600色超あるエアコン、実は機能がウリな理由 白エアコンで満足の人があえて選ぶ魅力とは

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600色以上あるエアコンは、薄さも大きな特長だ
近年、デザイン性を重視して家電を選ぶ人が増えている。しかも今、売れているデザイン家電は、サクサクのトーストが焼ける、ふっくらしたご飯が炊けるなど、機能も優れたものが主流だ。そのような中、エアコンにも、600種類以上ものカラーバリエーションをそろえたスタイリッシュな商品が出てきた。機能面はどうなのか。その実力を探った。
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ダイキンのエアコン「risora(リソラ)」をご存じだろうか。省エネ機能の向上とともに大型化が進むエアコンの中で、「risora」の厚さはわずか185mm。圧迫感を抑えて部屋になじむことを重視した極薄エアコンである。

「とにかく薄いエアコンをつくろう、というのが開発コンセプトでした」。そう話すのは、ダイキン工業の空調営業本部 事業戦略室で、商品戦略・アイデア商品創出プロジェクトに携わる野口愛子氏だ。

機能的妥協がいっさいないデザイン重視のエアコン

ダイキン工業
空調営業本部 事業戦略室
商品戦略・アイデア商品創出プロジェクト
野口愛子

エアコンの基本的な役割である冷やす、暖めるに加え、湿度や気流のコントロール、省エネなど、より快適な空間を創出するための高い機能を1つの筐体に収めようとすると、エアコンはどんどん大型化する。

だが、薄くしてデザイン性を高めるからといって、機能をそいで妥協する考えはいっさいなかったという。そこで「risora」では、主要な部品を一から開発。技術的な課題を一つひとつクリアして、製品化にこぎつけた。

例えば、風向きを調整するフラップ。部屋全体を快適に冷やす「天井気流」と、風が体に当たらず足元から暖かい「垂直気流」をつくり出す機能を実現するために、新しい構造のフラップを開発した。ダイキンの最上位機種「うるさら7」同様の気流の吹き出しが可能だという。

「こうして機能にこだわったからこそ、薄さというデザイン性を追求することができたのです」と野口氏は世界的空調専業メーカーとしての自信を示す。

こうした確かな技術をベースにした革新的なデザインへの挑戦。そこから生まれたシンプルな外観の「risora」は、それ自体では、強い存在感を放たない。しかし、「壁に取り付けられた瞬間、インテリアの一部として自然に空間に溶け込み、部屋が完成することを狙っています」と野口氏は説く。

悪目立ちするような主張はせず、空間と調和するからこそ、部屋に置かれて初めてエアコン機能を備えたインテリアとして「risora」が映えるというわけだ。

「risora」のデザインで優れているのは、フォルムだけではない。豊富なカラーバリエーションも魅力の1つだ。2018年3月の発売当初は、前面パネル7色の中からユーザーが自由に選べるようにしていた。

だが、19年4月から7色の標準カラーに加え、645種類ある塗装色の中から好みのものを選んで、前面パネルをカスタマイズできる有料オプションサービス「risora Custom Style(リソラ カスタム スタイル)」をスタート。さらに6月からは、内装業界の大手専門商社のサンゲツが扱う多彩な素材の質感を高度に再現した粘着剤付化粧フィルム「REATEC(リアテック)」による10種類のカスタマイズも追加した。

これだけの色をそろえても、現在の売れ筋はやはり「白」だという。「白」であれば、ほかのエアコンでもよさそうだが、購入者へのアンケートによれば薄さと機能を評価したうえで、「白」を選んだ人が多かったとのこと。「『risora』は同じ白でも色味の異なる複数のパネルをラインナップしています。白いエアコンをお探しの方にも、薄さと機能を兼ね備えた『risora』のこだわりの白をぜひおすすめしたいです」と野口氏は話す。

ライフスタイルや感性によるエアコン選びを提案

だがこのたび、600色以上という選択肢が多すぎて困ってしまうほどのカラーバリエーションをそろえたのはいったいなぜなのか。「エアコンを購入したり、買い替えたりする動機、理由を変えていただきたかったからです」と野口氏は答える。

エアコンを新規購入するタイミングは新築、リフォーム、リノベーション、引っ越しなどで、一度購入すれば、壊れるまで使用するケースが多い。エアコンを選択する基準も、冷える、暖まる、それに付随した機能をはじめ、部屋の広さや価格で選ぶのが中心だった。

そこをあえて崩していきたいというのが狙いだ。「risora Custom Style」もサンゲツとの取り組みも、新しいものにチャレンジして世に問おうと、全社員参加のアイデア創出プロジェクトから出てきたものである。

「例えば、照明を変えた、新しく家具を買った、壁紙にはやりのアクセントクロスを取り入れてみたなど、ご自身が理想とする空間をつくるタイミングと一緒に、わくわくした気持ちでエアコンも選び直してみてはいかがでしょうか、というのが私どもの提案です。そして、その空間演出をお手伝いできるのが『risora』だと考えています」と野口氏は話す。

ダイキンのウェブサイト上には、さまざまなインテリアを再現できる「risora 3Dシミュレーション」も用意した。豊富なラインナップから床や壁紙、天井、カーテン、ソファの種類や色を選択。3Dの室内空間に自分好みのインテリアデザインを再現し、その雰囲気に適した「risora」(7色の標準パネルに25の推奨色を合わせた32色)を選ぶことができるものだ。

実際、インテリアに合わせて部屋ごとに異なる色の「risora」が設置されるケースもあるそうだ。例えば、賃貸マンションのオーナーが、各部屋それぞれに異なる床や壁紙の色に合わせて最適な「risora」を取り付け、インテリアの嗜好性で選べるマンションを展開している事例もあるという。

分厚いものばかりだったエアコンにも、薄くて機能性に優れたタイプが登場した。ライフスタイルの一環として、エアコンも自分好みのものに替えてみたら、日々満ち足りた気持ちを味わいながら過ごしていけるのかもしれない。

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