ベンチャーから上場への成長を支えるカード 企業にとって頼もしいコーポレート・カード
まとめづらい複数の口座残高を一括管理し食費や光熱費などをカテゴリ別に自動で分類・グラフ化する家計簿アプリや、法人向けクラウド会計ソフトなどを展開しているマネーフォワード。今注目のフィンテックカンパニーとして新たな価値を提供し続けているベンチャー企業だ。そんな同社の特徴について、創業メンバーの1人である同社取締役Fintech研究所長の瀧俊雄氏は次のように語る。
ベンチャー時代、支払いに必要なコーポレート・カードはつくれない?
「今、お金に関するさまざまなサービスを個人・法人向けに提供していますが、お金の状況を“見える化”して、解決に向けたアクションにつなげていただくことを目指し事業を展開しています。法人向けでは会計、給与、請求書といったバックオフィスの自動化に加え、お金を借りるといった経営改善に必要なアクションをサポートしています。現在の状況をわかりやすく可視化することで、消費者や経営者がより簡単に意思決定できる環境を届けることを大事にしている会社です」と瀧氏。
現在、同社はグループ全体で社員338人を抱えるまでに成長しているが、そんなマネーフォワードにも創業当初、大きな課題があった。
「起業したての会社にありがちなことですが、そもそも法人カードをつくれませんでした。審査のために財務諸表を提出しようにも、会社はできたばかりですし、利益よりも顧客獲得を優先するベンチャー企業は創業からしばらくは赤字である場合が多いです。とはいえ、支払いに関してはクレジットカードでしか払えないものが存在します。たとえば、会社でウェブサービスを利用するには基本的にクレジットカードが必要です。しかし、役員の個人カードを使うと家計と混在し、どこかで無理が生じてしまう。ですから、法人カードをどうしても早くつくりたいと思っていました」
フレキシブルな対応でつくるときも苦労なし
そこでたどり着いたのが、アメリカン・エキスプレスの法人カードの導入だった。
「カードの申し込みを依頼したところ、アメリカン・エキスプレスは私たちのような駆け出しのベンチャー企業でも相手にしてくれた唯一の会社でした。資金繰りに悩む創業直後のスタートアップ企業を救ってくれました。むろん審査では社長や役員個人の信用力もかかわってきますが、会社のリスクをきちんと見て判断してくれたことは非常にありがたいことだと思っています。
設立当初保有したカードは経営者管理のビジネス・カードでしたが、実績を経て、法人債務のコーポレート・カードへ切り替えの提案をいただけたことで今では部門、用途など幅広く一括管理で利用できるようになりました」
「コーポレート・カード」・・・カード機能だけでなく、企業の出張交際費の最適化や煩雑な経費業務の大幅な簡素化を実現するコンサルティングレベルの法人カード。経費精算システムへのデータフィードやレポート機能などで企業の経費業務をサポートする。
「ビジネス・カード」・・・経営者・個人事業主向けの経費管理や業務効率化をサポートする法人カード。
導入後、コーポレート・カードは会社にどのように貢献をしていったのか
「コーポレート・カードに切り替えたことで、開発や営業部門からのニーズにも素早くきちんと管理しながら対応でき、必要なウェブサービスをどんどん使えるようになりました。まずもってカードがなければ事業が回らないという局面から脱皮できたことは、会社を前進させることに大きくつながったと思います」
アメリカン・エキスプレスから提案を受け、IPOを機に法人債務のコーポレート・カードに切り替えたマネーフォワード。以前使っていたビジネス・カードは、経営者管理だったため利用用途、管理体制も経営者主体と限られていた。しかし、コーポレート・カードに切り替えたことで、法人一括管理による幅広い活用が始まり、現在、コーポレート・カードを5枚に分けて、社長室や総務といった部門ごとに利用している。部門ごとのため利用する際のスピードも速く、また決済用途によって区分けするなど管理体制を強化できるため、同社としても非常に有意義な活用ができているという。
「金融機関の振込手数料や請求書の手数料も削減できるようになりました。さらに、私たちはできる限り現金を使わず、お金のデータ管理化を進めており、手間をかけず経費管理とコスト削減ができるようになったことも大きなメリットになっています」
コーポレート・カードを使えること自体が「信用の証」になることを忘れてはならない。企業間で決済をする際は自分たちだけでなく、相手が持っているかどうかでも、その信用度を測ることができる。少なくともカードが使えるということは、単なる銀行振り込みとは異なり、審査で承認を得ているという信用の裏付けがあるということだ。
企業の成長とともに、法人債務のコーポレート・カードの活用の場面を広げることで、業務上の決済を通じた効率化やコンプライアンスの強化、コンサルティングとしても活用できる。単なるカードの域を超え、企業と寄り添い多くの場面での活用が見いだせるソリューションだ。
バックオフィスの自動化で本来の事業に集中できる
「カードベースで経費コントロールができるため、バックオフィスの自動化が可能となり、短時間で経費処理を行うことができるようになりました。ベンチャー企業に限らず、スモールビジネスは売り上げを優先させるため、バックオフィスにお金をかけることができません。顧客を増やそうとすれば、それだけバックオフィスの作業量が増えることになりますが、カード決済を使えば省力化できる。それがカードの非常に高い付加価値だと思っています」
同社ではアメリカン・エキスプレスのコーポレート・カードの付帯サービスについても、各支払いで獲得したポイントを代金の支払いに充当したり、海外出張の際の旅行保険などに利用したりしているが、今後はコスト管理に関するレポート機能やビジネス情報サービスについても活用していきたいという。
「海外に行く機会は多く、その意味でもアメリカン・エキスプレスのサービスは心強いですね。確かにどこでも使えるカードは増えていますが、アメリカン・エキスプレスの付帯サービスを考えると、一味違うカードだと思っています」
ベンチャー企業の創業に参画した経験を持つ瀧氏は、その苦労を知っているからこそ、多くのベンチャー企業やスモールビジネスの経営者に、アメリカン・エキスプレスのコーポレート・カードについて知ってほしいと語る。
「振り返ると企業を軌道に乗せるために設立当初からカードを保有することができたことで、大いに助けられました。その後、コーポレート・カードの提案を受けたことで、成長の過程において活用の方法を変え、非常に強力なサポートを得られたと感じています。法人一括管理のコーポレート・カードは部門ごとの業務に合わせた管理へ完全に切り替えています。上場を果たしさらなる成長へ加速している現在、コーポレート・カードの優位性を十分に活用していきたいです」
2012年創業。個人向けの自動家計簿・資産管理サービス『マネーフォワード ME』や、法人向けの『マネーフォワードクラウドシリーズ』を提供。「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションにもとづき、個人や法人、すべての人のお金の課題を解決するサービスを提供している。短期間で成長を遂げ、17年には東証マザーズに上場し、現在、子会社・グループ会社は9社。本社は東京都港区。従業員数はグループ全体で338人。