ミント味「冷えてないのにひんやり」する理由

熱・冷・痛を感じる「感覚センサー」知ってる?

五感とは異なる細胞の感覚センサー「TRP(トリップ)チャネル」をご存じですか
ミント味のものを食べると、実際温度は変わっていないのに、口の中がスーッとひんやりする。その後に水を飲むと水をより冷たく感じる。それとは逆にトウガラシを食べると、カーッとして口の中が熱く感じる。そんな誰にでもよくある経験を引き起こしているのが、「TRP(トリップ)チャネル」という細胞の感覚センサーであることをご存じだろうか。トリップチャネルを知ると、日常的によくある感覚を簡単に説明できてしまうところが面白い。

人間が持っている感覚といえば五感。だが、このトリップチャネルは、五感とは異なる。人間の体の至る所に存在し、その種類もいくつかあるが、トリップチャネルは「温度刺激」と「化学刺激」を感じ取る細胞の感覚センサーである。

トリップチャネルが、氷やお湯などの温度刺激、ミントのメントール(清涼感成分)やトウガラシのカプサイシン(辛み成分)などによる化学刺激を受け取ると、その刺激が電気信号に変わり脳に伝わることで「冷たい、熱い」と感じる仕組みだ。面白いのは「冷たい、熱い」と感じるセンサーが、実際の温度が冷たいもの、熱いもの以外でも活性化されて「冷たい、熱い」と感じることである。

例えばミントに含まれるメントールは、冷たいと感じるセンサーを活性化させるから、温度が下がってもいないのに冷たいと感じる。逆にトウガラシに含まれるカプサイシンは、熱いと感じるセンサーを活性化させるから、温度が上がってもいないのに熱いと感じるわけだ。それはサーモグラフィー画像を使って見てみると、よくわかる。メントール入りローションを手に塗布すると、最初は気化熱で表面温度が下がるが、その後、温度が元に戻っても「冷たい」と感じ続けるのである。

また、冷たすぎたり、熱すぎたりすると「痛い」と感じる温度刺激と同様に、化学刺激によって痛みを感じるトリップチャネルを活性化するとヒリヒリしたり、チクチクしたりといった「痛み」も引き起こすことがわかっている。

ヘアカラーで、なぜ「ピリピリ」する人がいるのか?

こうしたトリップチャネルのメカニズムを活用しようと、多くの企業が研究を始めている。その1つが、マンダムだ。

マンダム
製品保証部 評価分析室
主任
高石雅之

2005年から14年にもわたってトリップチャネル研究に取り組む同社では、製品評価にトリップチャネルを活用しているという。マンダムの製品保証部で評価分析を担当する高石雅之氏は、こう話す。

「安全性に配慮したヘアカラーでも、ピリピリ、ヒリヒリといった不快な刺激を感じる敏感な方がいます。炎症が起こっていないのに不快な刺激を感じるのは、ヘアカラーに使われている成分がトリップチャネルを刺激しているからです。

かねてマンダムでは、『よく染まるから多少の刺激や痛みは仕方がない』ではなく、安全なのはもちろん、心地よく使える快適性と機能性のバランスをしっかりと両立する必要があると考えてきました。そこで、快適性の評価軸としてトリップチャネルの活用を検討することになったのです」

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