中・高生の教育支援 KEYWORD
CSRへの取り組みの潮流が大きく変化しつつある。その一つの例として、本業と一体化した取り組みが進んでいることが挙げられるだろう。
かつてのCSR活動と言えば、環境保全や文化・芸術分野への協賛などが目立った。最近では、本業で培った知見や人的資源などを生かし、「わが社らしい」活動を行おうとする企業が増えているのだ。
活動事例はさまざまだが、その一つの例が「教育CSR」である。中学校や高等学校への講師派遣、教材の開発・提供、職場見学の受け入れなどにより、教育を支援するものだ。
その背景には、教育現場からの要請もある。特にキャリア教育についてのニーズが高まっているようだ。文部科学省は、キャリア教育とは「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」としている。
キャリア教育は、必ずしも出張授業や職場見学など具体的なカリキュラムを指すものではない。あくまでも、経済や社会、雇用環境などが変化する中で、社会人生活を送る上で必要となる能力を育もうとするものだ。ただし、教育の推進にあたっては、家庭はもとより、地域・社会、企業などとの連携が不可欠だろう。というのも、学校単独ではなかなか企業の持つ知識や経験などの情報を収集することは容易ではないからだ。もちろん、協力企業への期待も大きい。
これらの声に応え、企業の側でも、社員を学校に派遣して、自社の事業やサービスなどをテーマにした出張授業を行ったり、子どもたちを職場に受け入れたりするところも増えている。こうした企業においては、いわゆるCSRとしての社会貢献のみならず、参加する社員にとってもさまざまなメリットがあるようだ。たとえば、出張授業の講師として仕事の内容ややりがいを子どもたちに伝える活動に参加した社員が、自社の価値や仕事の意義を再認識することも多いという。また、職業人インタビューなどで、子どもたちと接した社員は、子どもたちならではの視点に基づく質問などを受けることで、新たな気付きを得る機会も多いという。