「投資家主権の確立」を貫き、存在感を増す

世界No.1投信評価のモーニングスター

モーニングスター 代表取締役社長 朝倉 智也 Tomoya ASAKURA
1966年生まれ。慶應義塾大学卒業後、銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事。95年、米イリノイ大学経営学修士号を取得(MBA)し、同年ソフトバンク入社。98年、モー ニングスター設立に参画し、2004年より現職
著書『〈新版〉投資信託選びでいちばん知りたいこと』(ダイヤモンド社)など
ツイッター  https://twitter.com/tomoyaasakura
「投資信託の評価機関」であるモーニングスターは2020年1月29日、「ファンド オブ ザ イヤー 2019」を発表した。1999年に始まった同賞は時代の荒波を受けながらも21回にわたり継続されてきた。その背景にあるのは「投資家主権の確立」という思いだ。「投資評価のグローバルスタンド」を掲げますます存在感を発揮しようとしている。

あらゆる資産クラスが上昇する一方でファンドでは資金が流出

「ファンド オブ ザ イヤー」は、毎年、国内の追加型株式投資信託約5500本を対象に、優れた運用実績とマネジメントを持つファンドを選考するアワード(賞)だ。今回は、9部門で最優秀ファンド賞8ファンド、優秀ファンド賞33ファンド、合計41ファンドが選ばれた。

モーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏は、「『ファンド オブ ザ イヤー』では、1年間の運用実績などの定量評価だけでなく、運用方針、運用プロセス、運用・調査体制やその継続性、リスク管理体制、ディスクロージャーの状況など定性評価も考慮し分析、評価を行います」と話す。証券会社や銀行の営業担当者の中にも、投資家向けの商品アドバイスに「ファンド オブ ザ イヤー」の受賞などを重視する人が多いのにも納得がいく。実際に、受賞ファンドに資金流入が拡大するケースが少なくないという。

一方、資金の流入という点では、2019年は大きなトピックの年だった。「19年は、米中の通商交渉の影響などを受け、市場が乱高下しました。しかし最終的には日米の株式、原油、金、REITなどがそろって年率2ケタの上昇となりました。あらゆる資産クラスが上昇するという、いい環境だったと言えます。ところが、国内の追加型株式投信(ETFを除く)は、6290億円もの資金が流出したのです」。

苦労しているファンドマネジャーを評価したい

ファンドに関して、年間で資金流出となったのは1995年以来、24年ぶりだという。これまではマーケット環境がよくても悪くても流入超過が続いていた。要因はどこにあるのか。「大きくは市場が上昇局面となり利益確定の動きとなったことです。投資家にとっては悪いことではないのですが、そのまま保有していただければ今後も運用成績が期待できるファンドもあるでしょう。投資家への啓蒙活動なども含めて、業界全体で考えなければならない問題です」。

利益確定の動きが資金流出の大きな理由の1つとはいうものの、解約が増えるとファンドの運用に必要なキャッシュコントロールも難しくなる。「ファンドマネジャー(運用担当者)にとってみれば、ときには持っておきたい銘柄を売ってキャッシュをつくらなければならないという局面もあったかもしれません。その中で苦労していい成績を残したファンドマネジャーをしっかりと評価すべきだと思います」と、朝倉氏は話す。21回目を迎えた「ファンド オブ ザ イヤー」の歴史の中でも、資金流出の環境下での選考は初めてだ。その点では、受賞者はまさに評価に値すると言える。

朝倉氏が重視するのは、「良質なファンドを見極め、それを世に知らしめること」だ。ファンドマネジャーを評価するのもそのためだ。

最近の潮流としては、アクティブファンドよりもパッシブファンドが人気だ。つみたてNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の認知の広がりに伴い、残高を伸ばしているのもインデックスファンドだ。

「しかし、パフォーマンスを見ると、上位で大きくリターンを上げているのは、アクティブファンドがほとんどで、インデックスファンドを凌駕しています。アクティブファンドは短期間では上下動があるものの、5年、10年と長い期間では安定的なパフォーマンスを出しているものも少なくありません」と朝倉氏は指摘する。

今年アワードを受賞したファンドの中にも、設定以来30年以上にわたり運用を続けているものもある。このファンドをはじめ、リーマンショック、インターネットバブルの崩壊、東日本大震災など、いくつもの危機を経験してきたファンドもある。

過去には、ほとんどの資産クラスのファンドがマイナスパフォーマンスとなった年もあったという。「しかし、厳しい環境下でも頑張っているファンドやファンドマネジャーを表彰することで市場の活性化や投資家の資産形成の支援につながると考えて継続してきました」と朝倉氏は振り返る。

「ファンド オブ ザ イヤー 2019」についてはこちら

投資や資産運用市場全体の活性化に貢献していく

21回目を迎え、「ファンド オブ ザ イヤー」は名実ともにファンドのグローバルスタンダードとして確立されつつある。

「『投資家主権の確立』が当社の設立以来の理念です。投資初心者の若い世代の方はもちろんのこと、『人生100年時代』にはシニア世代の方もまだまだ資産運用のニーズがあります。幅広い層の投資家に向けて、情報提供や投資教育も行っていきます」。実際、地方銀行など地域の金融機関向けのタブレットアプリの提供などにもさらに力を入れていく計画だという。

ファンド市場はもとより、投資や資産運用市場の活性化に貢献するという点でも、引き続き「ファンド オブ ザ イヤー」そして、同社の取り組みに期待が集まっている。

注・世界No.1投信評価:モーニングスターグループの世界27カ国の拠点数、売り上げから。同社調べ

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ファンド オブ ザ イヤー 2019