AI・IoT時代の「クラウド」活用 Digital evolution conference 2017
その目で確かめるITの進化
企業のデジタル変革を支援する最新サービスとして、平山毅氏は「IBMクラウド」をデモンストレーション。無料アカウントのみで、AIを使ったサービスを壇上で簡単に”スモールスタート”。オープンテクノロジーで構築されているため「ベンダーや言語の枠を越えて、主要なAIアプリケーションを組み合わせることが可能」と利点を訴えた。
デジタル・ビジネス化への迅速対応に向けたハイブリッド・クラウド活用戦略
クラウド活用による成果も報告されている。柴田英樹氏は、プライベートクラウドとパブリッククラウドを適材適所で組み合わせた「ハイブリッドクラウド」への取り組みを紹介。「段階的に進めたことで、ビジネス環境の変化や急増するデータ量に対応できるとともに、運用コストを45%削減できた」と明かした。
クラウドでデータの力を解き放つオンプレDBからクラウドDB移行で加速する事業部門が取り組むデータ分析とマーケティング
クラウド活用はコスト削減だけではなく、新たな価値の創出にも寄与していく。鈴木健生氏はクラウドDBによるデータ分析をマーケティングに活用した事例を発表。「顧客の利用データからクーポン配布対象者を絞り込み、過剰配布を抑制するなど業務改善に役立てている」と成果をアピールした。
野間愛一郎氏は分析用データベースについて「分析者のアイデアを妨げない柔軟性が必要」と解説し、Db2クラウド・データベース・サービスを紹介した。
APIの活用によるデジタルトランスフォーメーション
金融業界の新たなチャレンジにもクラウドが貢献している。大久保光伸氏は、「IBM APIコネクト」によるAPI活用について幅広い導入事例とともに解説。「中期経営計画でフィンテックを戦略的に位置づけており、今後もIoTやスマートホームとの連携などオープンな協業を進めていく」と力を込めた。
早川ゆき氏は、「APIが外部利用されることで間接的に送客を受けることができる」と、自社のデータやサービスをAPIとしてWEB公開するトレンドを紹介。金融など厳重な情報管理が求められる分野でも外部連携しやすいという。
CXOは『デジタルテクノロジー』とどう向き合えばよいのか?
AIやIoTなどのデジタル変革を可能にするテクノロジーを、どのように取り込んでいけばよいのか。デジタルテクノロジースペシャル鼎談では、積極的なICT対応で知られるヤンマーの矢島孝應氏が登壇。製品をICT化して「稼働機からの情報を元に、収穫量向上などの経営面から、農業機械の保守・遠隔監視までサポートしている」と取り組みを話した。今後は無人機による農家の低コスト生産や省力化、農作業の効率化も提案していくという。
三浦美穂氏は「データ処理にAIを活用すれば、人間がより人間らしい時間を過ごせる」とデジタル変革の可能性に期待を示した。
モデレーターを務めた田北浩章からは「刷新のため社内のレガシー部門をどう説得するか」と問題提起も。矢島氏は「デジタル変革で何ができるか繰り返し示していくこと」と反応。三浦氏は「変革のダイナミズムを見極めたトップの判断も欠かせない」と指摘した。