通学客の不満解消、「観光列車」驚きの大変身

ロングシート化で自転車搭載を可能に

ロングシートに改造されたKT-500形「田園シンフォニー」シリーズのうち、秋(赤)をテーマとするKT-502の車内。つり革も車両全体に増設された(筆者撮影)

熊本県の第三セクター鉄道、くま川鉄道が、サイクルトレインをスタートした。これは2017年に施行された自転車活用推進法に基づき、国土交通省が推進するサイクルツーリズムに呼応したもので、定期列車に、クロスバイクの自転車を分解せずに無料で持ち込めるという施策だ。

くま川鉄道と並行して流れる球磨川沿いには、全長29㎞の球磨川サイクリングロード(湯前人吉自転車道)が整備されている。列車への自転車持ち込みを可能とすることで、初心者でも気軽にサイクリングを楽しめる環境を整え、観光振興と鉄道の利用拡大、ひいては人々の健康増進を図るというわけだ。

改造費用は1765万円

サイクルトレインの実施にあたり、くま川鉄道は保有する全車両(5両)の改造を行った。くま川鉄道の車両KT-500形は、5両すべてがJR九州などの車両デザインで知られる水戸岡鋭治氏のドーンデザイン研究所がデザインした観光仕様の「田園シンフォニー」。木をふんだんに利用した車内はクロスシートを基本とし、車端部のロングシートにも丸テーブルが設置されていたほか、特産品のミニチュアを展示する棚もあった。

しかし、従来の仕様では自転車の持ち込みが難しいため、ドーンデザイン研究所の了解を得たうえでクロスシートをすべてロングシートに組み替え、テーブルも撤去した。着席定員やインテリアの雰囲気は変わらないが、オールロングシートの車両に生まれ変わったのである。

改造費用は、5両合計で1765万円。これを国と熊本県が3分の1ずつ負担し、残る3分の1と消費税分の計約675万円をくま川鉄道が負担した。くま川鉄道の負担ぶんは、車両設備を充実させ利用機会の拡大を図るという趣旨から、全額が人吉球磨地域交通体系整備基金によって賄われた。

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