なぜ沖縄に「バイオ企業」が集まるのか ビーチリゾートだけじゃない意外な魅力とは

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青い海に囲まれたビーチに、ゆったりと流れる時間……。そんな南国の楽園リゾートのイメージが強い沖縄だが、実は、バイオ関連産業で全国屈指の集積率を誇っている。なぜ、バイオビジネスが沖縄に集まるのか。その魅力を探った。

生物資源の宝庫「バイオVB」数は人口比で国内3位

年間1000万人超の観光客が訪れる沖縄は、東アジアの中心に位置することからアジアからのインバウンドも多く、「日本のリゾート」というより、「アジアのリゾート」と呼ぶのがふさわしくなってきている。台湾、中国、韓国、さらには東南アジアにも近い「アジアの玄関口」の地の利を生かした国際物流ハブの地位を築いてきた一方で、近年は、働き方改革が進められる中、リフレッシュしながらリモートで働く「リゾートワークの場」として人気になりつつある。実はあまり知られていないが、沖縄にはほとんど花粉症がなく、冬季も含めて一年中温暖なため、高い労働生産性が期待できるのである。

そして今、少し意外かもしれないが、沖縄の豊かな自然資源を生かしたバイオ産業が注目を集めている。

沖縄は亜熱帯地域に属し、酎ハイでおなじみのシークワーサーや、全国のスーパーで売られているオキナワモズクをはじめとした豊富な地域資源が大きな特長で、「東洋のガラパゴス」とも呼ばれている。そのほか長命草、月桃など独特な陸上植物、海洋生物、微生物、微細藻類も多く多様性に富んでいて、これらの資源から抽出した機能性成分を化粧品や健康食品、医薬品などに活用しようというビジネスも盛んになってきている。

沖縄県によると、2000年に県内でわずか10社だったバイオベンチャーなどの企業は、17年には57社にまで増えた。今や人口あたりでは全国3位(15年バイオインダストリー協会調査)にランクインして、「バイオ産業県」に向けた地歩を着々と固めている。

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最先端の研究シーズと充実した行政のサポート


12年に開学した沖縄科学技術大学院大学(OIST)。©OIST/東郷憲志

沖縄のバイオ産業の研究開発を支えるのは、12年に開学した沖縄科学技術大学院大学(OIST)を筆頭に、琉球大学、沖縄高専などが提供する先端的な研究シーズだ。OISTは、ノーベル生理学・医学賞受賞者のシドニー・ブレナー氏が設立準備に関わり、沖縄において世界最高水準の教育研究を行うことにより、1)沖縄の振興と自立的発展、2)世界の科学技術の発展に資することを目的として設置され、国が特別な財政支援を実施。現在は、多くのノーベル賞受賞者を輩出してきたマックス・プランク学術振興協会前会長のピーター・グルース氏が学長を務め、世界トップレベルの著名研究者が数多く在籍している。「ネイチャー・インデックス2019」において、高品質な論文の輩出率で日本トップ、世界9位にランクイン。タンパク質の構造解析ができるクライオ電子顕微鏡などの先端機器も充実。研究設備等の学外利用も実施している。

沖縄県も、「長寿県沖縄」の復活や、インバウンド客が多いことを受けたグローバルヘルスへの貢献などを掲げ、健康医療分野を育成する産業成長戦略を策定。安全管理P2レベルに対応した沖縄ライフサイエンス研究センターや、沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センター、沖縄バイオ産業振興センターなどのインキュベーション施設を開設している。沖縄県工業技術センターの「生物資源機能データベース」や琉球大学の「沖縄微生物ライブラリー」など、データベースも豊富に用意されている。

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沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターなど健康医療分野向けインキュベーション施設も充実

このほか、基地の返還跡地である「西普天間住宅地区」(宜野湾市)では、移転してくる琉球大学医学部を中心とした「健康医療拠点」の整備が着々と進められている。

さらに、他の都道府県にはない独自の補助金制度、税制優遇があり、政府の厚い支援の下、その優位性・潜在力を最大限に生かそうとしている。

政府(内閣府)では、沖縄の優れたビジネス環境を県外企業に理解してもらうための「沖縄力発見創造事業」企業進出・事業連携促進プログラムを実施。今年度は日本旅行が事務局を務め、20年2月19日(水)から行われるプログラムの参加企業を募集する。バイオ産業にとっての「楽園」でもある、沖縄の魅力の一面を体感することができそうだ。



内閣府「沖縄力発見創造事業」企業進出・事業連携促進プログラム
 
 
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「沖縄力発見創造事業」事務局
遠藤・加藤