「残念な贈り物」をもらっても困るという自明

ビジネス上の贈り物で失敗しない秘訣とは?

松屋銀座ギフトアドバイザーの片岸茉紀さん(写真左)、同販売促進部の清水麻帆さん(写真右)
お祝い事や御礼など、家族、親戚、友人にプレゼントを贈る機会は多々あるが、ビジネスシーンにおける贈り物はより難易度が高いかもしれない。それなりの関係性を築いていても、ベースはビジネスの相手だからだ。実際にビジネスパーソンを対象にアンケートを行ったところ、56%が「残念なプレゼント」を受け取った経験があることがわかった。

56%がうれしくないプレゼント経験あり

今回実施したアンケートの対象は、30~60代の女性のビジネスパーソン。全国300人の回答から浮かび上がってきたのは、贈り物をする側の7割以上がプレゼント選びに困っているということ。そして、プレゼントをもらって困った経験がある人も56%に上ったという悲しい現実だ。

困ってしまったプレゼント例として多かったのは、スカーフやアクセサリーなどの装飾品や洋服、ハンカチなど。身に着ける物は人目に触れることもあり、趣味が合わない時点で使われる可能性はゼロだ。家族や知人への「横流し」かネットフリマへの出品が関の山だろう。一方、「有名ブランドのタオルやソープの詰め合わせ」「高価すぎるポーチ」という声も挙がっており、贈る側が気を使ったであろう品物でも、時に相手を困惑させることがあるのだから難しい。

だからといって、投げやりになってはいけない。贈り物の失敗でビジネスチャンスが台無しになるというのは言いすぎだろうが、関係性を構築するチャンスは逃すからだ。本当に喜ばれるものを贈れば、次回会ったときにはその話で盛り上がることは容易に想像できる。

ではどうやってプレゼント選びをすればいいのか。頼りになるのが、松屋銀座の7階にある売場「デザインコレクション(以下、デザコレ)」だ。

デザコレは、松屋と「日本デザインコミッティー」が1955年に立ち上げたセレクトショップの草分け的存在。コミッティーは、「デザインの啓蒙」を旗印に発足した有志の集まりで、設立以降今日まで各分野の第一線で活躍するデザイナー、建築家、評論家が参加している。

実はデザコレに並ぶ約500点もの商品は、こうした名だたるコミッティーのメンバー(現在26人)の審美眼で選び抜かれたものばかり。日本人デザイナーによるものはもちろん、海外ブランドのアイテムも豊富。雑貨から家具、照明まで、厳選された世界中の優れたデザイングッズを販売している。つまり、失敗のないプレゼント選びの秘訣は、センスのある商品しかないところで選ぶことといえる。

※アンケートの対象は全国の30~60代の女性300人。ビジネスシーンにおけるプレゼント、ギフトの経験について聞いた

趣味を押さえることは必要

では、具体的にどんな商品を選べばいいのだろうか。ITソフトウェア企業の営業を担当する東洋松子さんという30代の女性を例に考えていこう。ある日、松子さんが懇意にしている取引先の課長(40代女性)・Aさんが部長に昇進し、決裁権を持つことになった。松子さんとしては、さらなる関係強化を図るべく、昇進祝いに何かプレゼントを贈りたい。A新部長の趣味は、お酒・アート・漫画・ヨガ。世田谷区の古いマンションをフルリフォームした自宅に住んでいる。

一方、社内では直属の部長(50代男性)・Bさんが役員になることに。松子さんの今後のキャリアのカギを握るかもしれないB新役員にも、日頃の感謝を込めて何か贈りたい。B新役員の趣味はゴルフのほか、旅行やプラモデル、ラーメンも好きで、千葉県郊外に一戸建ての自宅を構えている。

さて、松子さんはどんな視点でデザコレを回ればよいのだろうか。松屋銀座の片岸茉紀さんは、こうアドバイスする。

ネフ社(スイス)の「テクタス」(3万8500円税込)。ナカムラトモヒロがデザインした、モノトーンのスタイリッシュな積み木
ガラス作家の辻和美と木村硝子がコラボした「zoomer+」の「gizagiza Carafe」(6600円税込)と「gizagiza short」(4070円税込)。上部に切子加工を細やかに施したデザインが特徴的

「お客様にデザインをより理解していただくため、商品にはコミッティーメンバーによる解説がついています。例えば『テクタス』。『白いパーツが黄金比で分割されているので、どのように組み合わせても近代建築のようなオブジェに仕上がる』と解説にあるので、自分の好みで形を変えられるアイテムであることがわかります。アートがお好きで家にもこだわりがありそうなA新部長さんに喜ばれるのではないでしょうか」

なるほど、解説があるなら選びやすいし、デザインを学べる楽しさもある。お酒好きでもあるA新部長さんには、切子加工のある「zoomer+」のグラスとデカンタなどもいいかもしれない。予算を5000円程度に抑えるなら、漫画をよく読むそうなので、スタイリッシュさと機能性を併せ持つ「エリス/ブックマーカー」もよさそうだ。

ダネーゼ(イタリア)の「エリス/ブックマーカー」(5500円税込)。ビジネスシーンにも似合うスマートなデザイン性だけでなく、ワンポイントの真ちゅうのボールがストッパーの役割を果たしており、機能性も兼ね備えている

プラモデルが趣味のB新役員さんには、ルビスの「ピンセット/ポイント」と道具一式を収納するvitraの「Toolbox」はどうだろう。戸建ての自宅は広いそうなので、気分に合わせていろいろな場所に持ち運んで作業できるこのセットは重宝するのではないだろうか。

ちなみに、贈り物はいくらセンスのいいものを選んだとしても、相手の趣味に合わせなければそれこそ無用の長物となる。今回も、松子さんが懇意にしているからこそ、相手の趣味はリサーチ済みという設定だ。

vitraの「Toolbox」(4400円税込)。見せる収納ができるだけでなく、仕切りの延長に持ち手があり、作業場所や収納場所への持ち運びも便利だ(写真左)。スイスのツイーザー専業メーカーで、古くから高級時計の制作にも商品が使われてきたというルビス。この「ピンセット/ポイント」(5280円税込)は、より精度を要求される作業に適しており、プロが愛用するモデル(写真右)

悩んだら、店頭に立つプロに聞け!

VENEXの「リカバリーウェア」(1万6500円税込)。ナノプラチナなど鉱物が繊維に練り込まれている。口コミで人気が広がっており、スポーツ選手にも愛用者が多いそうだ

百貨店である松屋銀座は、オールジャンルの商品が集まる、いわば「ギフトの森」だ。より選択肢を広げたいなら、店頭でアドバイスをもらいながら選ぶのも手。同社のプロモーションを担当し、ギフトアドバイザーの資格も有する清水麻帆さんに、オススメの商品を聞いてみた。

「ヨガが趣味のA新部長には、スポーツ選手も愛用するVENEXの『リカバリーウェア』はいかがですか。昇進でストレスも増えそうなA新部長を癒やしてくれるでしょう」と、スポーツ売り場の休眠時専用ウェアを紹介してくれた。

「実用性重視のものは好みに左右されにくい」(清水さん)と、B新役員向けには朝日ゴルフの「EAGLE VISION ez com」を提案してくれた。プレイ中に次のショットに必要な距離などを表示してくれる高性能なナビは、ゴルフ好きのB新役員にピッタリだ。

朝日ゴルフの「EAGLE VISION ez com」(1万6500円税込)。最新ゴルフ場データを自動で更新し、プレイ中にグリーン・ハザードまでの距離や高低差等を表示してくれる高性能ナビ

「感謝の気持ちをさりげなく伝えるなら」と、紹介されたのはオロビアンコの「スーツアップミスト」。衣類のニオイを消し、ほのかな香りをまとうことができる。ビジネスの場で悪臭は御法度。油こってりのラーメンや焼き肉が好きなB新役員が、スーツを清潔に保つのに大いに役立ちそうだ。

オロビアンコの「スーツアップミスト」(2200円税込)。衣類の悪臭を除去し、ほのかな香りを付与。香りは6種類で、1番人気はシトラスの香り「アズーロ」

「複数人で贈るなど予算があれば、旅好きのB新役員には『奈良町宿 紀寺の家』の宿泊ギフトなどもオススメです」と、清水さん。これは100年前の町家をリノベーションした、奈良市にある一棟貸しの宿泊施設だ。「住まうように過ごす時間」がコンセプトで、ゆったりとしたぜいたくなひと時を堪能できるという。滞在中は杉の板で作った表札を玄関に掲げてくれたり、自前で育てたコメや地元の野菜が味わえる朝食をおかもちで届けてくれたりと、ユニークなサービスも提供してくれる。

「奈良町宿 紀寺の家」の宿泊(2名1組、5万5000円税込)。閑静な住宅地にたたずむが、観光にも便利な立地だという

体験を贈るという発想、しかもこうした知る人ぞ知るすてきな宿の紹介は、百貨店ならではだ。「売り場に立つ販売員はその道のスペシャリスト。ギフトアドバイザーの資格を持つ者も多くおりますので、悩んだらぜひ声をかけてください」と、清水さんは話す。

昨今のネット通販はすてきな商品を集めたところも多いが、実物を見ることができないという難点がある。一方、百貨店は実物を手に取れるだけでなく、個々の状況に応じたきめ細かなアドバイスも受けることが可能だ。大切な人にプレゼントを贈りたいが、センスに自信がない人や忙しくて吟味に時間をかけられないという人は、松屋銀座を訪れてみてはどうだろうか。

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