今注目の「対話型AI」で日々の報告が快適に 営業支援ツールを使いこなすきっかけに
電車の乗り換えや徒歩での移動中に日報を完成させられる
顧客ニーズの多様化によって、従来のものづくりやサービス提供の形に変化が起きている昨今。選ばれる企業であり続けるためには、現場の最前線に立つ営業担当者が顧客接点の機会を増やすことが重要だ。しかし事務作業の非効率さや煩雑さにより、本来業務に十分な時間を割けていないケースも多い。
そうした課題を解決すべく開発されたのが、「RECAIUS 報告エージェント」だ。東芝が長年培ってきた自然言語処理技術や音声対話技術により、AIとの対話をテキスト解析し、CRMへのデータ登録を支援する。
「『RECAIUS 報告エージェント』が活躍する場面として挙げられるのは、例えば営業担当者の日報作成です」と話すのは、RECAIUS事業推進部の杉浦千加志氏。
「営業担当者は、管理者があらかじめ設定した報告テンプレートに沿ってスマートフォンに話しかけるだけで入力が完了します。社内でよく使われる専門用語や略称についても、事前に登録することで普段どおりの自然な言葉遣いで報告可能です。また、別売りの『RECAIUSコネクト』を導入すれば、システム連携などの初期構築がなく、簡単にSalesforceと連携できます」(杉浦氏)
「RECAIUS 報告エージェント」が目指すのは、“声によってさまざまな手間を省くこと”。同サービスの活用によって、事務作業の負荷を大幅に削減できると杉浦氏は語る。
「外回りの営業活動で1日に何件も訪問する場合、報告できるのは電車の乗り換えや徒歩での移動中だけ。手入力は難しいシーンでもAIとの会話で日報が作成できるので、隙間時間を有効活用できます。さらに、訪問日や取引先、商談のフェーズなどの報告すべき内容を聞き取って報告項目に入力してくれるため、テキストを切り取り、報告項目に張り付けるなどの煩わしい作業は不要になります。ここが一般的な音声文字変換技術と一線を画しているポイントです」(杉浦氏)
実際に「RECAIUS 報告エージェント」を使用したことで、手入力では約5分ほどかかった日報作成時間を、50%に当たる2分半まで圧縮することができた調査結果もあるという。
マーケティングに生きる有益な情報を引き出す対話型AI
報告の手間を省くことで、これまで費やしていた時間を本来業務に振り分けることができれば、営業パフォーマンスの向上も期待できるだろう。それだけではなく、これまでくみ取りきれなかった顧客の反応や潜在ニーズなどの現場の声を収集できるようにもなり、マーケティングに有益な情報を得られる可能性も広がる。
「情報共有やデータ分析を目的にCRMやSFAを導入している企業が多いと思いますが、機能を使いこなせていない企業も少なくないようです。マーケティングに活用するためにはデータを集めることが大事。有益な情報こそ、現場を知る担当者から上がってくるものです。声によってタイムリーに登録できるようになれば、今まで埋もれてしまっていた情報を顕在化させ、分析やフィードバックに活用できます」(杉浦氏)
金融や保険業界であれば、顧客の家族構成や生活スタイルなどの重要項目をヒアリングする機会も多い。営業活動後、記憶が鮮明なうちに報告できれば、マーケティングに生きる有益な情報になる可能性もある。対話型AIは報告のしやすさだけではなく、情報の質と量を向上させ、ひいては売り上げに貢献できるサービスだといえそうだ。
直近のバージョンアップでは、金融や保険業界など営業人数の規模が大きい企業が運用しやすくなるように、現場担当者のモバイル端末のアプリ内で管理者からの通知情報を確認できる機能を追加。また、今後は自分好みにAIをカスタマイズできる機能など、入力時に対話するモチベーションを上げるためのさまざまな仕組みを検討中だ。
「RECAIUS 報告エージェント」は、現場のワークスタイルのみならず、企業のビジネス戦略を変える一手になるだろう。