セキュリティ トレンド カンファレンス 2019

攻撃者の巧妙な手口から情報資産を防衛する

モバイル通信機器、IoTの普及によってインターネットはますます身近なものになったが、同時にネットを介したサイバー攻撃の脅威も増している。大阪、東京の2会場で開催された「セキュリティ トレンド カンファレンス 2019」では、サイバー攻撃への対応をめぐる政策の最新動向のほか、巧妙化する攻撃から企業の情報資産を守るために欠かせないテクノロジーを活用した対策の提案、企業の情報セキュリティに関する取り組みの事例などが報告された。
主催:東洋経済新報社
協力:マクニカネットワークス

基調講演
サイバーセキュリティ政策の最前線

【東京会場】
総務省
サイバーセキュリティ統括官
竹内 芳明氏

今年から超高速5G通信網導入が始まり、あらゆるものがインターネットにつながるIoT化は、さらに加速される。そこで収集される膨大なデータを使って社会課題を解決する新しい経済社会を目指す政府方針「Society5.0」には、安全なデータのやりとりを可能にするサイバーセキュリティが欠かせない。

政府はサイバーセキュリティ戦略本部を設置して施策を進めるが、そのカギを握るのが、業界横断、官民一体の取り組みだ。そこで、2018年にはサイバーセキュリティ基本法を改正。サイバーセキュリティの確保に資する情報について、守秘義務等を課して共有する「サイバーセキュリティ協議会」が創設される予定だ。

【大阪会場】
総務省
大臣官房審議官(国際技術、サイバーセキュリティ担当)
泉 宏哉氏

16年には、世界中で多数のIoT機器が乗っ取られ、それを踏み台にISPのDNSサーバーに大規模攻撃する事案も発生したことから、政府はウェブカメラやルーターなどのIoT機器の対策にも注力。容易に推測されるパスワードを入力することなどにより、サイバー攻撃に悪用されるおそれのある機器を調査して、利用者に適切なセキュリティ設定を促す注意喚起も実施する。

総務省の竹内芳明氏は「弱いところが狙われるので、その対策を着実に進める」と話す。また、個人情報漏洩も大量流出が増えていることから、企業価値向上のために経営層が積極的に取り組む必要を強調。総務省の泉宏哉氏は「ガバナンスをめぐる議論は、システムのレイヤーを意識して整理する必要がある」と話した。

課題解決講演
攻撃者の狙いはエンドポイントに在り
~標的型攻撃による実被害を最小限に留め、企業資産を守るための対策とは~

マクニカネットワークス
営業統括部
サイバーセキュリティ第1営業部 第3課
中島 卓氏

世界の最新のセキュリティ対策ソリューションを提供し、日本企業を狙う攻撃を日々解析しているマクニカネットワークスの中島卓氏は、日系グローバル企業を狙った標的型攻撃(APT)の事例を紹介した。

この会社は、日本の本社のアクティブ・ディレクトリで不自然なインターネット接続を把握したことから調査を依頼。マクニカでは、端末の危険な活動を発見して知らせるEDR(エンドポイント・ディテクション・アンド・レスポンス)ツールを導入して、攻撃者がWindows標準コマンドを操作していることを突き止めた。

侵入当初の攻撃の痕跡は消されていたが、米CrowdStrike社の脅威ハンティングチームの専門家が攻撃者の用いるWindows標準コマンド履歴の時系列などから攻撃者の特徴を判別した。

中島氏は、セキュリティの甘い海外拠点から侵入されたとする見方を示し「攻撃の手口は巧妙化していて、いったん侵入されると、攻撃には気づきにくい。従来のマルウェアなどのファイル発見に依存する対策には限界があり、エンドポイントの振る舞いを網羅的に可視化し、専門家の目で検知する仕組みを使い、端末から端末への感染が広がる前に、迅速に対応できる対策が重要性を増している」と強調。「1番漏れたらまずい情報が、1番漏れたらまずい相手に漏れた場合の影響を整理してセキュリティ対策を」と訴えた。

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