経営は終わりのないリレー バトンタッチ後も走り続けられる事業承継を
どのように会社を存続させ、雇用やビジネスを守るのか。これはすべての経営者に共通する悩みだろう。とりわけ地域を代表するような企業では地域経済へ与える影響が大きいことから、経営者が意思決定のうえで抱える悩みは深い。
「『地域の雇用を守る』という強い意志を持って経営されている方々に対し、将来の可能性を広げる多様な選択肢を提供し、永続的に会社が発展するお手伝いをすること。それが私たちの使命です」
そう語るのは、事業承継支援本部副本部長の神原志郎氏だ。みらいコンサルティングは東京の本社をはじめ、大阪、名古屋、札幌、福岡、新潟、広島、仙台、岡山、沖縄と日本全国に支社や事務所を構え、地域や業界をリードする企業の事業承継から経営全般までをサポートしている。
事業承継の多様な選択肢に備える
同社は、事業承継を「事業」「経営権」「財産」の3つの承継に分けて捉える。中でもまず初めに分析するのは「事業」の承継だ。
「事業承継を『経営権』や『財産』から考え始めると、どうしても選択肢が狭まってしまいます。まずは『事業』を誰がどういった形態で引き継げば、会社を永続させることができるのかを見極めてから、それに合わせて株や財産の承継をバランスよく考えることが大切です」
事業基盤を承継する方法は多様だ。例えばビジョンや後継者の力量によっては、地域で会社を分割して承継するケースもあれば、逆に複数のグループ会社をひとまとめにしたほうがよいケースもある。あるいは持株会社化を行い、ホールディングスは子ども、事業会社はプロパー社員をトップに据えるなど、所有と経営を分離したほうが永続的な発展につながるケースもある。
「自社が得意とする承継方法を提案するコンサルティング会社は多いですが、私たちはお客様の強みや課題を把握したうえで、さまざまな選択肢の中から効果的な方法をご提案しています」
ポイントは、多様な選択肢の中から最終的にどの承継方法に絞り込むかという点だ。経営、税務、会計、人事など各分野の専門家に相談していると、どの専門家の意見を採用するか迷ってしまうケースは少なくない。
「私たちは、1人のプロジェクトマネージャーがお客様の経営に伴走し、見えてきた課題に応じてその都度専門家チームを構成します。チーム内で最適な方法を導きご提案することで、お客様の選択の負担を減らすことが可能です」
プラン立案より難しい実行段階までサポート
最適な方法が決定すれば、あとは実行に移すのみだ。しかし、事業承継の難しさはプラン以上に実行段階にあることが多い。経営戦略や会計上は理想的な事業承継であっても、いざ始めようとすると変化に抵抗感を持つ社員の説得や、持株会社化に際する許認可手続きの煩雑さなどからストップしてしまうことが少なくないためだ。
組織再編総合支援部部長の近藤雅浩氏は、「家の建築に例えるなら、設計図を描くだけでなく、大工までするのが私たちの仕事」と言う。
「社内調整が必要なら、『一緒にやりましょう』と請け負いますし、新たな許認可が必要となれば、最短で下りるように手続きのサポートを行います。専門家の守備範囲ではない部分までお手伝いすることで、事業承継を成功に導きます」
手離れのよさで考えたら、プラン立案に徹したほうがコンサルティング会社のメリットは大きい。にもかかわらず、なぜ手間のかかる実行支援まで手がけるのか。執行役員の立石守氏は、みらいコンサルティングの思いをこう語る。
「経営は、終わりのないリレーのようなもの。事業承継は、走者から次の走者にバトンタッチするプロセスにすぎません。ですから私たちはその後も、経営課題に対応して事業を永続させられる仕組みをつくるお手伝いをさせていただいています。長期にわたるパートナーとして信頼関係を築くためには、実行まで支援し一緒に汗をかくのも当然です。これからも、永続への強い意志を持つ企業様のお力になりたいですね」
事業承継は、選択肢が多いほど成功しやすい。例えば持株会社化は将来M&Aを考える際に有効な選択肢の1つだが、やり方を間違えると経営が頓挫しかねない。みらいコンサルティングはWebサイト「持株会社研究所」で、持株会社化のノウハウを解説。サイトを参考にして、事業承継を行った経営者も多いという。
また、選択肢を広げるときに無視できないのが財産の問題だ。長期にわたり資金を確保しておかないと、自社株式に関する納税や買い取り資金が足かせとなり、最適な方法を選択できなくなってしまう。同グループのみらいウェルス株式会社は、資産の管理・運用・保全までアドバイス。経営者の心強い味方になってくれる。