「プレミアムビール」を目指した新ジャンル登場

新ブランド投入でアサヒの逆襲始まる

家でビールを飲むとき、銘柄を決めずに飲む人が増えているという
「本当はビールが飲みたい。でも節約のために、我慢して新ジャンルを飲んでいる」という人はどのくらいいるだろうか。今、新ジャンルはビール類の主戦場となっている。そのため、実にさまざまな味わいの商品が出てきており、根っからのビール通をも満足させるものが登場している。今年3月には、ビールを超えて「プレミアムビール」のうまさを目指したものが新たに発売されるというが、その味はいかに。

今、ビール類の中でも、新ジャンル市場が活況を呈している。昨年10月の消費税増税もあり、節約志向の消費者に向けて、各社が力を入れて商品を開発している分野だからだ。大型の新製品やリニューアル製品の投入が相次いでおり、数多くのヒット商品が出ている。

確かに、これまで新ジャンルというと「本当はビールが飲みたいのに節約のために飲む」というイメージが強かった。ビール類は、2026年までに段階的に税率を統一することが予定されているが、現在の酒税は350mlのビールで77円、発泡酒で47円、新ジャンルで28円だから、店頭での割安感は新ジャンルが圧倒的だ。

しかも、クリアな後味で食事に合うものから、コクがあって本格感が楽しめるものまで種類が豊富。かつては「ビールに匹敵する味と聞いて飲んだが全然違った」などの声も聞かれたが、ビール類の主戦場となっていることから、これまでと比較して価格だけでなく味に対する満足度も上がっているようだ。

そのためユーザーの裾野も拡大。ビール類ユーザーの約7割が、新ジャンルを飲んでいる。週末はビール、平日は新ジャンルといった飲み方や、その日の気分によって商品を選ぶといった、銘柄を決めずに3~4ブランドを飲み分ける人が増えているという。

ビールに近い本格的な新ジャンルが人気

中でも、今注目なのがコク、味わいのある新ジャンルビールだ。「本物のビールの味に近く本格的」と人気になっている。なんと今月には、プレミアムビールのうまさや上質感・ぜいたく感を目指した新ジャンルが登場するというから驚きだ。

アサヒビールから3月17日に発売される「アサヒ ザ・リッチ」だ。新ジャンルながら、ビールの中の最高価格帯であるプレミアムビールを目指すとは、なんとも斬新だ。アサヒビールといえば「アサヒスーパードライ」。キレ、爽快感をイメージする人が多いだろうが、この「アサヒ ザ・リッチ」の味わいは、まったく別物だ。

アサヒビール
マーケティング本部
担当課長
岡村知明

「新ジャンルの中でも、直近2年くらいはとくにコク系領域が活況でした。これまで当社は、厳しい戦いを強いられてきたというのが正直なところです」と話すのは、アサヒビール マーケティング本部の岡村知明氏だ。新ジャンルにおけるアサヒビールの基幹商品「クリアアサヒ」は、すっきり・爽快系領域で売り上げが堅調に推移している。だが、コク系では、競合のヒットを横目に新ブランド投入の機会をうかがっていたのである。

そこで、「新ジャンルはおいしくなったが、まだビールには届かない」という消費者の声に注目。コク、麦のうま味、ぜいたく感や上質感、ご褒美感が消費者の理想にはまだまだ届いていないという調査結果を見て商品コンセプトを着想したという。

「こうしたキーワードを見て、『これってプレミアムビールのことだよね』と思いました。“新ジャンルでプレミアムビール”という想定外のコンセプトで目指したのは、日々のプチぜいたく、癒やしの提案によるデイリープレミアムのポジションの確立です」と岡村氏は振り返る。

とはいえ、プレミアムビールは麦芽100%のものが多い。一方、新ジャンルは、原料の幅は広いものの使用できる麦芽量に制限がある。ただでさえ、新ジャンルでビールらしさを出すのが難しいのに、どうやってプレミアムビールに匹敵する麦の味、香りを実現するのか。それは今までにない挑戦だったという。

常識を覆す「微煮沸製法」で麦感が格段に上がった

新たに取り入れたのが、これまでの常識を覆す「微煮沸製法」。写真はアサヒビール 酒類開発研究所の大橋巧弥氏

まずは、通常よりも濃い原麦汁エキス濃度にすることで深いコクと味わいを出す「贅沢醸造」と、高貴な香りを生むチェコのザーツホップという「最高級ホップ」を一部ブレンドして味のベースをつくり込むことにした。

どちらも既存の新ジャンルで技術の蓄積があった製法だ。さらに今回、新たに取り入れたのが、これまでの常識を覆す「微煮沸製法」である。アサヒビール 酒類開発研究所の大橋巧弥氏は、こう話す。

「通常ビールをつくる際、必ず麦汁の煮沸を行います。この煮沸は、しっかりと熱を入れて不純物と不快な香りを取り除くのがセオリーなのですが、ビールの本場ヨーロッパでは、新しい設備を導入することにより必要最低限しか熱を入れないんです。

当社は、海外企業の買収なども積極的に行っているため、このことは若手技術者が技術交流をする中で明らかになった世界的な潮流だったのですが、今回の新商品開発ではそこから発想をさらに飛ばして、誰もやったことがない、極限まで熱を減らす製法を試してみることになりました。そうしたら『麦感』のレベルが格段に上がり、味わいも複雑で深みも出てよりビールっぽい感じになったのです」

しかし、前代未聞の製法のため本当に工場でつくれるのか誰もわかりません。そこで研究所の分析技術を最大限活用し、味をつくり込みました。麦感に寄与する成分を同定し、数値化するのに1カ月。そして工場で仕込んだ麦汁を分析し、数値のばらつきの原因を推測し、調整を行った処方を工場にて再度仕込み、分析する。いわゆる安定供給のためのレシピをつくるためにPDCAを何度も回すというわけだ。工場のベテラン技術者からは当初懐疑的に見られていたが、出来上がった品質を提示し納得してもらったという。

そこからは全社一丸となって取り組んだ。生産体制を整えた後に行った顧客調査では、「麦の香りやうま味」「コク」「飲んだ後の満足感」は、これまでに見たことのない高評価が並んだという。

マットな濃紺に、獅子とユニコーンのエンブレムで高級感漂うパッケージを実現した「アサヒ ザ・リッチ」

微煮沸製法によって煮沸をコントロールし、麦の味を引き立てる香りを残すことに成功した「アサヒ ザ・リッチ」。いったいどんな味なのか。

「一口飲むと、まさにプレミアムビールを感じさせるものでありながら、味が濃くなると日常的に飲むのがしんどくなりますよね。新ジャンルだからこそ、デイリーに飲んでほしい。だから、日常的に飲める飲みやすさを確保するために最高級ホップで爽やかな後味を実現しています」(岡村氏)

パッケージも、マットな濃紺に、獅子とユニコーンのエンブレムで高級感漂うものになっている。1週間のローテーションに加えてみてはいかがだろうか。

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