民間の力で相互理解を推進
国境を越える懸け橋として存在感
民間外交推進協会(FEC)
ASEANほか、相手国との友好、協力、
相互理解を目指して
FECは1983(昭和58)年5月に設立された。金川氏は2001年から12年間にわたり、会長を務めている。FEC会長就任当時、金川氏は信越化学工業の社長。多忙でないはずはないが、「FECの理念に共感し引き受けました」と振り返る。
FECの思いは、世界の平和と繁栄に貢献し、アジアに視点を置きながら世界各国との友好促進、地域発展のための国際化に寄与するとともに、民間外交の推進を通じて国際社会における日本の地位向上を目指すことだ。FECは当初、少人数の市井の有志が集まって発足したが、現在は、経済界のほか、教育や医療関係者、官界OB、芸術家や文化人など幅広い分野の会員約1000人を有する。さらに、県知事や政令市長、100カ国近くの外国の駐日大使が名誉会員としてFECの活動に参画していることも特筆すべきだろう。
「FECは世界各国とさまざまな活動を行っていますが、中でもASEAN諸国との交流は活発です」と金川会長は話す。
その言葉どおり、FECでは毎年ASEAN諸国に訪問団を派遣している。今年は3月にインドネシアとミャンマーを訪問し、11月にはベトナム、来年3月にはラオスとタイを訪問する予定だ。むろん、ASEAN諸国のFECに対する評価も高い。各国政府要人が訪日する際には会員との意見交換の場を設けており、最近ではミャンマーのテイン・セイン大統領やベトナムのグエン・タン・ズン首相とも面会した。
民間外交ならではの立場で
国と国の信頼関係構築を支援
FECはその名のとおり、独立した民間団体として国際交流を進めている点に特色がある。金川会長は「政府間外交ではできないことも、民間外交なら自由にできます」とそのメリットを話す。
国と国の関係はその時の政治や経済状況の影響を受けやすい。それによって政府間外交が停滞することもある。一方で、FECなら、表面的な話ではなく相手と本音で話し合い、その国が本当に希望していることを把握することができるわけだ。実際に、日本との政府間関係が停滞している国の駐日大使とも、情報交換などを緊密に行っているという。このほか、FECとの交流により、具体的な投資案件が生まれた例も少なくない。
金川会長は信越化学工業社長時代、塩化ビニール樹脂などのグローバル展開で同社を世界トップメーカーに成長させた。
その軌跡について金川会長は「大切なのは結局、人と人との繋がりです」と語る。そして、「国同士の関係でもビジネスでも、相手との信頼関係を築くことが不可欠です。FECは会員の皆様と協力をし、そのお手伝いをしていきたいと考えています。引き続き皆様の力添えをいただければと思います」と結んだ。