企業を襲うコンプライアンス4つのリスク例 日本企業に多い法令違反、制裁金は何億も!

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
Copyright © Thomson Reuters

 国内市場の縮小を背景に、近年消費力を高める新興国市場への進出など日本企業はビジネスチャンスの拡大や成長をかけてグローバル化を推し進めている。しかし、世界市場に一歩足を踏み入れれば、国内とは比較できないリスクに注意を払わなければならない。それがコンプライアンス・リスクだ。実は国内ビジネスを展開する企業にとっても無関係ではいられない。日本企業を襲うリスクの脅威とは一体どのようなものなのだろうか。

日本企業に多い競争法違反、制裁金3000憶円の事例も

世界市場は、国内にないリスクに満ちている。中でもコンプライアンス・リスクは国内の規制よりも厳格であり、対応を誤れば世界進出はもとより企業存続そのものさえ危うくなる。たとえば、日本の「独占禁止法」に代わる「競争法」を見てみると、近年、執行国が先進国のみならず新興国を含む130カ国と急激に増加している。それだけ世界でも注目されている法令だが、その脅威として経営者が肝に銘じなければならないのが制裁金の高額化だ。

2017年6月、欧州連合(EU)欧州委員会が、EU競争法に違反したとして、米・Googleに約24億2000万ユーロ(約3000億円)の制裁金を命じたことは記憶に新しい。驚くべき高額な制裁金であり、2009年に欧州委が半導体大手のインテルに命じた10億6,000万ユーロを超え、過去最高額を更新している。さらに罰金、課徴金も世界的に高額化する傾向にある。

しかも、日本企業が競争法違反として摘発され、莫大な制裁金を科せられる実例は多い。2011年から2017年6月末までに主要国で摘発された事例だけでも39件675社、総額1262憶9000万円にも上っている。何も明らかにカルテルや談合とわかるケースばかりでなく、たとえば合弁企業を設立した際に「市場分割のためのカルテル」が疑われ、正当な企業活動と区別しにくいケースでも厳しい判断が下されているのだ。

制裁金だけの問題でなく、一度訴訟となった場合には企業のブランド価値をおとしめるレピュテーション・リスク(評判リスク)をはらむことになる。もはやグローバル展開において、コンプライアンス・リスクを“現地法人任せ”にするほど恐ろしいことはない。経営者がマインドを変えて臨む本社直轄のエンタープライズ・リスク・マネジメントが必要とされている。

ドメスティック企業も例外ではない、サプライチェーンの危険性

コンプライアンス・リスクの脅威は、海外進出企業に限った話ではない。市場を国内に絞ったビジネスを展開していたとしても、サプライチェーンを海外に広げ構築することは常識に近い。このサプライヤーが一度規制に抵触すれば、糾弾されるのは、最終的に生活者が手にする製品やサービスそのものになる。

日本企業が対応すべきコンプライアンス・リスクは数多くあるが、トムソン・ロイター・ジャパンでは、注意すべき4つのリスク例を挙げている。それが、「競争法」「サプライチェーン・マネジメント」「コンダクト・リスク」「EU個人情報保護法(GDPR)」だ。特別レポートでは、4つのリスク例の注意点が詳細に語られている。EU個人情報保護法は、2018年5月施行とまさに喫緊の課題、課題の明確化と対峙法を考える一助として活用いただきたい。