シリーズ 働き方改革 新時代のリーダーたちへ Sponsored by Dropbox

建設現場における「生産性向上」の方向性 シリーズ働き方改革セミナーレポート

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「働き方改革関連法」が2019年4月から順次、施行されている。従来、罰則の適用除外となっていた建設業に対しては、人手不足などへの懸念を踏まえ、時間外労働の罰則付き上限規制適用が5年間猶予されるものの、24年4月から月45時間、年360時間を原則とする上限が適用される。工期に追われる現場作業の労働時間を削減するには、生産性を向上させる働き方改革が欠かせない。東京、名古屋、大阪の3会場で開かれた「シリーズ働き方改革~建設業界編~」では、建設会社の間での利用が広がるコラボレーションツールの「Dropbox Business」を中心に、業務効率化のソリューションが紹介された。

主催:東洋経済新報社
協賛:Dropbox Japan

開会の挨拶

Dropbox Japan
代表取締役社長
五十嵐 光喜氏

Dropbox Japanの五十嵐光喜氏は、1日の平均労働時間8.9時間のうちの3分の1を占める、情報収集など本来業務以外に費やす時間の削減が生産性向上のカギになると指摘。とくに建設業界からは、同社のコラボレーションツールを使った労働時間削減、生産性向上の取り組みに高い関心が寄せられていることから「建設業界に焦点を絞って開催することにした」と語った。

基調講演
日本の建設産業の近年の潮流のいくつかと何をなすべきか

立命館大学
OIC総合研究機構
客員教授
古阪 秀三氏

立命館大学の古阪秀三氏は、まず建設産業の歴史を振り返った。木造建築で発展してきた日本の建築業には、請負の棟梁型の特徴が残り、1949年制定の建設業法も請負契約を前提にしている。だが、国際的には設計と施工が分離した役割分担型が主流になっている。日本の設計と施工の境界のあいまいさは、生産性向上を妨げる面もあったが、近年は世界的にも、工事品質の観点から設計と施工の連携を評価する動きが進んでいるとして「私たちのやり方にもっと誇りを持ち、外に向けて発信すべき」と訴えた。

70年代後半から80年代にかけては、RC(鉄筋コンクリート)工法に加えて、工期を短縮できるPC(プレキャストコンクリート)工法や複合化構工法の開発が積極的に行われたが、それを可能にした背景として「優秀な技術・技能者がいたことが重要だった」と指摘した。人材不足に悩まされる今の建設業界は、登録基幹技能者制度の活用推進や、利益配分に不均衡がある元請・下請関係の見直しなどによって、技能労働者の処遇を改善していく必要性を強調。「将来のため、負担に対して応分の利益を享受できるようにする取り組みを進めてほしい」と語った。

課題解決
建設現場の生産性は「情報共有」でここまで向上できる!
~実践例に見る、様々な現場のビフォー/アフター~

(東京会場)
Dropbox Japan
インダストリー
リーダー
戸田 麻弥氏
(名古屋・大阪会場)
Dropbox Japan
西日本営業部
部長
龍村 洋一氏

Dropbox Japanの戸田麻弥氏(東京会場)、龍村洋一氏(名古屋・大阪会場)は、同社の企業向けコラボレーションツール「Dropbox Business」の活用法を説明した。

建設現場では、大量の図面や写真を、NASなどの外付けハードディスクやファイルサーバーに保存して共有してきたが、出先からアクセスできないため、確認の際は事務所に戻らなければならず、無駄な時間を生じさせていた。

「Dropbox Business」は、どこからでも保存ファイルにアクセスでき、バックアップの手間を削減。インターフェース画面はNASとほぼ同じで使いやすく、誤ってファイルを上書き・削除した場合も、ファイル変更履歴などから簡単に復元できる。盗難や破損の心配もなく、アクセス権限管理やログなどのセキュリティーも充実。ファイル同期は、特許技術により高速なため、ファイル共有して行う協力会社との共同作業も効率的に進められる。URLなどリンクを介した共有や、ファイル自体の転送も可能だ。実際に、「Dropbox Business」のフォルダーにリンクするQRコードを設備に貼り付け、メンテナンスの関連書類を閲覧できるようにして、紙の書類の持ち運びをなくした設備会社もある。また、事務所のホワイドボード代わりに「Dropbox Paper」の機能を使い、スケジュールなどを共有する事例も紹介された。

パートナーセッション
建設業向けDropbox連携ソリューションのご紹介

Dropbox Japan
ビジネスディベロップメントリード
佐野 健氏

Dropbox Japan の佐野健氏は、オープンプラットフォーム戦略を進める「Dropbox Business」と連携する、建設業向けアプリケーションを紹介した。

オートデスクの3D設計ソフト「AutoCAD」で作ったDWGファイルは、専用ソフトがなくてもDropboxでプレビュー、コメントの記入が可能。オラクルのプロジェクト情報管理ソフト「Aconex」の関連ファイルを保存できる。

ビジネスチャットのLisB「direct」、WowTech「WowTalk」、ワークスモバイルジャパン「LINE WORKS」は、Dropbox内ファイルをチャットから送信・共有可能にする。工事写真台帳作成・電子小黒板アプリケーションでは、太陽工業「ミライ工事2」、ダットジャパン「現場DEカメラ」、ワイズ「PhotoManager」で撮影、編集した写真がDropboxに保存可能になる。

トランスコスモス「証助BPO」も写真をDropboxに保存し、台帳作成のBPOセンターと共有する。フォトラクションの写真図面共有ソフト「Photoruction」は図面や写真をDropboxに保存して管理、自動で整理できる。YSLソリューションの建設図書管理「CheX」やレゴリスの「SPIDERPLUS」とは、直接連携も進めている。

事例ディスカッション
建設業界のお客様による事例ディスカッション

レゴリス マーケティング部
部長
山口 武士氏
(3会場)

建設業の知見からサービスを開発しているレゴリスの山口武士氏は、大量の紙の図面や写真を扱うため、非効率になる建設業務をITで改善しようと、写真図面管理・共有システム「SPIDERPLUS」を開発した経緯を説明。360度カメラとの連携による撮影の手間の削減、BIM(Building Information Modeling)と連携した検査管理など、ユーザーの要望を受けながら機能を拡充してきた。「現在進めているDropbox との連携が完了すれば、より便利になる」と述べた。


東京冷機工業
取締役
関原 強氏
(東京会場)
中央電設
名古屋支店副支店長
紅谷 憲一郎氏
(名古屋会場)
淺沼組
建築事業本部 建築技術部
大沼 章氏
(大阪会場)

東京冷機工業の関原強氏は、図面、写真管理を簡単にする「SPIDERPLUS」導入で、図面の確認・修正、写真整理の作業時間を削減し、引き継ぎエラーを減らす効果も「確実に出ている」と述べた。データの種類・容量が増える中、ファイル保存方法を検討しており「ファイルの種類・容量に制限のない『Dropbox Business』 には興味がある」と語った。

中央電設の紅谷憲一郎氏は、現場の働き方改革に向けて「労働時間削減、業務効率化を期待して『SPIDERPLUS』を導入した」と説明。まだ導入から時間が経っていないため、基本機能の習熟と効率的な運用方法の検討を進めているとした。Dropboxについても、「SPIDERPLUS」の古いデータをファイルサーバーに移動させる手間が省けるので、導入を考えると述べた。

モデレーター:Dropbox Japan
インダストリースペシャリスト
矢作 一樹氏

淺沼組の大沼章氏は、2年半前に導入した「SPIDERPLUS」について、検査管理に利用するほか、写真整理など事務作業を軽減でき、利便性の高さから「現場でタブレット端末利用を広める効果もあった」と述べた。Dropbox は全社員にIDを付与。内勤業務のペーパーレス化、営業担当が顧客からの情報を現場と共有する際などに活用する。「ITは、働き方の意識改革を行動改革につなげるための有用なツール」と期待を示した。