「出張旅費管理」における成功の秘訣と共通点

これからのグローバル市場で勝つために

出張の際の航空券やホテルの予約、経費精算などを面倒と感じたことのある人は多いだろう
世界でビジネスを展開する企業が増える中、出張旅費の削減や、出張中のテロ・自然災害などに対する危機管理を一括で行う必要性が高まっている。さまざまな分野でデジタルツールによる省力化や働き方改革が進められる昨今だが、「出張管理」の分野ではデジタル化が遅れている企業が少なくない。そこで今回は、航空券の手配・精算・旅費・購買プロセスなどを一元管理するBusiness Travel Management(以下、BTM)にデジタルツールを導入して取り組み、会社全体に大きな利益をもたらしている企業事例を紹介したい。

データを活用した集中購買の可視化が出張費削減のカギ

「人件費や交際費と比べて、旅費は削減しやすいコストです。とくに海外出張の旅費については、プロセスを変えることで大きな削減が可能になります」と語るのは、コンカーの三村真宗代表取締役社長だ。

コンカー
代表取締役社長
三村真宗

「例えば売り上げが1000億円、営業利益が40億円の企業の場合、海外出張の旅費は平均的な場合で年間10億円程度です。そのうち20〜30%削減の余地がある企業がほとんど。BTMによって20%に当たる2億円を削減できれば、営業利益は5%増加して42億円になります」(三村氏)

旅費を下げるために有効なのが、航空会社やホテルと法人契約を結ぶ方法だ。現在、日本企業の4分の3は航空会社やホテルと法人契約を結んでおらず、仮に結んでいる場合でも旅行会社に任せきりで十分な交渉がなされていないケースがほとんどであるという。「その区間に何回出張する見込みがあるか、ほかの航空会社であればどのような条件が引き出せるか、といったデータを見える化したうえで、『この区間は御社の便に一本化するので割引レートにしてほしい』といった形で航空会社などと交渉することが重要です。これに早期予約割引や、直前の搭乗便変更不可などの条件を組み合わせれば、さらに価格を下げることもできます」(三村氏)。

また出張旅費削減のためには、社内不正を防ぐことも重要な取り組みだ。三村氏は「残念ながら、社内不正は2社に1社の確率で発生しています。限度額や規定グレードを超えた航空券やホテルの利用から、カラ出張や日当の不当請求まで、その内容はさまざまです」と語る。またインターネットリテラシーの高い社員ほど、普段から使用しているサイトで航空券を購入するなど、「勝手予約」をしてしまう傾向にあるという。その結果、単発では安く購入できていたとしても、会社全体の購買力が損なわれるうえ、「勝手予約」は危機管理面でのリスクもある。

こうした課題を「可視化」することで、コスト削減はもちろん、社員の生産性やガバナンスの向上、出張先での安否確認も可能にするのが、コンカーが提供する出張旅費管理システム「Concur Travel」だ。ここからは、実際の導入事例を見ていきたい。

「出張経費」の削減で、グローバルな店舗展開を支える

ファーストリテイリングが出張旅費の改革に踏み出したのは2015年。同社の安達貴裕 事業構造改革部 リーダーは「12年から15年にかけて、ユニクロの海外出店が加速したことで売り上げが大きく伸びていた一方、それとリンクするように出張旅費も増え続けていました」と語る。

ファーストリテイリング
事業構造改革部
リーダー
安達貴裕

15年以前は、出張の際に利用する航空会社についての規定はとくになく、出張者が好みに応じて選んでいたという。「『出張費を抑えないとまずい』ということになりルール作りを始めてからは、航空会社と交渉して割引を獲得するなどしたことで、出張費は少しずつ下がり始めました」(安達氏)。

18年には海外の売り上げが初めて国内を上回り、成長の軸足が海外に移ることが明確になったことを受け、グループ全体でさらなる出張旅費の改革に取り組んでいるという。

改革の柱は「コスト削減」「働き方改革」「リスクマネジメント」の3つだ。「コスト面では、グローバル全体でのスケールメリットを生かし、航空会社やホテルなどと価格交渉をしています。交渉が進めやすいよう、ツールを導入した価格データや出張データの可視化も欠かせません。働き方については、『服を売るという本業以外の時間をできるだけ削減したい』との思いから、ツールによって経費精算の入力時間を減らす取り組みを進めています。リスクマネジメントについては、有事の際の安否確認をスムーズに行うための仕組み整備などを行っています」(安達氏)。

今後はウェルビーイングの分野での取り組みも進めていくという

すでに、経費精算システムの「Concur Expense」のグローバルでの導入は終えている。これまで日本国内のみ導入していた出張管理システムの「Concur Travel」についても海外拠点への展開を開始しており、順次拡大していく計画だ。安達氏は現在の課題について「早期購入による割引の利用などがまだまだ少数にとどまっているので、もっと増やしたいと思っています。主要な出張先にもかかわらず、契約している航空会社のない地域についても、早いうちに契約を結べるようにしたいです」と説明した。

「1億円の削減で、1億円の利益を生み出す」購買部門のプロフィットセンター化を加速

中外製薬 購買部 グループマネジャーの福岡耕太氏は「われわれは製薬会社なのでR&Dに力を注いでいます。そのため、出張費などの間接材については外部のリソースをうまく使って楽ができたら、と考えています」と語る。

中外製薬
購買部
グループマネジャー
福岡耕太

02年にスイスのロシュが中外製薬の株式の60%近くを取得して以降、中外製薬はロシュ・グループの一員として事業を展開してきた。航空会社やホテルとの契約は、同じくロシュ・グループである米国のジェネンテック社も含め、グループ全体で行っているという。

購買部の役割について福岡氏は「人事や経理といったコーポレートの組織の中で、購買は唯一のプロフィットセンターです。1億円の削減は1億円の利益と直結していますから、非常に重要な役割を担っていると感じています」と説明する。

18年6月に、BTMを専門に行う旅行会社TMC(トラベル・マネジメント・カンパニー)と契約。19年1月には出張管理システムの「Concur Travel」も導入し、集めたデータをグローバルで共有している。

それまで人事部の旅費に関する規定しかなかったため、購買部で、適正購買の観点から出張ガイドラインを制定。「安価なチケット購入を促すガイドラインにより、19年には出張費の削減に成功しました」(福岡氏)。

関連部門を巻き込んだクロスファンクショナルチームを形成し、社内の公式的活動とし、社内の壁をなくす

法人契約はグローバル一括で行うが、ローカルにしか果たせない役割も多数存在するという。例えば「中外製薬の海外拠点近辺のホテルについて、定期的にグローバルとコミットメントしなければ契約の交渉対象から外されてしまうことがあります。当社が独自で使うような航空路線やホテルについて、グローバルの交渉に加えてもらうようにすることも、われわれの大切な役割です」(福岡氏)。また、ロシュ・グループの社員が日本で泊まるホテルのリサーチも、中外製薬の担当だ。

福岡氏は「今後は国内出張の旅費を下げるため、データ分析を基にTMCと仮説検証を進め、手段を講じていきたい」と話した。

部門間連携により、わずか半年で「ビッグバン導入」に成功

ヨネックスは18年5月から半年間かけて、出張管理の「Concur Travel」、請求書管理の「Concur Invoice」、経費精算の「Concur Expense」、分析レポートの「Intelligence」といったソリューション群を導入した。

ヨネックス
情報システム部
情報処理課長兼システム開発課長
髙柳卓士

同社情報システム部の髙柳卓士情報処理課長兼システム開発課長は「パッケージソフトを使って基幹システムを一気に入れ替えることをシステム用語で“ビッグバン導入”と言いますが、今回のSAP Concur導入はまさにそれに近いものでした」と振り返る。

話し合いの結果、課題は「さらなる生産性の向上」「出張旅費手配プロセスの見直し」「権限委譲によるスピード化」の3つに絞られたという。「生産性については、コーポレートカードの導入と、交通系のICカードやモバイルとの連携を行いました。出張旅費手配プロセスについては、貿易などで海外出張が多い社員の負担を減らすための取り組みを行っています。権限委譲については、経理で差し戻すことが増えていたので、現場部門で完結できる仕組みに変えることを決めました」(髙柳氏)。システム導入を決めた理由について髙柳氏は「働き方改革への取り組みが重要視される中で、18年に“変革への挑戦”というスローガンを掲げ、全社で改革を進めていました。その一環としてシステム導入の検討を始めました」と説明する。

要件を満たす複数のITサービスを比較検討した結果、最も希望に近いシステムが実現できる「Concur Travel」の導入を決めた。一方で、出張申請のための「Concur Request」については導入を見送ったという。「最初はConcur Requestを使うのが当然と思っていましたが、社内の申請に関する不正や間違いが非常に少ないことがわかっていたため、社員の負担を増やすのはよくない、別の方法で解決しようということになりました」(髙柳氏)。不正や間違いがあったかどうかは分析レポートの「Intelligence」の機能を使って後から確認し、問題が見つかった場合には解決に向けて動く、という方式を採ることにしたという。

ビッグバン導入に際しての体制がこれだ

プロジェクトには経理、総務、情報システムの3部門が連携して取り組んだ。髙柳氏は「決算時期の関係で、カットオーバーが18年11月と決まっており、そこは譲れませんでした。当初、『半年でこれだけのシステムを入れるのは無理です』と言われてしまったのですが、3部署で一致団結して、目指したとおりの期間で導入をやり遂げました」と語った。

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