物流+エレクトロニクスの「ロジトロニクス」で
ASEANに事業を展開
カトーレック
エレクトロニクス事業への参入と発展
1877(明治10)年、四国・高松で始めた海運事業が、カトーレックのルーツである。戦後、陸運業に参入し中堅の物流会社として確固たる地位を築いたが、今では「EMSのカトーレック」としても広く知られている。時代の変化に対応して業容を変え、また拡大してきたユニークな会社である。
倉庫、運送、宅配、3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)、美術品輸送など幅広く手掛ける物流会社が、なぜEMS(電子機器の製造受託サービス)事業を営むようになったのか。きっかけは80年ごろ、陸運業の取引先だった大手電機メーカーが大増産となり、その協力会社として四国で電子部品の組み立てを受注したことだった。その後93年に初の海外工場をインドネシアに展開。当時海外への生産シフトを進めていた日系電機メーカー各社から、プリント基板の実装等の業務を次々と受注し、本格的なEMS企業としての歩みを始める。そして海外工場をタイ、フィリピン、ベトナム、マレーシアへと増設し、今では中国、メキシコを含む計8カ所の海外生産拠点を数えるまでになった。
現在はグループ全体の売上の約70%をEMS部門が占め、家電、AV、情報通信、医療、車載機器などの分野で日系EMS業界屈指の実績を誇る。
カトーレックのモットーは現場主義である。長年の経験と豊富なノウハウに裏打ちされた現場力と機動力。それらが確かな品質につながっていることが、物流・EMS両事業で多くの顧客から支持される理由だ。
ロジトロニクスでASEANに事業展開
同社は物流会社として、保管や物流加工から配送まで一貫したサービスを手掛けるが、EMS部門でも設計、資材調達、量産、納品という総合EMSの体制づくりを急いでいる。さらにはそれにとどまらず、物流とEMSとを融合させた「ロジトロニクス」という新機軸を打ち出そうとしている。
「物流と製造というのは一見、異なる業種のように思えますが、実は連続した一つの流れです。当社は両方のノウハウを持ち合わせています。物流のわかる製造会社であり、製造がわかる物流会社でもある。この特長を磨き上げて、他社との差別化を図りたい」と加藤社長は語る。同社は08年に※NPS研究会に参加し、EMSと物流の両部門で生産性改善活動を強力に推し進めている。
カトーレックとASEANの結び付きは強い。グループ全従業員約7000人の内、半数以上の約4000人がASEANで働いている。物流部門の海外拠点も近年、タイ、香港に造ったが、今後さらにASEANに物流拠点を増やす予定だ。
「日本の人口は減少し、国内は市場としての拡大が難しい時代。これからの日本はASEANとタッグを組み、生産拠点としても市場としても一体となって成長していかなければならないと思います」と加藤社長は力を込める。
※トヨタ生産方式をベースに経営改善を進める異業種約40社の集まり