ヨーグルトを「菌」の比較で選ぶべき理由 大腸内の善玉菌は、ビフィズス菌が99.9%
ビフィズス菌入りのヨーグルトを
腸活が今なぜ取り上げられるのか。それは近年、「腸内フローラ※」の研究が目覚ましく進んだことが一因だろう。2000年以降、新しい遺伝子解析機器の登場で、腸内フローラが人の健康を大きく左右することがより具体的にわかってきている。
では、腸内フローラとは具体的にどこにあるのか。それはズバリ大腸にある。腸活とは、大腸をいかにしてケアするかが重要なのだ。その手法は、生活習慣から食べ物までさまざまなものが紹介されているが、腸を整える菌を含むヨーグルトにも熱い視線が集まっている。
その中でも注目は、「ビフィズス菌」の入ったヨーグルト。代表的な製品に、森永乳業の「ビヒダスプレーンヨーグルト」が挙げられる。
ビフィズス菌といえば、ヨーグルトではすっかりおなじみの単語であるため「注目」と言われても、ピンと来ない読者も多いかもしれない。だが、そこには明確な理由がある。
まず知っておきたいのが、「すべてのヨーグルトにビフィズス菌が含まれているわけではない」という事実だ。むしろ含まれているほうが少数派。いったいなぜだろう。森永乳業でヨーグルトの研究・開発に携わる井上肇氏に聞いた。
「そもそもヨーグルトとは乳を乳酸菌で発酵させたものです。それに対してビフィズス菌は乳酸菌とはまったく別種のもので、ヨーグルトをつくるときに必要なものではありません。さらに言えば、ビフィズス菌は酸や酸素に弱いため取り扱いが難しく、ヨーグルトに入れて生きたままお客様に届けるには大変な労力とノウハウが必要です」
では、なぜ苦労をしてまでヨーグルトにビフィズス菌を加えるのか? それはビフィズス菌に、腸内フローラを良好にする働きがあるからだ。
「人間の体の中では、身体に有用な働きをする“善玉菌”と、有害な働きをする“悪玉菌”がせめぎ合っています。実は大腸内の善玉菌のほとんどが、乳酸菌ではなくビフィズス菌で、その割合は99.9%対0.1%です。ですから『ビヒダスプレーンヨーグルト』などのビフィズス菌入りヨーグルトを食べて腸内のビフィズス菌を増やすことで、腸内が善玉菌有利となり、よりよい状態に整えられるのです」(井上氏)
乳酸菌とビフィズス菌は、善玉菌としてともに体にいい働きをすると考えられているが、両者の違いは大きい。まず働く場所が違う。小腸で主に働くのは乳酸菌である一方で、腸内フローラの主な舞台である大腸で活躍するのはビフィズス菌だ。また、体の中でつくり出す成分にも違いがある。乳酸菌は主に乳酸を生成するのに対し、ビフィズス菌は乳酸だけでなく短鎖脂肪酸の一種である「酢酸(さくさん)」も生成するのだ。酢酸は腸内の悪玉菌を追い出す作用がある。
「ビヒダスプレーンヨーグルト」は1996年に「腸内のビフィズス菌が増え、腸内環境を良好にし、おなかの調子を整える」という内容で特定保健用食品=トクホの表示許可を受け、その効能は実証済みだ。
「人由来」のビフィズス菌の強み
では、ビフィズス菌が入っていればどれでも同じかといえば、そうでもない。「ビヒダスプレーンヨーグルト」は、「ビフィズス菌BB536」という人由来の菌種に強みがある。
「ビフィズス菌にも多くの種類があり、大きくは、人の腸内にすむビフィズス菌と、動物の腸内にすむビフィズス菌とに分けられます。そして両者を比べると、やはり人由来のビフィズス菌のほうが人間に合うと考えられます」(井上氏)
実は、動物由来のビフィズス菌のほうが、酸や酸素に強い。そのため製品化が容易な動物由来のビフィズス菌を使ったヨーグルト製品も少なくないという。
一方、人由来のビフィズス菌はデリケートなために、ヨーグルトに配合するには、製造の際、発酵管理に細心の注意を払う必要がある。それでも「ビヒダスプレーンヨーグルト」が人由来にこだわるのは、消費者の健康増進を第一に考えてのことだ。人間の腸に生きたまま届き、整腸作用をもたらすビフィズス菌が「BB536」というわけだ。
ではビフィズス菌入りヨーグルトをいつ、そしてどれくらいの量を食べたらいいのか。森永乳業でヨーグルトのマーケティングを担当する米澤寿美子氏はこう話す。
「朝・昼・晩に関してはいつでもいいのですが、食べるタイミングとしては“食後”をオススメしています。ビフィズス菌は酸に弱いため、胃酸の濃度が高くなっている空腹時より、胃に食べ物が入り胃酸濃度が下がっている食後のほうが、より生きたまま腸に届きやすいと考えられるからです」
さらにもう1つ意識したいのが、“頻度”だと言う。
「腸内環境をよい状態に保つには、ビフィズス菌が腸内に“つねにある”状態にするのが重要です。ですから少量でもいいので、毎日とるように習慣づけることがポイントになります。1回の量に関しては、ビヒダスプレーンヨーグルトであれば1日30グラムでも100グラム食べた場合と同程度の整腸作用があることがわかっています。30グラムとは、カレースプーン1杯ほどです」(米澤氏)
毎日食べるには、自分が毎日やることと“セット化”するのがコツだ。例えば朝食の1品にヨーグルトを加える。昼食を会社や会社の周りで食べる人なら、会社の冷蔵庫にヨーグルトを入れておくなどしてランチ後のデザートとする。ヨーグルトを風呂上がりのリラックスタイムのお供にする、などだ。
ヨーグルトには、大容量のパック以外にも、飲むヨーグルト、食べきりの個食タイプ、4個パックのもの、フルーツヨーグルトなどさまざまなタイプがあるので、ライフスタイルに合わせて選ぶことができる。出がけに飲むヨーグルトをグイッとひと口飲んだり、プレーンヨーグルトをカレースプーンでサッとすくってひと口食べたりするだけでもOK。
ちなみに「ビヒダスプレーンヨーグルト」はヨーグルトの中ではかなり酸味が抑えられた味わいなので、ヨーグルトのすっぱさが苦手な人でも毎日気軽に続けられそうだ。
一緒に食べるもので効果が変わる
最後に、ビフィズス菌の効果をより高めるポイントを紹介しておこう。それは、オリゴ糖や食物繊維を一緒に食べるということ。どちらもビフィズス菌のエサとなり、腸内でビフィズス菌を増やす作用があるからだ。オリゴ糖はバナナやリンゴに、食物繊維は野菜や果物、きのこ類に多く含まれる。
せっかく腸内フローラの改善のためにビフィズス菌入りヨーグルトを食べるなら、ビフィズス菌のパワーをフル活用するところまで考えておきたい。
ヨーグルトによる腸活は、何かを我慢したり、つらい思いをしたりするダイエットなどと違い、毎日の意識を少し変えるだけで可能だ。大腸を整え、日々のパフォーマンスアップを目指すのであれば、まずはスーパーやコンビニでヨーグルト選びから始めることをオススメしたい。