建設業界に一石「カード決済」の導入効果は?

資材調達、税金の支払いもポイント還元

企業で導入が進むコーポレート・カード。経費精算の省力化やガバナンスの強化を目的に導入する企業は多いが、大阪にある総合設備会社の若林設備工業ではそれらに加え、法人税の支払いをカードで行い、そのポイントで支払いや社員の福利厚生に充てたいという。建設業界だけに、資材調達費用も多額であり、この点のカード支払いが進めばさらにメリットが見込めるはずだ。業界に先駆けてアメリカン・エキスプレスのコーポレート・カード導入を進めた若林設備工業に、その効果を聞いた。

企業の財産は「人」

「税金をカードで支払うなんて、考えも及ばなかった」と語るのは、取締役会長の若林尚史氏だ。2019年からコーポレート・カードの利用を始めたばかりの同社だが、主に税金の支払いによって発生したポイント数はすでに60万ポイントを超え、カード決済に大きな魅力を感じているという。

若林設備工業は、創業65年を迎えた歴史ある設備会社。給排水、冷暖房空調、消火・防災、ガス設備工事の設計段階から施工までをワンストップで展開。施工する案件は、ゼネコンからの受注と公共施設がほとんどで大規模建築物のライフライン構築を担う。

同社の強みは、確かな技術力はもちろんのこと、顧客のニーズをしっかりと捉えながら社員一人ひとりが提案型で業務を進められることだ。いわば、「お客様に寄り添う設備のコンサルティング」を実践している。

若林設備工業 取締役会長 若林尚史氏

「建物は単なる箱ではなく、そこで生活し、仕事をする人々の暮らしがあります。設備の種類や配置1つで空間の快適さは変わってきます。知識や技術力だけでなく、そこに生活する人々を想像し、設計段階から提案することが重要なのです」(若林会長)

同社の60周年企画に作られた冊子の表紙には「人を想う、きもちを、かたちに。」という言葉が大きく記載されている。顧客だけでなく社内でもその信念を展開している。「社員が大切にされていなければ、お客様を大切にすることはできない」との考えからだ。結果、社員の定着率は高く、社員が率先して顧客に提案し、企業としての信頼性を高めている。

カード決済で還元されたポイントの利用法

当初、現金で納めていた法人税の支払いをカード切り替えできることに魅力を感じ、コーポレート・カードの導入に踏み切った。だが、「知れば知るほど、現金支払いでは貯めることができないポイントをさまざまなことに役立てられる点に魅力を感じる」と語るのは、2019年、会長から社長職を引き継いだ3代目代表取締役社長の若林豊氏だ。

「当社で毎年開催しているボウリング大会やバーベキュー大会にポイントで交換した景品を出したり、頑張った社員への飲食代にポイントで充当するなど、社員への福利厚生をより手厚くできることも魅力的です」(若林社長)

なお、アメリカン・エキスプレスには、通常のポイント・プログラムのほかに、コーポレート・カード会員向けの登録制の「コーポレート・メンバーシップ・リワード®」プログラム(※)もある。それぞれのポイント・プログラムはともに景品交換、支払いの充当など、自由度の高いポイント利用ができる。

(※)本プログラムは、コーポレート・カードのみ対象です。ご利用には企業よりプログラムへの参加申し込みが必要で、本プログラムは年会費として、登録カード1枚当たり2,000円+消費税が必要です。会社単位で各社員が利用したカード額に応じたポイントを貯めることができます。また、有効期限もなく使用していた社員が退職してもポイントが失効しないのが特長です。

カード決済が背中を押す?手形決済からの脱却

そのほか、若林設備工業では、一部の材料の仕入れにカード決済を導入している。この点に関しては、業界に一石を投じる動きといえるだろう。というのも、建設業界では、資材調達から工事の報酬にしても多額の金額が動く。そしてその支払いには「手形」が使われることが一般的だからだ。

若林設備工業 代表取締役社長 若林豊氏

「手形というのは、どこか1社が倒産してしまえば、連鎖的に苦境に陥ります。かつてはメリットのあった仕組みも、今の時代に即しているかどうかは疑問です。大きな話かもしれませんが、決済方法も時代に即して変わっていければ、よりよい業界変革につながるはず。そうした視点からもコーポレート・カードの可能性を感じています」(若林社長)

業界全体にカード決済など支払いサイトの短縮化が広がっていけば、業界全体の変革につながりそうだ。

コンサルティングともいえる手厚いサポ―ト

もちろん、実際にカード決済が可能な取引先が増えるには時間がかかる。そんな際にもアメリカン・エキスプレスは、同社とともに彼らの取引先にメリットを詳細に提示するなどこまやかな交渉に当たってきた。

「アメリカン・エキスプレスさんのきめ細かなサポートには驚きました。正直カード会社ができるサービスは電話応対程度と思っていたので、ここまで個別対応、親身になってくれるとは思っていませんでした。実際に初めて取引先とカード決済を行う際も、営業担当の方がこちらまで足を運んでくれてPCの横について決済をサポートしてくれました。コンサルティングの領域と言えるほど厚いサポートをしてくれます」(若林会長)

現在は、会長、社長、本社の経理担当者と3枚のコーポレート・カードを使用しているが、今後、営業担当者への配布も検討しているそうだ。順調に成長を続ける同社では、営業担当者が判断できる経費にも幅がある。そのため立て替えに負担がかかっているのではという懸念もあった。経理部門も毎回領収書の処理に手間を感じていたという。

「経費精算のプロセスを簡略化し、またミスのない自動化を行えれば、従業員にとっての本業ではない作業負荷を低減することにつながるはずです」と若林社長はコーポレート・カード利用の先を見据える。社員を何よりも大切にする若林設備工業。カード導入に際しても、企業ポリシーにのっとり、従業員への還元や利便性を考慮しながら、今後の利用を検討していく方針だ。

若林設備工業株式会社

1954年創業、枚方市渚本町にて個人企業として会社を興し、大阪・京都を中心に給排水衛生設備、冷暖房空気調和設備、消火・防災設備、ガス設備を専門に、設計から施工までをワンストップで手がける。豊富な知識と技術力を誇りながら、提案型のビジネススタイルを社員一人ひとりが実践し、「お客様に寄り添う設備のコンサルティング」を標榜。付加価値の高い、人と地球にとって快適な環境づくりを実践している。現在は、大阪市中央区の本社を中心に、枚方本店、京都支店、交野支店の4拠点を置く。従業員数は64名(2019年8月現在)

関連ページ
公的医療機関が「カード決済」を導入できたワケ
奈良県総合医療センターが語る「導入の道筋」