コアラを「絶滅危機」に追いやる深刻な山火事 専門家いわく「コアラは絶滅したも同じ」

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ベアは、ペットとして飼われていた犬だった。しかし元気がありすぎ、また執着しすぎてしまう性格であるため、飼い主から里子に出されてしまったのだという。ベアのこうした性格は、探知犬にぴったりだとIFAWは説明する。ペットとしては幸せを見出せなかったベアだが、コアラ探知犬として活躍することでベアの将来も安定したものになるとIFAWはCNNに語った。

下着姿でコアラ救助の女性

ほかにも、コアラ救出劇がいくつか報告されている。CNNによると、動物の訓練組織であるテート・アニマルズは、コアラ探知犬テイラーの活躍でこれまで8頭のコアラを救出した。テイラーは4歳のスプリンガー・スパニエルで、ベアとは異なり、コアラのふんの臭いを頼りに探知を行う。

また、大やけどを負ったコアラを女性が命がけで救助した話も話題になっている。コアラを助け出したトニ・ドハーティさんは、オーストラリア・民放テレビ局ナイン・ネットワークの取材に答えて、火の中に向かっていくコアラに気づいて、慌てて車から降りて救助に向かったと話した。

(動画:WSLS 10/YouTube)

ドハーティさんがコアラを救出する様子をとらえた動画によると、毛皮に火が付いたコアラは、混乱したように火の中に向かっていくところだった。ドハーティさんは、何かで包まなければと思い、とっさにシャツを脱いだという。

のちに「ルイス」と名付けられたこのコアラは14歳で、現在はポート・マッコーリー・コアラ病院で看病されている。ユーカリの木を食べるほどの元気はある様子だが、足や腹部などにやけどを負っており、生き延びられる可能性は50%とみられている。

Woman saves scorched koala from Australian bushfire(動画:The Sun/YouTube)

 

松丸さとみ(Satomi Matsumaru)/フリーランス翻訳者・ライター
学生や日系企業駐在員としてイギリス・ロンドンで計6年強をすごす。駐在員時は、在英日本人向けにイギリスおよび欧州のビジネスニュースを日本語で配信する日系企業にて編集・執筆などに従事。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に幅広い分野の翻訳・ライティング(ときどき通訳)を行っている。
「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部

世界のニュースを独自の切り口で伝える週刊誌『ニューズウィーク日本版』は毎週火曜日発売、そのオフィシャルサイトである「ニューズウィーク日本版サイト」は毎日、国際ニュースとビジネス・カルチャー情報を発信している。CCCメディアハウスが運営。

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