プリンスホテル「会員制リゾート」参入の勝機 ゴルフやスキー、西武グループの強みを活用
※「レジャー白書2019」より
会員制リゾートホテル市場の活性化に期待
日本経済は成熟感があるが、「その状況下でも、近年着実に成長を続けているのがレジャー産業です」と話すのは、桜美林大学教授の山口有次氏だ。
「大きな要因はインバウンドです。ホテルなどの『宿泊』施設のほか、鉄道やバスなどの『交通』、遊園地やテーマパークなどの『目的地』がいずれも伸びています」
山口氏によれば会員制リゾートホテルの市場も成長しているという。背景にはアクティブシニアや富裕層の関心が高まっていることがあるようだ。
「ただし」と山口氏は加える。「好調な宿泊市場でも旅館やペンション・民宿などは急速に売り上げを減らしています。ブランド力の高いところとそうでないところの二極化が進んでいるといえます」。
消費者のニーズが多様化する中で、それに応えることができない企業は淘汰されるということだろう。市場全体が成長しているレジャー産業の中でも、最も個人のニーズを捉え、「進化した」業態として、山口氏はフィットネスクラブを挙げる。アクティブシニアや富裕層向けのラグジュアリータイプ、24時間無人型、女性専用や成果志向型、海外の最新トレーニングや遺伝子検査を取り入れたものまで、実に多種多様なサービスがそろっている。
「有望なヘルス関連ビジネスであることに加えて、マーケティング力に長けた企業の新規参入も多くなっていることが活性化にもつながっています。それに比べると、会員制リゾートホテル市場のマーケティングは、まだまだ発展途上です。ホスピタリティーは高いものの、通常のホテルとどう違うのかと問われると、差別化できていないのが現状です」
今後、会員制リゾートホテルにおいて成長のカギを握るのは、いかに会員制であることを生かしたマーケティングができるか、であると言う。
「例えば、宿泊、交通、目的地という観光の3つの要素を活用したシナジーにより魅力あるサービスを提供できれば、支持されるでしょう。ただし、大切なのはあくまでも『会員』として価値を感じてもらうことです」