企業が続々進出!今「茨城県」がすごい なんと「最大50億円」の補助を受けられる
工場立地面積、県外企業の立地件数ともに全国1位
茨城県では今、地域活性化につながる企業誘致に積極的に動き出している。昨年11月には都内にて「いばらき産業立地セミナーin東京~茨城の魅力を発信!~」を開催。あいさつに立った大井川和彦知事はこう語った。
「これまでも積極的に企業誘致を進めてきましたが、最近は工場立地だけでなく本社機能や研究所の移転も増加しています。2018年の工場立地動向調査では、茨城県は進出企業数で第1位に。企業立地につきましては、注目度・魅力度ともに全国トップクラスだと評価された証しです」
当日は、「本社機能移転強化促進補助金」などの事業計画が認定された4社(ティエムファクトリ、大日精化工業、日本色材工業研究所、レゾナ)を発表した。セミナーは終始盛況で、立地を検討している企業関係者らが大勢詰めかけ、熱心に耳を傾けていた。
「本社機能移転強化促進補助金」とは、同県が県内に質の高い雇用を多く創出するため、AIやIoT、ロボット、次世代自動車といった成長分野の企業を強く支援するもの。研究施設や本社機能の県内移転に対して、全国トップクラスの50億円を上限に、補助を受けることができる。額は投資額や移転人数等により算出する。
これまでの主な実績としては、空調設備大手の高砂熱学工業(つくばみらい市)、化学大手の積水化学工業(つくば市)、先端技術の開発を行うティエムファクトリ(下記インタビュー参照)、ピクシーダストテクノロジーズ(つくばみらい市)、外資系企業では、スウェーデンに本社を置くオートリブ(つくば市)、フランスのヴァレオジャパン(行方市)が計画認定され、補助を受ける見込み。当該補助金を含めた、本社機能移転関係の補助制度を開始した2018年度以降、合計16社もの企業が認定を受け、茨城県に立地を決定している。ほかにも、1件あたり最大3億円まで賃貸用オフィスビルの整備費用を支援する補助金も創設されるなど、支援制度は充実している。
茨城県の企業誘致・
本社機能移転への取り組み
本県は、圏央道をはじめとする高速道路や、港湾、空港等の交通インフラが大変充実しているとともに、首都圏に近接するという優れた立地環境を評価いただき、経済産業省が実施した平成30年工場立地動向調査では、工場立地面積、県外企業立地件数が全国第1位になるなど、企業立地の面でNo.1の評価を頂いております。
大井川 和彦
また、人口減少が進む中においても本県が継続的に発展していくため、AI、IoT、次世代自動車といった新たな成長分野の本社や研究施設などの誘致にも力を入れており、昨年度に全国トップクラスの補助制度を創設し、これまで16社の企業様に本県への立地を決定していただけました。
今後も、さらに多くの企業から本県を選んでいただけるよう、事業環境の向上に努めるとともに、本県独自の優遇制度について積極的にPRしてまいります。
本県での新たなビジネス・事業展開を心よりお待ちしております。
補助金だけではない茨城県の魅力とは?
では、茨城県が企業の立地先として各企業から注目される理由とは何か。
補助金制度の充実ぶりは前述したとおりだが、次に挙げられるのは首都圏や北関東とのアクセスのよさだ。県内には首都圏中央連絡自動車道(圏央道)、常磐自動車道、北関東自動車道、東関東自動車道水戸線の4つの高速道路がある。そして路線拡大が進む茨城空港のほか、日立港区、常陸那珂港区、大洗港区からなる茨城港、鹿島港の重要港湾を擁する。
鉄道でも秋葉原~つくば間を最短45分で結ぶつくばエクスプレス(TX)をはじめ、多様な鉄道網を有している。最近はTXが秋葉原~守谷間の各駅停車で上下6本ずつ増発され、JR常磐線上野東京ラインも品川駅発着の特急列車が16本増、普通列車が30本増となり、さらに利便性を増している。
実際に同県の調査(※)では、生産拠点・研究開発拠点としての同県へのイメージについて、「常磐道・圏央道などの交通インフラが整っている」が最も高いポイントをマークしている。今後の展開としては、2021年に圏央道でつくばスマートICを新設、22~24年度には同県内区間を含めた東北自動車道から東関東自動車道の4車線化が予定されている。
そしてもう1つ、2018年に実施した8つの公共工業団地の価格引き下げ(15%~49%)は、大きなインパクトがあった。事実、日立ハイテクノロジーズ、タカノフーズ関東、キヤノン、MonotaRO、ミサワ医科工業、トキワ、西野精器製作所など多数の企業が進出を決めた。これにより、圏央道沿線だけでなく、県内全域で引き合いが増加している。
事例企業インタビュー
スタートアップ支援に手厚く、大学・研究拠点もありメリット多い
2019年に茨城県「本社機能移転強化促進補助金」の認定企業となったティエムファクトリ。世界初の超軽量透明断熱材=SUFAの開発に成功し、現在事業化を進めているスタートアップ企業だ。「SUFA」は軽く透明であることが大きな特徴で、かつ断熱能力が高いため汎用性が高く、断熱ガラスなどの材料として各界から注目を集めている。同社は「SUFA」の量産を加速させるため、2020年3月までに茨城県内の茨城中央工業団地に開発拠点「茨城エアロゲルテクノロジーセンター」(茨城ATC)を稼働させ、今後3年で約20億円の事業投資を行う方針だ。
同社社長の山地正洋氏は、博士号を持つ経営者。茨城県に拠点を構えた理由についてこう語る。「県や地元金融機関がスタートアップ支援に積極的であることに加え、都心からのアクセスもよく、投資面でのコストパフォーマンスが高い。さらに近辺に大学や研究拠点が多く、人材面でのメリットも大きい。将来的には生産拡大も視野に入れています。鹿島港などをもつ茨城県の地理的メリットを生かし、世界に向けて事業拡大を図っていきたいと思っています」。
来年、新工場が稼働
茨城県の発展とともに成長していく
日立ハイテクノロジーズは、世界シェア約8割を握る半導体検査装置(測長SEM)をはじめ、生化学自動分析装置など多くの分野で高いシェアを誇る最先端技術企業。電子線と光学という2つのコア技術が同社の強みである。茨城県ひたちなか市に拠点を構える那珂地区は、1961年の工場設立以来、当社最大の開発・製造拠点として事業を発展させてきたが、今回さらなる半導体事業拡大のため、常陸那珂工業団地に新たに工場用地を取得。投資規模は約300億円で2021年3月より新工場が稼働する。那珂地区に勤務する従業員のうち、約1,000人が新工場に移動するほか、新規雇用も行う予定だ。
同社の北條穣氏は「那珂地区は当社のマザー工場。従業員や協力会社との関係性、将来の事業拡張性、都心からのアクセス、どれをとってもよい環境にあります」と自信たっぷりだ。同社執行役で那珂地区長を務める高根淳氏は「工場設立以来、私たちはモノづくりを大切にしてきました。そして現在も県内外から採用した多くの“人財”が那珂地区のモノづくりの現場で活躍しています。これからもこうした伝統を生かして、茨城県の発展とともに成長していきたい」と抱負を語った。日立製作所の創業の地でもある茨城県のさらなる発展に、期待が持てそうだ。
事例企業インタビュー
スタートアップ支援に手厚く、
大学・研究拠点もありメリット多い
2019年に茨城県「本社機能移転強化促進補助金」の認定企業となったティエムファクトリ。世界初の超軽量透明断熱材=SUFAの開発に成功し、現在事業化を進めているスタートアップ企業だ。「SUFA」は軽く透明であることが大きな特徴で、かつ断熱能力が高いため汎用性が高く、断熱ガラスなどの材料として各界から注目を集めている。同社は「SUFA」の量産を加速させるため、2020年3月までに茨城県内の茨城中央工業団地に開発拠点「茨城エアロゲルテクノロジーセンター」(茨城ATC)を稼働させ、今後3年で約20億円の事業投資を行う方針だ。
同社社長の山地正洋氏は、博士号を持つ経営者。茨城県に拠点を構えた理由についてこう語る。「県や地元金融機関がスタートアップ支援に積極的であることに加え、都心からのアクセスもよく、投資面でのコストパフォーマンスが高い。さらに近辺に大学や研究拠点が多く、人材面でのメリットも大きい。将来的には生産拡大も視野に入れています。鹿島港などをもつ茨城県の地理的メリットを生かし、世界に向けて事業拡大を図っていきたいと思っています」。
来年、新工場が稼働
茨城県の発展とともに成長していく
日立ハイテクノロジーズは、世界シェア約8割を握る半導体検査装置(測長SEM)をはじめ、生化学自動分析装置など多くの分野で高いシェアを誇る最先端技術企業。電子線と光学という2つのコア技術が同社の強みである。茨城県ひたちなか市に拠点を構える那珂地区は、1961年の工場設立以来、当社最大の開発・製造拠点として事業を発展させてきたが、今回さらなる半導体事業拡大のため、常陸那珂工業団地に新たに工場用地を取得。投資規模は約300億円で2021年3月より新工場が稼働する。那珂地区に勤務する従業員のうち、約1,000人が新工場に移動するほか、新規雇用も行う予定だ。
同社の北條穣氏は「那珂地区は当社のマザー工場。従業員や協力会社との関係性、将来の事業拡張性、都心からのアクセス、どれをとってもよい環境にあります」と自信たっぷりだ。同社執行役で那珂地区長を務める高根淳氏は「工場設立以来、私たちはモノづくりを大切にしてきました。そして現在も県内外から採用した多くの“人財”が那珂地区のモノづくりの現場で活躍しています。これからもこうした伝統を生かして、茨城県の発展とともに成長していきたい」と抱負を語った。日立製作所の創業の地でもある茨城県のさらなる発展に、期待が持てそうだ。
地域に波及する企業進出の好影響
過去10年間の工場立地面積、県外企業立地数で国内トップの実績を誇ってきた同県。近年の実績の1つとして日立ハイテクノロジーズがひたちなか市の常陸那珂工業団地に12.6ヘクタールもの敷地面積で新工場を設立予定(上記インタビュー参照)。これは同県における近年の進出企業の中で最大規模だ。またキヤノンが、笠間市に10ヘクタールの敷地面積で新工場設立を決定した。金型事業を担うキヤノンモールドが笠間市内に持つ6工場を集約・刷新し、生産能力を増強する狙いがあるとされ、3年間で100億円以上の投資が見込まれる。
産業用・輸送用機械だけではなく、食品や素材、家電など幅広い業種から支持されているのも茨城県の特徴である。納豆や豆腐等の製造を手がけるタカノフーズ関東は、笠間市に納豆製造を中心とした工場を建設予定。香辛料などの製造を手がけるヱスビー食品は坂東市に進出予定だ。さらに衛生用品や洗剤、健康食品等のメーカー・サラヤが北茨城市に、鶏卵の加工を行うあじたま販売が稲敷市に相次いで立地を進めている。
こうした状況に安閑とせず、茨城県は新たに「未来産業基盤強化プロジェクト」を立ち上げた。このプロジェクトは、市町村による産業用地開発計画を、同県が事業化に向けた調整などを支援することにより、迅速に実行に移すもの。
新たな企業誘致策を続々と展開する茨城県。同県はこれからも、企業が新たな事業戦略を構築する際の、有力な選択肢の1つとなりそうだ。