「パッとしない」プレゼンをする人の共通点

うまく話せないのは「内向的だから」ではない

いくら中身がよくても、パッとしないプレゼンだと通る提案も通らない。優秀なビジネスパーソンの条件にはマルチスキルが当たり前とされる現代において、中身さえよければ、プレゼン能力など二の次だとは言ってはいられない。

「伝える」スキル不足実感する人が続出

プレゼンは、営業や経営企画部門など限られた人にだけ必要なスキルだと考えている人は多いかもしれない。しかし、「今や誰にとってもプレゼン力は必須」と指摘するのは、『デザイン力の基本』の著者であり、戦略デザインコンサルタントのウジトモコ氏だ。ウジ氏は視覚マーケティングの提唱者。デザインセミナーも多数開催しているが、最近は技術職などの参加が増えているという。

「働き方改革もあって、ビジネスパーソンには仕事の効率性が求められるようになってきています。その影響で、限られたコミュニケーションの中でいかに迅速に大切なことを相手に伝えるかということが重視されるようになってきました。それは、どの業界や部門も同じで、先日は某大手メーカーの技術職に向けて、資料デザインの研修に呼ばれました。研修を企画した社内の方は、『エンジニアにも、文字だけでなくノンバーバルで伝えるスキルを身につけさせたい』と話していましたね」

研修の人気が高いのは、「伝える」スキルが足りないと自覚する人が多いことの裏返しでもある。実際、会議や商談の場で、パッとしないプレゼンをしている人は少なくない。きちんと耳を傾けていたはずなのに、終わった後に何も印象に残らないのだ。残念なプレゼンをする人には、はたしてどのような傾向があるのか。ウジ氏が共通点として挙げるのは、「情報の詰め込みすぎ」だ。

「情報量が多いと、聞いているほうは情報を処理することに一生懸命になります。情報をゆっくり咀嚼する時間がないので、プレゼンが終わったとき、『あれ、最初のほうは何を言っていたんだっけ?』となってしまう。また、情報が詰まりすぎていると全体としてメリハリがなく単調になる。それも何も印象に残らない一因です。

これを改善するには、伝える情報を絞り込むこと。例えば、企画のキーコンセプトやキーフレーズ、温度感……。そのプレゼンでいちばん伝えたいことを最初にビシッと伝えて、あとは各論でその補足をしていきます。各論も、すべて伝える必要はありません。具体的にどうやるのか、ほかにどんなメリットがあるのかといったところは、あえて伝えずに隠してもいい。とくに営業系の場合、聞いた人に『続きが気になる』『もっと情報を知りたい』と思わせたら成功です」

いい資料があれば自信を持ってプレゼンできる

残念なプレゼンはほかにもある。「声が小さい」「うつむいている」「ボソボソ話していて聞き取りづらい」など、内容よりも話し方に問題があるケースだ。「みんなの前でうまく話せないのは内向的な性格のせいだ」と自虐的になっている人もいるだろう。しかし、ウジ氏は「性格ではなく、シートの問題」と一刀両断。

「自信なさげにプレゼンする人のスライドを見ていると、シートの作り方が下手なことが多い。そのことを自覚しているから、胸を張ってプレゼンできないのでしょう」

逆にプレゼンの達人はどうか。

「最初に今朝のニュースの話題から入ったり、場に合わせてアドリブを入れたりする達人もいますが、変化球を投げられるのも、ベースとなるシートがしっかりしているからです。スライドに戻ればきちんと伝えられるという安心感があるから、自信を持って自由に話せるのです。何度でも気に入って見返すほど、見栄えのいいシートが作れるようになったことで、堂々と楽しんでプレゼンをできるようになったという例もあります」

では、いいシートとはどのようなものか。具体的なテクニックはウジ氏の『簡単だけど、すごく良くなる77のルール デザイン力の基本』(日本実業出版社)を参考にしてほしいが、基本の考え方を1つだけ教えてもらった。

「資料デザインというと、『きれいか汚いか』という基準で考えてしまいがちです。しかし、大切なのは、早く、そして強く伝わること。例えば、文字に影をつけるなど凝ったことをするのは、作り手の『やった感』は満たせますが、パッと見て見づらいし、わかりづらい。早く、強く伝えるには、シンプルなほうがいい」

シンプルという意味では、企業のデザインガイドラインを決めてしまうのも効果的だとウジ氏は言う。

「資料のレベル感は、企業のブランド価値を推し量る材料にもなります。伸びているITベンチャー企業や外資系企業などは、このあたりにも気を配っていて、『社格』を上げるようなデザインを徹底しているところが多い印象です」

機材の良しあしがプレゼンの土台を底上げする

スッキリとわかりやすいシートと同様に、投影環境自体もはっきりクリアに映ることが、登壇者の自信やプレゼンのクオリティにもつながる。企業のほか、自治体で研修することも多いウジ氏は、自らの経験をこう教えてくれた。

「資料づくりのポイントをプロジェクターで映して説明するのですが、企業や自治体によっては機材が古く、準備に何十分も時間がかかり、ピントが合わなかったり、影ができてしまったりすることがあります。デザインの説明をするのに、これでは台無し。逆にいい機材を使っているところだと、自然にこちらのテンションも上がりますね」

プレゼンに必須なアイテムの1つがプロジェクターであるが、いちいち貸し借りしたり、バックヤードから運んで来たりと煩雑なイメージを持つ人も多いだろう。プレゼンターが変わるたびにケーブルとつなぎ直し、画面や影の映り込みの調整をしたりなどしていては、とてもプレゼンどころではなくなってしまう。

しかし、最近ではそうしたプロジェクターのネガティブなイメージを覆すほど進化した製品があるという。スクリーンとホワイトボードが一体化した最新機種だ。

「デザインの研修やワークショップではインタラクティブなものにするために、クイズ形式にしたり、参加者に前に来てもらってホワイトボードに書いてもらったりする場合もあります。そのためいつもスクリーンとホワイトボードを計2枚用意してもらうのですが、一体型なら1枚でいい。スライドに直接書き込めれば、別々に書くよりわかりやすいというメリットもありそうです。書き込んだものをデータで配ったり、プリンターとつなげて印刷したりすることもできますね。ホワイトボードに書き込んだものを復習用にスマホで撮影して持ち帰る参加者が多いのですが、直接データやプリントで共有できるなら、参加者も大助かりではないでしょうか」(ウジ氏)

最新機材を使ったプレゼンは、聞き手の満足度を高めてくれる。自らのスキルを磨くとともに、最新のテクノロジーもうまく活用しながら、「伝わるプレゼン」を心がけたいところだ。

プレゼンの土台を底上げするオフィス製品はこちら

 

ウジ トモコ 戦略デザインコンサルタント、アートディレクター。 多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業後、広告代理店および制作会社にて三菱電機、日清食品、服部セイコーなど大手企業のクリエイティブを担当。1994年ウジパブリシティー設立。デザインを経営戦略としてとらえ、採用、販促、ブランディング等で飛躍的な効果を上げる「視覚マーケティング」の提唱者でもある。ノンデザイナー向けデザインセミナーも多数開催。「かごしまデザインアワード」審査員。山口県防府市「幸せますブランド」契約アートディレクター。スタートアップ企業のCDOなど兼任。老舗や日本のいいものを世界に打ち出すブランディング案件にも積極的に取り組んでいる。2017年には、25周年を迎えたインテリア雑貨大手ブランド「Francfranc」のデザインガイドライン策定に携わる。現在、長崎県の壱岐市にて「離島のデザインコンサルタント」として奮闘中。

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