「グローバルトップブランド」納得の共通点 世界で通用する企業には2つのタイプがある!


「いま、グローバルで競争力を発揮している企業の特徴は大きく2つに大別できると思います。1つは、生まれては消えるあらゆる機会をタイムリーにつかんで経営に生かすオポチュニティ企業。もう1つは、自ら独自の価値をつくり出し、提供することで利益を上げるクオリティ企業です。
かつての日本や現在の中国のように経済成長期にある市場で強いのはオポチュニティ企業であり、他方、いまの日本やヨーロッパのように経済が成熟している市場で主役となるのがクオリティ企業といえます。グローバルで活躍している日本の企業を見ると、クオリティ企業のほうが多いように思います」
自動車やアパレル、電子部品などのグローバル企業がそれであり、ダイキンはその典型だと楠木氏は話す。
「クオリティ企業が独自の価値をつくり出せているかは、長期的な利益が1つの指標になります。利益を出し続けているということは、生み出した価値に顧客が満足しているといえます。そうした実績から見ても、ダイキンは独自の価値をつくりだせているのではないでしょうか。製品はもちろんですが、顧客とのリレーションのつくり方、買収などの戦略も含めて優れていなければ、ここまでの業績は出せないでしょう」
長期的に深掘りできる「事業立地」を持つ企業が有利
こうしたクオリティ企業の強さは「自ら戦う土俵をどこに定めるか」で決まってくる。土俵を定めて、他社にできないクオリティを追求しようと思うと、結果として専業になりやすいという。その理由として楠木氏は「人的資源も含め、経営として注意を注ぐ範囲が限定されていないと独自の価値をつくり出すのが難しいのではないか」と説く。
そう考えると、グローバルで成功している日本企業に専業が多いのは必然なのかもしれない。さらに楠木氏は「自社が事業を展開する『事業立地』に広がりがあるかどうかも重要だ」と話す。
「わかりやすい例として、モーター専業メーカーがあります。モーターはさまざまなところで使われており、新たな用途も出てくる。だから、事業立地に深みがあるといえる。その意味では、ダイキンも似ている。単に事業立地を空調と捉えるのではなく、『空気』と捉えることで、人間の基盤的な生活インフラに事業ドメインはつながっていく。ダイキンはクオリティ企業として、深掘りしがいのある事業立地を捉え、そこに専念することによって独自の価値に磨きをかけています」