジタル化が加速する中で、その流れに乗り切れていない企業もあるに違いない。だが、紙や電話などのアナログな情報共有を放置することなく、今こそデジタル化への一歩を踏み出してほしい。現在は、アナログであることが多少の不便にとどまっていたとしても、数年後それはビジネスに深刻な影響を及ぼしている可能性は大きいからだ。

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