成長期待が高まる
ホテル不動産への投資 ジャパン・ホテル・リート投資法人

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アベノミクスの経済成長戦略で、観光産業への期待が高まり、ホテル不動産投資が関心を集めている。2012年春、日本ホテルファンドとジャパン・ホテル・アンド・リゾートが合併したJ‐REIT最大のホテル特化型投資法人「ジャパン・ホテル・リート」(JHR)は、明確な投資戦略とその着実な実行で、市場の信頼を築いている。

日本の観光産業は「眠れる森の美女」

ジャパン・ホテル・リート・アドバイザーズ
代表取締役社長
鈴井 博之

JHRの運用会社「ジャパン・ホテル・リート・アドバイザーズ(JHRA)」の鈴井博之社長は最近、日本の観光産業のポテンシャルを「スリーピング・ビューティ(眠れる森の美女)」にたとえる海外投資家に会った。日本の観光産業は、豊富な観光資源、おもてなし文化への評価が高い。政府の成長戦略、日本開催が決まったいくつかの国際スポーツイベントなどの追い風もある。JHRの株価(投資口価格)も堅調に推移しており、鈴井社長は「日本の観光産業の潜在的成長力が多くの人に認識されてきました」と“目覚め”を待望する市場の期待を感じている。

円安効果が表れた2013年上半期(1~6月)の訪日外国人観光客数は、中国人客数の減少にもかかわらず、前年同期比23%増の495万人と、過去最高を記録。政府の日本再興戦略が掲げた13年に1000万人の目標は達成できる見込みで、次は5年後をメドに2000万人を目指す。訪日外国人の8割近くはアジアからの旅行者だが、アジア域内では、LCC(格安航空会社)の登場で、国内旅行を楽しむ金額で海外旅行できる“大交流時代”が現実になりつつある。日本への外国人訪問者数は世界30位台(12年)と、他のアジア諸国に比べても出遅れ感があるが、裏を返せば、成長の伸びしろは大きい、と言えるのだ。鈴井社長は「訪日機会も多い外国人投資家の不満は、駅の券売機などの表記の問題です。ハードの整備より、英語表記の徹底などソフト面でやるべきことがあります」と訴える。

レジャー需要取り込み可能なホテルを充実

ホテルは、立地地域の需給に左右されるオフィスや住宅と異なり、外需を含めて国内外から、その土地を訪れる交流人口を取り込める不動産であり、少子高齢化や人口減少に直接影響されないことが大きな魅力だ。

JHRでは、この長所をフル活用するため、取得物件は「レジャー客取り込み可能なホテル」という明確な条件を掲げる。高速交通網の充実による日帰り出張増加、企業の出張旅費抑制によって、ビジネスホテルにもレジャー客取り込みが求められるからだ。その重要性を投資家に強調するため、タイプの分類もビジネスホテルを「リミテッドサービスホテル」、シティホテルを「フルサービスホテル」に変更した。

2013年10月に取得した京都駅前に立地する「イビススタイルズ 京都ステーション」

合併後に新規取得したホテル(いずれも不動産信託受益権)も、東京ディズニーリゾートエリアの「ヒルトン東京ベイ」、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)エリアの「ホテル京阪 ユニバーサル・シティ」など、レジャーにフォーカス。新橋駅すぐの「ホテルサンルート新橋」、京都駅前の「イビススタイルズ 京都ステーション」など駅近立地も強化する。鈴井社長は「レジャー客取り込みはロケーションが大切です。今の観光は昔と違い過度なぜいたくは求めません。訪日外国人客も富裕層から中間層まで多様です。立地の利便性次第ですべてのタイプ、グレードのホテルにレジャー客取り込みの可能性が生まれます」と話す。

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