11月28日、その先進事例や未来予想図を探るセミナー「AI・IoT時代のビジネス基盤、成長エンジンとしての『クラウド』活用」が東京・港区で開催された。
主催:東洋経済新報社
特別協賛:日本アイ・ビー・エム
オープニング
Digital Evolutions
田口 潤 氏
インプレス編集主幹の田口潤氏は、世界的にAI、IoT、クラウド活用によるデジタル変革が進行していると指摘し、日本企業のチャレンジを促した。
日本のITが、今本当にしなければならないこと
取締役専務執行役員
IBMクラウド事業 本部長
三澤 智光 氏
では、どこからデジタル変革に取り組むべきか。実態は、企業内にある蓄積情報の80%が非活用といわれる。三澤智光氏は「企業の持つ膨大なデータが、人間の能力を超えたAIの活用で知的資源に変わる」と提起。企業向けAIは「社内用語や特定領域の専門知識を学習し続けることができ、既存システムと柔軟な連携を図れる面でも、AI『IBMワトソン』は有効だ」と強調した。
LIXILが考える、住まいにおけるIoT
執行役専務技術担当
LIXIL 取締役専務役員
CSO Technology Research本部 本部長
二瓶 亮 氏
具体的なデジタル変革のチャレンジも始まっている。二瓶亮氏は、住宅ニーズが変わるなか「家庭内の器具などの使用パターンや周囲環境をIoT、AIで分析し、省エネや見守り、自律的な暮らしのサポートまで役立てられる」と非ITメーカーの取り組みを紹介。データ分析の成否を分ける、適切な評価基準の設定についても「当社は『何が暮らしやすさか』『どう制御するか』のノウハウを蓄積している」と自信を示した。
インタラクティブトーク
2氏の講演を受け、田口氏は「LIXIL同様にITと異業種の融合が進んでいく」と展望。二瓶氏は「テクノロジーの進展が商品を変えつつある時代にある」と応じ、三澤氏は「デジタル変革を通して商品・サービスに付加価値を加えたいと考える企業は多い」とビジネス現場の動向を話した。
その目で確かめるITの進化
IBMクラウド事業本部
コンサルティング・ アーキテクト
平山 毅 氏
企業のデジタル変革を支援する最新サービスとして、平山毅氏は「IBMクラウド」をデモンストレーション。無料アカウントのみで、AIを使ったサービスを壇上で簡単に”スモールスタート”。オープンテクノロジーで構築されているため「ベンダーや言語の枠を越えて、主要なAIアプリケーションを組み合わせることが可能」と利点を訴えた。
デジタル・ビジネス化への迅速対応に向けたハイブリッド・クラウド活用戦略
経営企画部 IT企画グループ
グループ長 兼
富士フイルム
経営企画本部 ICT戦略推進室
マネージャー
柴田 英樹 氏
クラウド活用による成果も報告されている。柴田英樹氏は、プライベートクラウドとパブリッククラウドを適材適所で組み合わせた「ハイブリッドクラウド」への取り組みを紹介。「段階的に進めたことで、ビジネス環境の変化や急増するデータ量に対応できるとともに、運用コストを45%削減できた」と明かした。
クラウドでデータの力を解き放つオンプレDBからクラウドDB移行で加速する事業部門が取り組むデータ分析とマーケティング
メディア事業部
メディア店舗企画課
鈴木 健生 氏
クラウドSW&
アナリティクス事業部
インフォメーション・ アーキテクト
野間 愛一郎 氏
クラウド活用はコスト削減だけではなく、新たな価値の創出にも寄与していく。鈴木健生氏はクラウドDBによるデータ分析をマーケティングに活用した事例を発表。「顧客の利用データからクーポン配布対象者を絞り込み、過剰配布を抑制するなど業務改善に役立てている」と成果をアピールした。
野間愛一郎氏は分析用データベースについて「分析者のアイデアを妨げない柔軟性が必要」と解説し、Db2クラウド・データベース・サービスを紹介した。
APIの活用によるデジタルトランスフォーメーション
IBMクラウド事業本部
エグゼクティブ・ アーキテクト
早川 ゆき 氏
デジタルイノベーション部
シニアデジタルストラテジスト
Blue Lab 最高技術責任者(CTO)
大久保 光伸 氏
金融業界の新たなチャレンジにもクラウドが貢献している。大久保光伸氏は、「IBM APIコネクト」によるAPI活用について幅広い導入事例とともに解説。「中期経営計画でフィンテックを戦略的に位置づけており、今後もIoTやスマートホームとの連携などオープンな協業を進めていく」と力を込めた。
早川ゆき氏は、「APIが外部利用されることで間接的に送客を受けることができる」と、自社のデータやサービスをAPIとしてWEB公開するトレンドを紹介。金融など厳重な情報管理が求められる分野でも外部連携しやすいという。
CXOは『デジタルテクノロジー』とどう向き合えばよいのか?
執行役員
ビジネスシステム部
部長
矢島 孝應 氏
AIやIoTなどのデジタル変革を可能にするテクノロジーを、どのように取り込んでいけばよいのか。デジタルテクノロジースペシャル鼎談では、積極的なICT対応で知られるヤンマーの矢島孝應氏が登壇。製品をICT化して「稼働機からの情報を元に、収穫量向上などの経営面から、農業機械の保守・遠隔監視までサポートしている」と取り組みを話した。今後は無人機による農家の低コスト生産や省力化、農作業の効率化も提案していくという。
三浦美穂氏は「データ処理にAIを活用すれば、人間がより人間らしい時間を過ごせる」とデジタル変革の可能性に期待を示した。
執行役員
IBM クラウド・ソフトウェア& アナリティクス 事業部長
三浦 美穂 氏
東洋経済新報社
常務取締役
田北 浩章
モデレーターを務めた田北浩章からは「刷新のため社内のレガシー部門をどう説得するか」と問題提起も。矢島氏は「デジタル変革で何ができるか繰り返し示していくこと」と反応。三浦氏は「変革のダイナミズムを見極めたトップの判断も欠かせない」と指摘した。